bookworm's digest

33歳二児のエンジニアで、日記をずらずら書いていきます

記事一覧 ブログ内ランキング 本棚

2015/09/20 『孤独か、それに等しいもの』 / 大崎義生
2015/09/17 『今日を歩く』 / いがらしみきお
2015/09/16 『ケンブリッジ・クインテット』 / ジョン・L・キャスティ
2015/09/06 『裸でも生きる2』 / 山口絵理子
2015/09/02 『数学的にありえない(下)』 / アダム・ファウアー
2015/08/30 『だから日本はズレている』 / 古市憲寿
2015/08/28 『数学的にありえない(上)』 / アダム・ファウアー
2015/08/18 『僕は問題ありません』 / 宮崎夏次系
2015/08/16 『世界の終わりと夜明け前』 / 浅野いにお
2015/08/13 『ワイフ・プロジェクト』 / グラム・シムシオン
2015/08/13 『伊藤くんA to E』 / 柚木麻子
2015/07/30 『断片的なものの社会学』 / 岸政彦
2015/07/25 『雨のなまえ』 / 窪美澄
2015/07/22 『愛に乱暴』 / 吉田修一
2015/07/19 『ナイルパーチの女子会』 / 柚木麻子
2015/07/15 『ひらいて』 / 綿矢りさ
2015/07/13 『るきさん』 / 高田文子
2015/06/24 『装丁を語る。』 / 鈴木成一
2015/06/16 『春、戻る』 / 瀬尾まいこ
2015/06/13 『かわいそうだね?』 / 綿矢りさ
2015/06/12 『未来国家ブータン』 / 高野秀行
2015/06/09 『存在しない小説』 / いとうせいこう
2015/06/02 『帰ってきたヒトラー』 / ティムールヴェルメシュ
2015/05/31 『流転の魔女』 / 楊逸
2015/05/21 『火花』 / 又吉直樹
2015/05/19 『あと少し、もう少し』 / 瀬尾まいこ
2015/05/17 『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』 / 古市憲寿、上野千鶴子
2015/05/02 『切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』 / 佐々木中
2015/04/26 『恋するソマリア』 / 高野秀行
2015/04/25 『アル中ワンダーランド』 / まんしゅうきつこ
2015/04/23 『レンタルお姉さん』 / 荒川龍
2015/04/17 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』 / J.D.サリンジャー
2015/04/12 『しょうがの味は熱い』 / 綿矢りさ
2015/04/07 『ペナンブラ氏の24時間書店』 / ロビン・スローン
2015/03/26 『せいめいのはなし』 / 福岡伸一
2015/03/25 『やりたいことは二度寝だけ』 / 津村記久子
2015/03/21 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(下)』 / 増田俊也
2015/03/14 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上)』 / 増田俊也
2015/03/06 『元職員』 / 吉田修一
2015/02/28 『黄金の少年、エメラルドの少女』 / Yiyun Li
2015/02/23 『太陽・惑星』 / 上田岳弘
2015/02/14 『迷宮』 / 中村文則
2015/02/11 『僕は君たちに武器を配りたい』 / 滝本哲史
2015/02/08 『斜光』 / 中村文則
2015/02/04 『この人たちについての14万字ちょっと』 / 重松清
2015/01/27 『名もなき孤児たちの墓』 / 中原昌也
2015/01/18 『満願』 / 米澤穂信
2015/01/15 直木賞
2015/01/15 『Hurt』 / Syrup16g
2015/01/14 『地下の鳩』 / 西加奈子
2015/01/10 『きょうのできごと』 / 柴崎友香
2015/01/05 『月と雷』 / 角田光代
2015/01/02 『カワイイ地獄』 / ヒキタクニオ
2014/12/31 『死んでも何も残さない』 / 中原昌也
2014/12/30  2014年ベスト
2014/12/18 『サラバ!下』 / 西加奈子
2014/12/13 『サラバ!上』 / 西加奈子
2014/12/12 『できそこないの男たち』 / 福岡伸一
2014/12/4 『ザ・万歩計』 / 万城目学
2014/12/1 『ぼくには数字が風景に見える』 / ダニエル・タメット
2014/11/25 『アズミ・ハルコは行方不明』 / 山内マリコ
2014/11/19 『勝手にふるえてろ』 / 綿矢りさ
2014/11/13 『ジャージの二人』 / 長嶋有
2014/11/6 『8740』 / 蒼井優
2014/11/5 『計画と無計画のあいだ』 / 三島邦弘
2014/10/31 『問いのない答え』 / 長嶋有
2014/10/29 『ジュージュー』 / よしもとばなな
2014/10/20 『Bon Voyage』 / 東京事変
2014/10/17 『女たちは二度遊ぶ』 / 吉田修一
2014/10/15 『カソウスキの行方』 / 津村記久子
2014/10/10 『69(シクスティナイン)』 / 村上龍
2014/10/3 『論理と感性は相反しない』 / 山崎ナオコーラ
2014/9/28 『最後の家族』 / 村上龍
2014/9/25 『グラスホッパー』 / 伊坂幸太郎
2014/9/23 『エヴリシング・フロウズ』 / 津村記久子
2014/9/13 『神様のケーキを頬ばるまで』 / 彩瀬まる
2014/8/23 『西加奈子と地元の本屋』 / 西加奈子・津村記久子
2014/8/10 『蘇る変態』 / 星野源
2014/8/4  『ジョゼと虎と魚たち』 / 田辺聖子
2014/7/31 『マイ仏教』 / みうらじゅん
2014/7/23 『オールラウンダー廻』 / 遠藤浩輝
2014/7/17 『ゴールデンスランバー』 / 伊坂幸太郎
2014/7/16 『百万円と苦虫女』 / タナダユキ
2014/7/8  『人生エロエロ』 / みうらじゅん
2014/6/28  駄文・本を読まない場合
2014/6/8  『平常心のレッスン』 / 小池龍之介
2014/6/5  『僕らのごはんは明日で待ってる』 / 瀬尾まいこ
2014/5/27 『泣き虫チエ子さん』 / 益田ミリ
2014/5/25 『動的平衡2 生命は自由になれるのか』 / 福岡伸一
2014/5/14 『春にして君を離れ』 / アガサ・クリスティー
2014/5/9  『統計学が最強の学問である』 / 西内啓
2014/5/1  『不格好経営』 / 南場智子
2014/4/27 『きみの友だち』 / 重松清
2014/4/22 『善き書店員』 / 木村俊介
2014/4/15 『人生オークション』 / 原田ひ香
2014/4/8  『疲れすぎて眠れぬ夜のために』 / 内田樹
2014/4/1  『戸村飯店 青春100連発』 / 瀬尾まいこ
2014/3/28 『完全なる証明』 / Masha Gessen
2014/3/22 『渾身』 / 川上健一
2014/3/16 『憂鬱でなければ、仕事じゃない』 / 見城徹、藤田晋
2014/3/12 『恋文の技術』 / 森見登美彦
2014/3/6  『国境の南、太陽の西』 / 村上春樹
2014/2/28 『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』 / 福岡伸一
2014/2/23 『雪国』 / 川端康成
2014/2/17 『ロマンスドール』 / タナダユキ
2014/2/15 『それから』 / 夏目漱石
2014/2/11 『悩む力』 / 姜尚中
2014/2/5  『暗号解読<下>』(1) / Simon Lehna Singh
2014/1/31 『暗号解読<上>』 / Simon Lehna Singh
2014/1/26 『脳には妙なクセがある』 / 池谷裕二
2014/1/19 『何者』 / 朝井リョウ
2014/1/15 『ポースケ』 / 津村記久子
2014/1/13 駄文・2013年と2014年の読書について
2014/1/8  『×と○と罪と』 / RADWIMPS
2013/12/29  2013年ベスト
2013/12/23 『骨を彩る』 / 彩瀬まる
2013/12/18 『愛を振り込む』 / 蛭田亜紗子
2013/12/11 『あなたの前の彼女だって、むかしはヒョードルだのミルコだの言っていた筈だ』 / 菊池成孔
2013/12/4 『円卓』 / 西加奈子
2013/11/26 『暗い夜、星を数えて』 / 彩瀬まる
2013/11/24 『お父さん大好き』 / 山崎ナオコーラ
2013/11/16 『BEST2』 / TOMOVSKY
2013/11/10 『人のセックスを笑うな』 / 山崎ナオコーラ
2013/11/9 『困ってるひと』 / 大野更紗
2013/11/4 『ジ・エクストリーム・スキヤキ』 / 前田司郎
2013/11/3 『こころの処方箋』 / 河合隼雄
2013/10/27 『朗読者』 / Bernhard Schlink
2013/10/24  駄文・フーリエ変換について
2013/10/16 『ノーライフキング』 / いとうせいこう
2013/10/11 『東京百景』 / 又吉直樹
2013/10/7 『社会を変える驚きの数学』 / 合原一幸
2013/10/4 『楽園のカンヴァス』 / 原田マハ
2013/9/29 『ともだちがやってきた。』 / 糸井重里
2013/9/28 『若いぼくらにできること』 / 今井雅之
2013/9/21 『勝間さん、努力で幸せになりますか』 / 勝間和代 × 香山リカ
2013/9/17 『シャッター商店街と線量計』 / 大友良英
2013/9/8  『ハンサラン 愛する人びと』 / 深沢潮
2013/9/7  駄文・読書時間について
2013/8/31 『幻年時代』 / 坂口恭平
2013/8/26 『人間失格』 / 太宰治
2013/8/21 『天国旅行』 / 三浦しをん
2013/8/17 『野心のすすめ』 / 林真理子
2013/8/7  『フェルマーの最終定理』 / Simon Lehna Singh
2013/8/4  『本棚の本』 / Alex Johnson
2013/7/31 『これからお祈りにいきます』 / 津村記久子
2013/7/26 『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』 / 山田詠美
2013/7/20 『殺戮にいたる病』 / 我孫子武丸
2013/7/15 駄文・どんでん返しミステリーについて
2013/7/15 『ツナグ』 / 辻村深月
2013/7/11 『岳物語』 / 椎名誠
2013/7/9  『黄金を抱いて翔べ』 / 高村薫
2013/7/2  『工場』 / 小山田浩子
2013/6/25 駄文・スマートフォンの功罪について
2013/6/22 『ぼくは勉強ができない』 / 山田詠美
2013/6/15 『少女は卒業しない』 / 朝井リョウ
2013/6/12 『死の壁』 / 養老孟司
2013/6/7  『卵の緒』 / 瀬尾まいこ
2013/6/6  『一億総ツッコミ時代』 / 槙田雄司
2013/5/28 『うたかた / サンクチュアリ』 / 吉本ばなな
2013/5/24 『ルック・バック・イン・アンガー』 / 樋口毅宏
2013/5/20 『クラウドクラスターを愛する方法』 / 窪美澄
2013/5/17 『けむたい後輩』 / 柚木麻子
2013/5/13 『あの人は蜘蛛を潰せない』 / 彩瀬まる
2013/5/10 駄文・本と精神について
2013/4/30 『想像ラジオ』 / いとうせいこう
2013/4/22 『あなたの中の異常心理』 / 岡田尊司
2013/4/10 『千年の祈り』 / Yiyun Li
2013/4/5  駄文・文学賞について
2013/3/31 『今夜、すべてのバーで』 / 中島らも
2013/3/22 『何もかも憂鬱な夜に』 / 中村文則
2013/3/13 『生物と無生物のあいだ』 / 福岡伸一
2013/3/10 駄文・紙と電子について
2013/3/2  『ウエストウイング』 / 津村記久子
2013/2/24 『ブッダにならう 苦しまない練習』 / 小池龍之介
2013/2/16 『みずうみ』 / よしもとばなな
2013/2/8  『何歳まで生きますか?』 / 前田隆弘
2013/2/3  『ワーカーズ・ダイジェスト』 / 津村記久子

工事中…

ブクログというサイトで読んだ本のログをつけています。
tacbonaldの本棚




HUNTER×HUNTER

 

HUNTER×HUNTER 34 (ジャンプコミックス)

HUNTER×HUNTER 34 (ジャンプコミックス)

 

 



HUNTER×HUNTER』    /    冨樫義博

 

(説明(34巻))
天空闘技場でヒソカとクロロの死闘開始!! 新能力を披露しつつヒソカを追い詰めるクロロ。極限の闘いで勝つのは!? そして、暗黒大陸へ出航したクラピカとカキン王国王子達。だが早速不可解な死が…。

 

 

近頃、本を読んでもブログを書くことをさぼりがちだったので、リハビリがてらまずは漫画から、、

お盆休みで奥さん側の実家に帰った時あるある、「妙に余る時間」を利用して、数年間読んでなかったHUNTER×HUNTERの未読部分(32巻〜34巻)を読みました。

いやぁ〜〜、、、、相変わらずすごいの一言、上がったハードルを何度でも超えてくる面白さでした。

 

今回読んだ3冊はキメラ蟻という超強大な生物たちとの戦いの後からで、ハンター協会の故・ネテロ会長の息子であるビヨンドとともに、暗黒大陸と呼ばれる世界へ向かうシリーズ。

暗黒大陸とは要するに「今生きている世界の外側」、

古い話ですが鈴木光司さんの『リング』シリーズでも出てきたような概念で、今ここに生きている世界は実は別のマクロな世界の一部分に過ぎないという設定(太陽系を包含する別の銀河系、、のような)。

そこは人間界に多大な恩恵をもたらすとされる自然が広がる一方で、破滅へと向かわせる危険度Aクラスの生物も生息する未開の地、正に少年ジャンプ宜しくの冒険浪漫譚設定。

、、なのですが、そこを簡単には終わらせないのが冨樫さん。

HUNTER×HUNTERの魅力の1つに

 

「少年誌ではあり得ないほど難解な設定と、シリーズの終わり(或いは跨ぎ)にかけて怒涛のように回収される伏線」

 

があると思ってますが今回なんて正にそう。

33巻にはビヨンドに雇われた者たち十数人、次期国王を今後争うであろう王子及び王妃十数人、彼らを護衛する者たち十数人と、あっという間に40名ほどの新キャラが登場します。

また、34巻にはクロロvsヒソカという、20年近くのファンからすると垂涎もののバトルが描写されているものの、その能力や戦術はあまりにも難解。

 

けれど思えば幻影旅団編もグリードアイランド編もキメラ蟻編も初めはいつもそうで、こんなに風呂敷広げといてどうやって最後畳むねんと訝しがりながらも、終わったみれば「ああ、また冨樫にしてやられた」とソファに沈み込んで遠い目にならざるを得ない、そんな経験を何度もしてきたからこそ今回も(何年かかるか分かりませんが)この始めの難解な展開に何とかついていって、数年後に待つカタルシスに備えようと思います。

 

今回読んだ3冊の個人的ハイライトは、ジンとゴンが世界樹のてっぺんで「今ここに無いもの」について語るシーン(てんで的外れかもしれませんが、既存の枠に囚われないという意味で仕事への啓発にもなりました笑)、

それと雑魚イメージの強かったヒソカがクロロとの戦闘を経ていよいよ頭角を現し始めたところです。

 

さあ次は何年後になるのやら、、特にヤキモキもせず、気づいたら出てましたくらいのノリで待ちたいと思います。

 

 

 

去年ルノアールで

 

去年ルノアールで

去年ルノアールで

 

 去年ルノアールで』    /     せきしろ

 

★    ×    85

 

(内容紹介)
私は今日もルノアールにいた。誰かに頼まれたわけではない。誰かに呼ばれたわけでもない。自主的にだ。帰巣本能? いや違う。犯罪者が現場に戻る心理? いや全く違う。要は、暇だからだ……。

 

引き続きせきしろさん。この1ヵ月せきしろさんしか読んでいないので、ここいらで一回ストップしたいと思います。笑

今を彩る星野源が数年前に主役でドラマ化された、おそらく著者の作品の中で最も有名と思われるエッセイ。

仕事がない頃、喫茶店のルノアールでひたすら時間をつぶしていた著者の観察日記です。

 

「人に見られる意識を持った日記」なので、ルノアールで起こった出来事を面白おかしく、妄想も交えながら綴っているのですが、さすがに1冊の本の形で読むと途中で飽きが来ました、、

みうらじゅんさんの『人生エロエロ - bookworm's digest』的感覚、雑誌のコラムで月1で読むくらいのノリが一番楽しめると思いました。

 

とは言え、些細な出来事に対してせきしろ節の角度で描写する凄さはやっぱ感動します。

この物書きとしての下積み時代(?)が、その後の『ダイオウイカは知らないでしょう - bookworm's digest

』のような研ぎ澄まされた表現に繋がると思うと感慨深い。

 

時間を置いてまたせきしろワークスを追いかけたいと思います。読書の夏!

 

逡巡

 

逡巡

逡巡

 

 

 

『逡巡』    /     せきしろ

 

★    ×    85

 

内容(「BOOK」データベースより)
「実は私、あの時あなたに助けられた…」思いもよらぬ囁き。ということは、一連の行動は恩返しだったわけか/『バカ』。私の半生はこの一語に出会うまでの長い前振りだったのか/干上がる涙、空まわりする思い、神のご褒美、そして雪国の奇蹟…。自由律俳句、108文字の煩悩小説等で文藝の地平を広げる鬼才が紡ぐ日常と非日常、今昔と北の大地の物語。

 

引き続きせきしろさん。目次を見てびっくり、大量の短編が入った超短編集!

ダイオウイカは知らないでしょう - bookworm's digest』で見せた短歌のように、短い文章に様々なストーリーを凝縮した、せきしろマジックな作品でした。

 

ほとんどの小説が、ありふれた展開が初めにあって、最後の2, 3文で急激に落とす(オチに持ってく)という感じで、オチというのが大体笑えるものか悲しい(或いはちょっと恐怖)もの。

前者だと例えば『放火』、

 

①主人公は放火を企んでいて、今夜いよいよ実行するためにライターを買いに行く。

②気合い入れてライター専門店に入ると、予想以上に様々な魅力あるライターに魅了され、放火のことを忘れてライターの収集家となった。

③その後収集したライターを売り払って引退し、今は有機野菜を栽培して暮らしている。

 

というもの。なんじゃそりゃ笑

勝手なイメージですが、①から②までは何か他の作家でも読んだことあるような感じの展開ですが、

最後の③、これがたったの1文ですが、②にもう1つ加えるところが特徴的だなぁと思いました。

あーー今書きながら思ったけど、バナナマン東京03のコントのような作りになってるものが多い気がしました。放送作家のよう。

 

 

あと後者で言えば、2章『野球チームを作りたいがあと八人足りない』に収録されている短編は大体物悲しく、個人的には悲しい文章の方が更にせきしろさんの魅力が詰まっているような気がします(本人のバックボーンとか知ってから読んでるからかもしれませんが)。

 

こういう作品は1冊にまとまると流石にちょっと飽きが来ますが、寝る前にちょくちょく摘むくらいでちょうどいいかもしれません。

次もせきしろさん!

 

 

 

1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった

 

 

1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった

1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった

 

 

『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』   /    せきしろ

 

★    ×    88

 

内容(「BOOK」データベースより)
深夜ラジオだけが世界との接点だった。それで十分だった。伝説のハガキ職人せきしろが自身の「あの頃」を描いた自伝的小説。

 

勝手に「せきしろ月間」として、小説2冊とエッセイ1冊を買いました。

本作はそのうちの1つ、せきしろ作品で最新の小説です。

北海道から「受験してくる」と親に嘘ついて上京したきり、全く実家に帰らずひたすらハガキ職人として生きていた著者の自伝的小説。

 

 

ダイオウイカは知らないでしょう - bookworm's digest』を読んで、せきしろさんの独特すぎる感性にしてやられましたが、その感性は思っていた通り、クラスで目立つまではいかないけれど脳内では常に爆笑を取り続けているような、まさに又吉さんの描く自意識ものと同じように磨かれたものであることが分かります。

特に上京するまでと上京してからの流れ、

 

友人にお笑いやろうぜと誘われて、上京してからは一生懸命表に立とうと(喋りのうまい友人の利用しながら)奮闘していたら、友人から「辞める」と言われたシーン

 

なんて、痛々しすぎて涙出そう。

そういった燻りエピソードを経て、最終的に著者はとあるラジオ番組にネタを投稿し、採用された時の喜びからハガキ職人としての生活を歩み出す。

現在のせきしろさんの感性を築いたのは、この時期なのでしょう。

 

 

んで面白いのが、東京でも同じハガキ職人として活動する友人ができ、

友人はラジオへの投稿を足掛かりに放送作家になる夢を持っているのですが、主人公はそんな友人に冷めているところ。

学生時代にお笑いやろうと意気込んで出てきた

主人公の(というかせきしろさんの笑)向上心はどこへやら、

東京での数年を経て、夢も何も持たなくなった主人公の(せきしろさんの)姿が後半描かれています笑。

 

小説というか自叙伝なので、最後の最後まで特に起伏なく終わって少し物足りませんが、秀でたネガティブ・自意識表現を持つ著者の小説としてはオンリーワンでした!

 

あと、収録された超短編『でも』が素晴らしく良かった。

残高59円となり、実家の母親にお金を振り込んで欲しいと頼むだけの話ですが、『ダイオウイカは知らないでしょう - bookworm's digest』で感じたような、短い文章でググっと引き寄せられる感覚、随所に感じられて、個人的にせきしろさんは小説よりエッセイの方が好きかなと感じました。

 

今月はあと2冊、せきしろさんを学びたいと思います。

 

ダイオウイカは知らないでしょう

 

ダイオウイカは知らないでしょう

ダイオウイカは知らないでしょう

 

 



『ダイオウイカは知らないでしょう』 /    せきしろ西加奈子

 

★    ×    95

 

内容(「BOOK」データベースより)
気鋭の作家二人が、三十一字に入魂!限られた字数に秘められためくるめく妄想と物語は味わい方も無限大。穂村弘東直子山崎ナオコーラいとうせいこう、華恵、山里亮太ミムラ光浦靖子星野源俵万智勝山康晴山口隆ともさかりえ入山法子…個性豊かな14人のゲストたちとともに、言葉遊びの世界を大冒険。

 

テーマに沿って著者2人、及びさまざまなゲストが短歌を詠み、談笑するのを纏めたもの。

これはサイコーに面白かった、、最近重め・暗めの作品を続けて読んでいた反動からか、久しぶりに電車でニヤニヤして読みました。

そしてせきしろさんという素晴らしい作家との出会い!!今まで知らずにごめんなさいでした!!

 

もともと本作を手に取ったのは西加奈子さんの名前があったから。

西加奈子さんはベスト5に入るくらい好きな女性作家で、特に近年の『サラバ!上 - bookworm's digest』や『i(アイ) - bookworm's digest』の

「自意識!」や「世界!」

みたいなド直球なテーマにまっすぐ闘った小説が本当に素晴らしく、また本人もすごく魅力的な方で、握手会ならぬサイン会にも2度ほど行きました。

一方のせきしろさんは、又吉さんとの共著が昔本屋に並んでいたなぁというだけのイメージで、作品はおろか本人の顔、年齢、経歴も一切知らないままでした。

だから本作に期待していたのは、あれほど分厚い小説に込めた西加奈子さんの感性が、短歌という31文字になるとどう違った角度で伝わるのかなぁというものでした。

 

ただ読み終わった今は、ただただせきしろさんの感性にヤラれました、、笑

短歌なので偉そうにレビューなんかできないですが、せきしろさんが詠むなんとも言えない悲しさ、可笑しさにまずページが止まり、

んでそのあとのトークで短歌の解釈が為されて腑に落ち、

その後改めて短歌を見返してポーッとする、その繰り返しでした。

また、西加奈子さん以外にも光浦靖子さん、星野源さん、そしてサラダ記念日の重鎮、俵万智さんなど、言語関係の仕事を持つ著名な方々も一緒になって詠むのですが、

奇しくも何を詠んでも尚、相対的に見てせきしろさんのがより輝くという形になってしまいました。(失礼な文章ですみません)

伝わらないので、特に印象的だったせきしろ歌を引用しておきます。

テーマ「体育館」

ボールのはねる音が思った以上に大きいからあわてて止めた

テーマ「飲む」

老人は薬を飲むものなんだと 泣かないものだと思っていた

テーマ「ゆずこしょう」

喧嘩しているがご飯は作ってある 柚子胡椒まで用意してある

テーマ「鳴る」

自転車のベルを鳴らされすぐ避ける まだ鳴らしている そういう人か

テーマ「痒い」

女子の手に虫刺されの跡見つけなんか嫌いに 自分のは良い 

 

また、最後にクロスエッセイという、一方の短歌を詠んでもう一方がそれにまつわるエッセイを書くという、お二人にしかできない章があるのですが、

そこに出てくる、西加奈子さんの詠んだ歌に対するせきしろさんのエッセイがもう上手すぎて上手すぎて、、、!!(特に1つ目のエッセイ悶えました)

 

 

読後の帰り道、即座にせきしろさんの小説を買ってみました笑

今年の残りでどっぷりせきしろワールドに浸かります!!