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bookworm's digest

主に本についてのレビューや、、、その他

記事一覧 ブログ内ランキング 本棚

2015/09/20 『孤独か、それに等しいもの』 / 大崎義生
2015/09/17 『今日を歩く』 / いがらしみきお
2015/09/16 『ケンブリッジ・クインテット』 / ジョン・L・キャスティ
2015/09/06 『裸でも生きる2』 / 山口絵理子
2015/09/02 『数学的にありえない(下)』 / アダム・ファウアー
2015/08/30 『だから日本はズレている』 / 古市憲寿
2015/08/28 『数学的にありえない(上)』 / アダム・ファウアー
2015/08/18 『僕は問題ありません』 / 宮崎夏次系
2015/08/16 『世界の終わりと夜明け前』 / 浅野いにお
2015/08/13 『ワイフ・プロジェクト』 / グラム・シムシオン
2015/08/13 『伊藤くんA to E』 / 柚木麻子
2015/07/30 『断片的なものの社会学』 / 岸政彦
2015/07/25 『雨のなまえ』 / 窪美澄
2015/07/22 『愛に乱暴』 / 吉田修一
2015/07/19 『ナイルパーチの女子会』 / 柚木麻子
2015/07/15 『ひらいて』 / 綿矢りさ
2015/07/13 『るきさん』 / 高田文子
2015/06/24 『装丁を語る。』 / 鈴木成一
2015/06/16 『春、戻る』 / 瀬尾まいこ
2015/06/13 『かわいそうだね?』 / 綿矢りさ
2015/06/12 『未来国家ブータン』 / 高野秀行
2015/06/09 『存在しない小説』 / いとうせいこう
2015/06/02 『帰ってきたヒトラー』 / ティムールヴェルメシュ
2015/05/31 『流転の魔女』 / 楊逸
2015/05/21 『火花』 / 又吉直樹
2015/05/19 『あと少し、もう少し』 / 瀬尾まいこ
2015/05/17 『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』 / 古市憲寿、上野千鶴子
2015/05/02 『切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』 / 佐々木中
2015/04/26 『恋するソマリア』 / 高野秀行
2015/04/25 『アル中ワンダーランド』 / まんしゅうきつこ
2015/04/23 『レンタルお姉さん』 / 荒川龍
2015/04/17 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』 / J.D.サリンジャー
2015/04/12 『しょうがの味は熱い』 / 綿矢りさ
2015/04/07 『ペナンブラ氏の24時間書店』 / ロビン・スローン
2015/03/26 『せいめいのはなし』 / 福岡伸一
2015/03/25 『やりたいことは二度寝だけ』 / 津村記久子
2015/03/21 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(下)』 / 増田俊也
2015/03/14 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上)』 / 増田俊也
2015/03/06 『元職員』 / 吉田修一
2015/02/28 『黄金の少年、エメラルドの少女』 / Yiyun Li
2015/02/23 『太陽・惑星』 / 上田岳弘
2015/02/14 『迷宮』 / 中村文則
2015/02/11 『僕は君たちに武器を配りたい』 / 滝本哲史
2015/02/08 『斜光』 / 中村文則
2015/02/04 『この人たちについての14万字ちょっと』 / 重松清
2015/01/27 『名もなき孤児たちの墓』 / 中原昌也
2015/01/18 『満願』 / 米澤穂信
2015/01/15 直木賞
2015/01/15 『Hurt』 / Syrup16g
2015/01/14 『地下の鳩』 / 西加奈子
2015/01/10 『きょうのできごと』 / 柴崎友香
2015/01/05 『月と雷』 / 角田光代
2015/01/02 『カワイイ地獄』 / ヒキタクニオ
2014/12/31 『死んでも何も残さない』 / 中原昌也
2014/12/30  2014年ベスト
2014/12/18 『サラバ!下』 / 西加奈子
2014/12/13 『サラバ!上』 / 西加奈子
2014/12/12 『できそこないの男たち』 / 福岡伸一
2014/12/4 『ザ・万歩計』 / 万城目学
2014/12/1 『ぼくには数字が風景に見える』 / ダニエル・タメット
2014/11/25 『アズミ・ハルコは行方不明』 / 山内マリコ
2014/11/19 『勝手にふるえてろ』 / 綿矢りさ
2014/11/13 『ジャージの二人』 / 長嶋有
2014/11/6 『8740』 / 蒼井優
2014/11/5 『計画と無計画のあいだ』 / 三島邦弘
2014/10/31 『問いのない答え』 / 長嶋有
2014/10/29 『ジュージュー』 / よしもとばなな
2014/10/20 『Bon Voyage』 / 東京事変
2014/10/17 『女たちは二度遊ぶ』 / 吉田修一
2014/10/15 『カソウスキの行方』 / 津村記久子
2014/10/10 『69(シクスティナイン)』 / 村上龍
2014/10/3 『論理と感性は相反しない』 / 山崎ナオコーラ
2014/9/28 『最後の家族』 / 村上龍
2014/9/25 『グラスホッパー』 / 伊坂幸太郎
2014/9/23 『エヴリシング・フロウズ』 / 津村記久子
2014/9/13 『神様のケーキを頬ばるまで』 / 彩瀬まる
2014/8/23 『西加奈子と地元の本屋』 / 西加奈子・津村記久子
2014/8/10 『蘇る変態』 / 星野源
2014/8/4  『ジョゼと虎と魚たち』 / 田辺聖子
2014/7/31 『マイ仏教』 / みうらじゅん
2014/7/23 『オールラウンダー廻』 / 遠藤浩輝
2014/7/17 『ゴールデンスランバー』 / 伊坂幸太郎
2014/7/16 『百万円と苦虫女』 / タナダユキ
2014/7/8  『人生エロエロ』 / みうらじゅん
2014/6/28  駄文・本を読まない場合
2014/6/8  『平常心のレッスン』 / 小池龍之介
2014/6/5  『僕らのごはんは明日で待ってる』 / 瀬尾まいこ
2014/5/27 『泣き虫チエ子さん』 / 益田ミリ
2014/5/25 『動的平衡2 生命は自由になれるのか』 / 福岡伸一
2014/5/14 『春にして君を離れ』 / アガサ・クリスティー
2014/5/9  『統計学が最強の学問である』 / 西内啓
2014/5/1  『不格好経営』 / 南場智子
2014/4/27 『きみの友だち』 / 重松清
2014/4/22 『善き書店員』 / 木村俊介
2014/4/15 『人生オークション』 / 原田ひ香
2014/4/8  『疲れすぎて眠れぬ夜のために』 / 内田樹
2014/4/1  『戸村飯店 青春100連発』 / 瀬尾まいこ
2014/3/28 『完全なる証明』 / Masha Gessen
2014/3/22 『渾身』 / 川上健一
2014/3/16 『憂鬱でなければ、仕事じゃない』 / 見城徹、藤田晋
2014/3/12 『恋文の技術』 / 森見登美彦
2014/3/6  『国境の南、太陽の西』 / 村上春樹
2014/2/28 『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』 / 福岡伸一
2014/2/23 『雪国』 / 川端康成
2014/2/17 『ロマンスドール』 / タナダユキ
2014/2/15 『それから』 / 夏目漱石
2014/2/11 『悩む力』 / 姜尚中
2014/2/5  『暗号解読<下>』(1) / Simon Lehna Singh
2014/1/31 『暗号解読<上>』 / Simon Lehna Singh
2014/1/26 『脳には妙なクセがある』 / 池谷裕二
2014/1/19 『何者』 / 朝井リョウ
2014/1/15 『ポースケ』 / 津村記久子
2014/1/13 駄文・2013年と2014年の読書について
2014/1/8  『×と○と罪と』 / RADWIMPS
2013/12/29  2013年ベスト
2013/12/23 『骨を彩る』 / 彩瀬まる
2013/12/18 『愛を振り込む』 / 蛭田亜紗子
2013/12/11 『あなたの前の彼女だって、むかしはヒョードルだのミルコだの言っていた筈だ』 / 菊池成孔
2013/12/4 『円卓』 / 西加奈子
2013/11/26 『暗い夜、星を数えて』 / 彩瀬まる
2013/11/24 『お父さん大好き』 / 山崎ナオコーラ
2013/11/16 『BEST2』 / TOMOVSKY
2013/11/10 『人のセックスを笑うな』 / 山崎ナオコーラ
2013/11/9 『困ってるひと』 / 大野更紗
2013/11/4 『ジ・エクストリーム・スキヤキ』 / 前田司郎
2013/11/3 『こころの処方箋』 / 河合隼雄
2013/10/27 『朗読者』 / Bernhard Schlink
2013/10/24  駄文・フーリエ変換について
2013/10/16 『ノーライフキング』 / いとうせいこう
2013/10/11 『東京百景』 / 又吉直樹
2013/10/7 『社会を変える驚きの数学』 / 合原一幸
2013/10/4 『楽園のカンヴァス』 / 原田マハ
2013/9/29 『ともだちがやってきた。』 / 糸井重里
2013/9/28 『若いぼくらにできること』 / 今井雅之
2013/9/21 『勝間さん、努力で幸せになりますか』 / 勝間和代 × 香山リカ
2013/9/17 『シャッター商店街と線量計』 / 大友良英
2013/9/8  『ハンサラン 愛する人びと』 / 深沢潮
2013/9/7  駄文・読書時間について
2013/8/31 『幻年時代』 / 坂口恭平
2013/8/26 『人間失格』 / 太宰治
2013/8/21 『天国旅行』 / 三浦しをん
2013/8/17 『野心のすすめ』 / 林真理子
2013/8/7  『フェルマーの最終定理』 / Simon Lehna Singh
2013/8/4  『本棚の本』 / Alex Johnson
2013/7/31 『これからお祈りにいきます』 / 津村記久子
2013/7/26 『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』 / 山田詠美
2013/7/20 『殺戮にいたる病』 / 我孫子武丸
2013/7/15 駄文・どんでん返しミステリーについて
2013/7/15 『ツナグ』 / 辻村深月
2013/7/11 『岳物語』 / 椎名誠
2013/7/9  『黄金を抱いて翔べ』 / 高村薫
2013/7/2  『工場』 / 小山田浩子
2013/6/25 駄文・スマートフォンの功罪について
2013/6/22 『ぼくは勉強ができない』 / 山田詠美
2013/6/15 『少女は卒業しない』 / 朝井リョウ
2013/6/12 『死の壁』 / 養老孟司
2013/6/7  『卵の緒』 / 瀬尾まいこ
2013/6/6  『一億総ツッコミ時代』 / 槙田雄司
2013/5/28 『うたかた / サンクチュアリ』 / 吉本ばなな
2013/5/24 『ルック・バック・イン・アンガー』 / 樋口毅宏
2013/5/20 『クラウドクラスターを愛する方法』 / 窪美澄
2013/5/17 『けむたい後輩』 / 柚木麻子
2013/5/13 『あの人は蜘蛛を潰せない』 / 彩瀬まる
2013/5/10 駄文・本と精神について
2013/4/30 『想像ラジオ』 / いとうせいこう
2013/4/22 『あなたの中の異常心理』 / 岡田尊司
2013/4/10 『千年の祈り』 / Yiyun Li
2013/4/5  駄文・文学賞について
2013/3/31 『今夜、すべてのバーで』 / 中島らも
2013/3/22 『何もかも憂鬱な夜に』 / 中村文則
2013/3/13 『生物と無生物のあいだ』 / 福岡伸一
2013/3/10 駄文・紙と電子について
2013/3/2  『ウエストウイング』 / 津村記久子
2013/2/24 『ブッダにならう 苦しまない練習』 / 小池龍之介
2013/2/16 『みずうみ』 / よしもとばなな
2013/2/8  『何歳まで生きますか?』 / 前田隆弘
2013/2/3  『ワーカーズ・ダイジェスト』 / 津村記久子

工事中…

ブクログというサイトで読んだ本のログをつけています。
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刑事ファビアン・リスク 顔のない男

ステファンアーンヘム 90~94点

 

刑事ファビアン・リスク 顔のない男 (ハーパーBOOKS)

刑事ファビアン・リスク 顔のない男 (ハーパーBOOKS)

 

 

 

『刑事ファビアン・リスク 顔のない男』   /    ステファンアーンヘム

 

★    ×    92

 

内容(「BOOK」データベースより)
休日の教室で両手を切断された男の死体が見つかった。傍らには男の写る30年近く前のクラス写真が残され、時を置かず別のクラスメートも凄惨な死を遂げる。容疑者はかつてクラスで壮絶ないじめを受けていた人物。数年前、その足取りは忽然と消えていた。一人また一人と犠牲者が増えるなか、自らも同級生である担当刑事リスクは恐るべき罠に嵌っていき―。本年度最注目の北欧ミステリー!

 

何かのレビューで見かけて気になっていた本作。

記憶している限り北欧の小説は読んだことがなかったですが、いやはや、、、なかなかにトンデモでした。

文庫で600ページというボリュームですが、特に後半にかけてのページターナーっぷりは圧巻のサイコサスペンスでした!

 

 

あらすじは特段珍しいものでなく、かつてのクラスメートが次々と殺されていき、主人公ファビアン・リスクが警察として元クラスメートの誰が犯人かを追っていくというもの。

犯行動機もありきたりで、かつてのいじめられっ子が、かつてのいじめっ子、及びはたで見ていたその他大勢に仕返しをしていくという設定でストーリーは進みます。

ただしありきたりな設定の中でアイキャッチの1つとして、被害者それぞれがどうやっていじめを行なっていたか、その特性に沿って犯行が実行されているという点があります。

例えばメリケンサックで殴ってきた奴に対しては両腕を切断し、

例えば口で攻撃してきた奴に対しては舌を引っこ抜き、、

といった多様な殺害方法、非常に凄惨なのですが、映画『SAW』をなんだかんだ全作観ちゃった感覚と同じ、怖いもの見たさで脳が刺激されちゃってる良くないモードだとはわかりつつも、興味深く読み進めちゃう自分を止められませんでした。

 

 

んで、も1つ『SAW』(特に1と2)を観た時と同じで、凄惨な描写の中にもちゃんと伏線が張られていて、ミステリーとしてガッツリのめり込めるのも魅力の1つと感じました。

特に第1部の最後、実は追っていた犯人が全く別人であったことが分かってから第2部に入ってからは、ジェットコースター的に全く展開が読めず、読んでいる最中ずっとドキドキしていました。

個人的には犯人の指紋を突き止めるシーン、そしてファビアンの息子が拐われてからのラストまでが最も濃密で、ミステリーとしても素晴らしい完成度と思います(これはデビュー作だそうですが、、)。

ところどころ、あまりにも完全犯罪すぎるところ(病院での犯行やカメラでの誘導はいくらなんでも出来過ぎ)が引っかかりもしましたが、それよりも恐怖と好奇心が勝り、終わってみれば素晴らしかったという感想しか残らない。

※ あ、北欧の名前が覚えにくすぎるという感想もあったりしますが。。

 

映像化もされるようですがそりゃそうだろなという感じ。グロも混ぜたキャッチーな作品になるだろうと思います。

オススメ!!

 

 

 

 

とんび

重松清 80~89点

 

とんび (角川文庫)

とんび (角川文庫)

 

 

『とん』   /    重松清

 

★    ×    86

 

内容(「BOOK」データベースより)
昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人の幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう―。アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。魂ふるえる、父と息子の物語。

 

 

私事ながら昨年子どもが産まれたのですが、昔からやってみたかったことの1つとして「子どもが産まれてから重松清を読む」というのがあります。

中学・高校時代に片っ端から読んだ重松さん、家族を持っていない身だったにも関わらず親心分かったような気がしていた昔の感覚が、歳をとってからどう変化するのか楽しみで、大好きだった『きみのともだち』『ナイフ』などは家にとってあります。

本作は初めて読みましたが、男手一人で息子を育てるヤスさんという男性が主人公。

少しまだ読むのが早かったかもしれませんが、ヒッサビサの重松さん節を感じられて良かったです。

 

 

ヤスさんは美佐子さんという素敵な奥さんを、息子のアキラがまだ小さい時に亡くしてしまいます。

その後は男手一人という環境に苦労しつつ。多くのともだちに助けられながら、アキラを大学に入学させるまで立派に育てます。

ヤスさんはあとがきにもあるように、とにかく無骨、酒飲んで拳で語り合って人目憚らず涙を流す男。時代設定が少し古いので今の父親像からは少し離れていますが、それでもグッとくる場面はいくつかありました。

 

終盤、息子のアキラに子どもができたと打ち明けられるシーン。

アキラの奥さんの由美さんは離婚歴があり、アキラには既に健介という連れ子がいる状態なので、ヤスさんにとっては今回の子どもが、血の繋がった初めての孫ということになります。

アキラは当然、健介も生まれてくる孫も我が子であり、平等に愛することをヤスさんに言いますが、ヤスさんは「寂しい思いをさせてはダメだ」ということを主張し、もしアキラが生まれてくる子を一番愛したとしても、健介は自分が一番愛するから大丈夫ということを言います。

無骨な性格ながら、アキラを育てる過程で家族にとって何が大切かということを導き出すヤスさんの成長物語という意味で、後半の方が熱が上がってきました。

 

 

ただ、、、まあ久々に重松さんを読んだというのもありますが、とにかく登場人物たちが何度も涙を流す(家族ものという設定上なおさらかもしれませんが、)ところがちょっと味濃すぎというかお腹膨れるというか、途中で微妙に飽きてしまう感覚がありました。

心が汚れた大人になってしまった感があって若干悲しくなりました、、

もっと歳をとるとまた昔のような感覚になるのでしょうか、、

一番好きな『きみのともだち』は、もうしばらく温めておこうと思います。

 

小説の家

福永信 80~89点

 

 

『小説の家』   /    柴崎友香,岡田利規,山崎ナオコーラ,最果タヒ,長嶋有,青木淳悟,耕治人,阿部和重,いしいしんじ,古川日出男,円城塔,栗原裕一郎,福永信

 

★    ×    85

 

内容紹介
この家の窓からは“大切なもの"が見える。

上條淳士福満しげゆき、倉田タカシ、師岡とおる、近藤恵介など
豪華アートワークと共に贈る、前代未聞のアンソロジー。満を持して誕生!

 

 定価3800円、分厚いアンソロジー、

作家の方は半分くらいしか知りませんでしたが、円城塔さんや長嶋有さんといったクセのある方が多く、読むのには苦労するだろうなという覚悟で頑張りました。

 

まず何よりも特筆すべきは阿部和重さん、、、、、

ページをめくってからしばらくは空きページかと思いきや、よくよく見ると真っ白な紙に、うすーーーい色の文字が印字されているではありませんか、、

Office系のソフトで、重要でない、或いはすでに完了したタスクなど書かれた文の文字色を薄くするような、アレです。(光に当てないとほぼ見えないレベルですが)

角度を変えながら何とか判読するとちゃんと小説してたのですが、電車でコレやってると変人にしか見えないので、家のリビングで読みました笑

 

 

まあ阿部和重さんはダントツで特異でしたが、他作品もなかなかに個性溢れるものでした。

そもそものコンセプトがアートとの融合なので、円城塔さんの小説は描かれた様々な模様によって段落が行ったり来たりして非常に追いにくかったり、長嶋有さんはそもそも漫画だったり笑、

値段や装丁からするに、小説でなくインテリアとして一家に一台チックに購入するのがいいのかもしれません。

 

そんな中、小説としても面白かったのが最果タヒさん。

トップアイドルとプロデューサーが主となった物語ですが、こないだたまたま『炎の体育会TV』で華原朋美を観たせいか、

トップアイドル=華原朋美

プロデューサー=小室哲哉

の図式のまま読んでしまいました。笑

プロデューサーが自殺したあと、主人公の台詞で「先生」という文字のみが数ページにわたって続く衝撃のシーンがありますが、

「先生」がすべて「TK」に見えて戦慄しました。。

 

 

とまあ、かなり斜め上をいった作品でしたが、前述の通り小説としてでなくモノとして買うのはアリかなぁと思います。

 

あの素晴らしき七年

エトガル・ケレット 90~94点

 

あの素晴らしき七年 (新潮クレスト・ブックス)

あの素晴らしき七年 (新潮クレスト・ブックス)

 

 

 

『あの素晴らしき七年』  /    エトガル・ケレット

 

★   ×    91

 

 内容(「BOOK」データベースより)
息子の誕生から父の死まで。七年の万感を綴ったエッセイ。“戦時下”のイスラエルに暮らす作家がやるせない思いと強靭なユーモア、そして静かな祈りを込めて綴った36篇。

 

あけましておめでとうございます。

新年1発目は友人オススメの洋書エッセイ。

読んだ後に「ふーっ」と幸せなのか悲しいか分からないため息をついてしまうような、素晴らしい作品でした。

 

 

内容はBOOKデータベースにあるように、著者にレヴという可愛い可愛い子どもが産まれてから、著者の父親が病気で亡くなるまでの7年間を綴ったもの。

こう書くと親子の愛などが主だった家族エッセイに思えますがジャンルは多岐に渡り、戦時下イスラエルで家族とともに被弾したかと思えば、タクシーの運転手にキレたり、航空会社のミスで飛行機の助手席で出張する羽目になったりと、ちびまる子ちゃんばりに普遍的な日常がそこにはあったりして、読んでる側の心はアチコチ行ったり来たりします。

 

本作はこの「心は行ったり来たり」というのが非常に重要、というかそれが全てな気がします。

 

死と常に隣り合わせであるイスラエル、という特殊な環境でエッセイとなれば、思うのは戦争や死を軸とした作品ですが、

本作は子どもの誕生や家族の死といった万人共通のイベント、

加えてどうでも良い日常の描写を行き来することで、戦時下の人々にも当たり前に日常は流れるという当然の、

けれど第三者の立場からすると想像し難いことを想起させてくれます。

だから、本来笑い飛ばせる些細な日常描写にもどこかしら悲しみを感じるし、

一方で戦争というやるせない描写の中にもユーモアを感じられる(空襲警報により突っ伏して体を重ねる自分たちをサンドイッチに見立てた『パストラミ』は、悲しい涙に襲われながら笑っちゃうような感覚でした)。

これは日本国内の作家では決して表現できない、本作でしか味わえない感覚と思うので非常に嬉しかったです。

 

 

 あと、とにかく展開の持って行き方と1文ごとの美しさが大好きで、特に後半にそれらを感じました。

父親が亡くなってから4週間後を描いた『父の足あと』では、出張先に何気なく携行した父の靴が入ったスーツケースがロストバゲージし、1週間後に遅れて届けられた、というもの。

著者の泊まっていたホテルのシャワートラブルで履いていた靴が水浸しになってしまい、たまたま持っていた父の靴を代わりに履く、というのが物語の最後ですが、

それまでの1週間という空き時間が、仕事が忙しい著者に対する亡き父親の気遣いに見え、代わりにたまたま持っていた靴が代行できたということに、父親の優しさが表れているように見える。

高々数ページの中にこんなにも余韻の残る作りを含ませているから、ゆっくり読んで、読んだ後にも「はーっ」と溜め息をつきたくなる。

『ありふれた罪人』で

作家は世界を作ったわけではなく、言うべきことを言うために世界に存在している。

 という少しの卑下が書かれていますが、「言うべきことを表現する」パワーはやっぱり作家オンリーだし、著者は本当に凄かった。

2017年、良いスタート!

 

 

 

 

 

2016ベスト

ベスト
2016年に読んだ本の中から勝手なベスト10を決めましたので残しておきます。
あくまで2016年に私が読んだ、というだけですので、出版年などは一切関係ありません。
 
 
今年は子どもが産まれるというイベントを経て、感じ方がいろいろ変わった部分が多くありました(1位が女性エッセイになるとは、、)。
たくさんの良書に出会えて嬉しかったです。来年もよろしくお願いします。
 
 
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第10位
『甘美なる作戦』 / イアン・マキューアン

tacbook.hatenablog.com

文化工作という壮大な設定にも関わらず、論じられているのは主人公の繊細な恋愛、肝の小さい登場人物という不釣合いさが何とも奇妙な小説。洋書とはいえ非常に読みやすく、またキッチリとどんでん返しも感動も盛り込んだあたり日本人向けで、訳書に対する先入観を破ってくれる万人にお勧めの作品です。

 

第9位

『死んでいない者』 / 滝口悠生

tacbook.hatenablog.com

今年度芥川賞受賞作、2016年に初めて読んでハマッた作家の一人。身内の死というセンセーショナルなイベントの中でも、悲しみだけでない幾分かの爽快さやスッキリさ、或いは死とは全く無関係なところでの群像劇を描いた作品。どんなドラスティックな場面でも淡々とした日常は流れるという真実を30名以上(!)の主人公で表現した辺りがツボでした。今後も読みたい作家です。

 

 

第8位

『STONER』 / ジョン・ウィリアムズ

tacbook.hatenablog.com

翻訳大賞の第1回読者賞。ストーナーという1人の男性の生涯を淡々と描いただけの小説で、起伏もなく喜びも少ない物語なのに、ストーナーの妻や娘を思う気持ち、これらは作品を飛び越えて自分自身に訴えかけてくるようで、読み進めるにつれどんどん気持ちが入っていきました。翻訳大賞関連はいくつか読みましたが、現時点でブッチギリに感動した作品。映画好きな方に特にお勧めの小説です。

 

 

第7位

『献灯使』 / 多和田葉子

tacbook.hatenablog.com

2016年最ぶっとび小説。約100年後の日本を描いた小説で、鎖国化した日本のどうしようもない絶望感を描いたもの。最終話『動物たちのバベル』だけをピックアップすると単なるギャグSFですが、それまでに描かれるデストピアの流れを汲むと、リスやネコが国家について語っているというぶっとびを決して嘲笑できない、それくらい鬼気迫る文章で、読後にもっともボーゼンとさせられました。2017年は著者の他の作品にもチャレンジします。

 

 

第6位

『コンビニ人間』 / 村田沙耶香

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本年度芥川賞受賞作。個人的には過去の芥川賞の中でも1、2を争う面白さでした。コンビニという極めてローカルの世界から抜け出さない30代独身女性を描いた小説。蔓延する固定観念、「フツーってなんだっけ?」なんていう問答を読んだ人同士で議論できるような余白を持った、芥川賞の通念を覆すほど普遍的で長く読まれる作品と思います。村田沙耶香さん、なかなか癖のある作品が多そうですが来年も読もう。

 

 

第5位

永い言い訳』 / 西川美和

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今年映像化もされた、監督自ら筆を取った原作。主人公のいやーーーーーーーな感じ、これは読み進める度に自分のことを言われているように感じる眉ひそめ感、、登場人物は一見淡々と生きているように描写されていますが、内部ではドロッドロの波が渦巻いているということが要所要所で感じ取れる、けどそれが何とも心地よくて、文字でしか表現しえない芸術であることをまざまざと見せ付けられました。小説→映画化の流れはあまり好きではありませんが本作は別格、2017年は遅ればせながら映画も観なければなりません。

 

 

第4位

『i(アイ)』 / 西加奈子

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年の瀬に出た西さん最新作。『サラバ!』の延長ともいうべき自意識のオンパレード、主人公の優しさに何度も涙しながらも、最後には必ず光射すというカタルシスもある、小説としてこれ以上ない完成度!途中で何度も繰り返される「第三者とは何か」、小説を読んだ人と膝を突き合わせて議論したくなるテーマであり、西さんがデビューから一貫して模索してきたテーマでもあり、長い間追っかけてきた身としては正に集大成と感じる小説です。

 

 

第3位

『悪と仮面のルール』 / 中村文則

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毎年必ずランクインする著者、本作ははじめて読んだ『何もかも憂鬱な夜に』に匹敵するほど感銘をうけた作品。「生とは、死とは、悪とは」といった究極の問いに真正面から答え続ける姿勢が前面に出ていて、ここ数年のエンタメ路線とはまた異なるテイストです。見所は、人を殺すことについてテロ集団の1人とひたすら議論した中盤のシーン、これは中学校の国語の教科書に載せるべきなんじゃないかと個人的には思ったり、切り取って壁に貼っておくべきだと個人的には思ったり。中村文則さん入門書としてもおススメ!これからも追いかけます。

 

 

第2位

『七帝柔道記』 / 増田俊也

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昨年1位にした『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』に続く増田さん作品。学生時代の柔道部生活を2年程度描いた自伝にも関わらず、七帝柔道という現代に脈々と受け継がれるリアルPFP決定戦をベースに、部員たちが命懸けで勝ちを目指す姿にもう涙ボロボロでした。最後の試合にまさかの怪我で欠場という呆気なさで物語が終わる苦しさも、小説でないノンフィクションだからこそ出るフィクションさ!男性物書きで今最も筆力を持った方だと改めて感じました。全男子汗かいて読んでほしい!

 

 

第1位

『きみは赤ちゃん』 / 川上美映子

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川上未映子さんの育児エッセイ。クセの強い性格、文章の著者に初めての子どもができ、出産、育児を通じて感じたことを綴っています。世に言う「子どもは絶対可愛いということ」、その事実に対して表現者として真っ向から疑問を抱いて意見する姿はすごくカッコ良くて、それが第三者としてでなくママとなっても実行したところに魅力を感じました。また、理詰めの文章の中にも「ただただキミが可愛い」という理論で片付かない感情丸出しのシーンもあって、改めて子どもを育てるという不思議さや素敵さを感じさせてくれます。多くの育児エッセイを読みましたが、喜怒哀楽すべて詰め込まれた本作はその中でも最もキラキラしてて、2016年1位に選びました。

 

 

2016年サヨナラ!!