bookworm's digest

33歳二児のエンジニアで、日記をずらずら書いていきます

記事一覧 ブログ内ランキング 本棚

2015/09/20 『孤独か、それに等しいもの』 / 大崎義生
2015/09/17 『今日を歩く』 / いがらしみきお
2015/09/16 『ケンブリッジ・クインテット』 / ジョン・L・キャスティ
2015/09/06 『裸でも生きる2』 / 山口絵理子
2015/09/02 『数学的にありえない(下)』 / アダム・ファウアー
2015/08/30 『だから日本はズレている』 / 古市憲寿
2015/08/28 『数学的にありえない(上)』 / アダム・ファウアー
2015/08/18 『僕は問題ありません』 / 宮崎夏次系
2015/08/16 『世界の終わりと夜明け前』 / 浅野いにお
2015/08/13 『ワイフ・プロジェクト』 / グラム・シムシオン
2015/08/13 『伊藤くんA to E』 / 柚木麻子
2015/07/30 『断片的なものの社会学』 / 岸政彦
2015/07/25 『雨のなまえ』 / 窪美澄
2015/07/22 『愛に乱暴』 / 吉田修一
2015/07/19 『ナイルパーチの女子会』 / 柚木麻子
2015/07/15 『ひらいて』 / 綿矢りさ
2015/07/13 『るきさん』 / 高田文子
2015/06/24 『装丁を語る。』 / 鈴木成一
2015/06/16 『春、戻る』 / 瀬尾まいこ
2015/06/13 『かわいそうだね?』 / 綿矢りさ
2015/06/12 『未来国家ブータン』 / 高野秀行
2015/06/09 『存在しない小説』 / いとうせいこう
2015/06/02 『帰ってきたヒトラー』 / ティムールヴェルメシュ
2015/05/31 『流転の魔女』 / 楊逸
2015/05/21 『火花』 / 又吉直樹
2015/05/19 『あと少し、もう少し』 / 瀬尾まいこ
2015/05/17 『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』 / 古市憲寿、上野千鶴子
2015/05/02 『切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』 / 佐々木中
2015/04/26 『恋するソマリア』 / 高野秀行
2015/04/25 『アル中ワンダーランド』 / まんしゅうきつこ
2015/04/23 『レンタルお姉さん』 / 荒川龍
2015/04/17 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』 / J.D.サリンジャー
2015/04/12 『しょうがの味は熱い』 / 綿矢りさ
2015/04/07 『ペナンブラ氏の24時間書店』 / ロビン・スローン
2015/03/26 『せいめいのはなし』 / 福岡伸一
2015/03/25 『やりたいことは二度寝だけ』 / 津村記久子
2015/03/21 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(下)』 / 増田俊也
2015/03/14 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上)』 / 増田俊也
2015/03/06 『元職員』 / 吉田修一
2015/02/28 『黄金の少年、エメラルドの少女』 / Yiyun Li
2015/02/23 『太陽・惑星』 / 上田岳弘
2015/02/14 『迷宮』 / 中村文則
2015/02/11 『僕は君たちに武器を配りたい』 / 滝本哲史
2015/02/08 『斜光』 / 中村文則
2015/02/04 『この人たちについての14万字ちょっと』 / 重松清
2015/01/27 『名もなき孤児たちの墓』 / 中原昌也
2015/01/18 『満願』 / 米澤穂信
2015/01/15 直木賞
2015/01/15 『Hurt』 / Syrup16g
2015/01/14 『地下の鳩』 / 西加奈子
2015/01/10 『きょうのできごと』 / 柴崎友香
2015/01/05 『月と雷』 / 角田光代
2015/01/02 『カワイイ地獄』 / ヒキタクニオ
2014/12/31 『死んでも何も残さない』 / 中原昌也
2014/12/30  2014年ベスト
2014/12/18 『サラバ!下』 / 西加奈子
2014/12/13 『サラバ!上』 / 西加奈子
2014/12/12 『できそこないの男たち』 / 福岡伸一
2014/12/4 『ザ・万歩計』 / 万城目学
2014/12/1 『ぼくには数字が風景に見える』 / ダニエル・タメット
2014/11/25 『アズミ・ハルコは行方不明』 / 山内マリコ
2014/11/19 『勝手にふるえてろ』 / 綿矢りさ
2014/11/13 『ジャージの二人』 / 長嶋有
2014/11/6 『8740』 / 蒼井優
2014/11/5 『計画と無計画のあいだ』 / 三島邦弘
2014/10/31 『問いのない答え』 / 長嶋有
2014/10/29 『ジュージュー』 / よしもとばなな
2014/10/20 『Bon Voyage』 / 東京事変
2014/10/17 『女たちは二度遊ぶ』 / 吉田修一
2014/10/15 『カソウスキの行方』 / 津村記久子
2014/10/10 『69(シクスティナイン)』 / 村上龍
2014/10/3 『論理と感性は相反しない』 / 山崎ナオコーラ
2014/9/28 『最後の家族』 / 村上龍
2014/9/25 『グラスホッパー』 / 伊坂幸太郎
2014/9/23 『エヴリシング・フロウズ』 / 津村記久子
2014/9/13 『神様のケーキを頬ばるまで』 / 彩瀬まる
2014/8/23 『西加奈子と地元の本屋』 / 西加奈子・津村記久子
2014/8/10 『蘇る変態』 / 星野源
2014/8/4  『ジョゼと虎と魚たち』 / 田辺聖子
2014/7/31 『マイ仏教』 / みうらじゅん
2014/7/23 『オールラウンダー廻』 / 遠藤浩輝
2014/7/17 『ゴールデンスランバー』 / 伊坂幸太郎
2014/7/16 『百万円と苦虫女』 / タナダユキ
2014/7/8  『人生エロエロ』 / みうらじゅん
2014/6/28  駄文・本を読まない場合
2014/6/8  『平常心のレッスン』 / 小池龍之介
2014/6/5  『僕らのごはんは明日で待ってる』 / 瀬尾まいこ
2014/5/27 『泣き虫チエ子さん』 / 益田ミリ
2014/5/25 『動的平衡2 生命は自由になれるのか』 / 福岡伸一
2014/5/14 『春にして君を離れ』 / アガサ・クリスティー
2014/5/9  『統計学が最強の学問である』 / 西内啓
2014/5/1  『不格好経営』 / 南場智子
2014/4/27 『きみの友だち』 / 重松清
2014/4/22 『善き書店員』 / 木村俊介
2014/4/15 『人生オークション』 / 原田ひ香
2014/4/8  『疲れすぎて眠れぬ夜のために』 / 内田樹
2014/4/1  『戸村飯店 青春100連発』 / 瀬尾まいこ
2014/3/28 『完全なる証明』 / Masha Gessen
2014/3/22 『渾身』 / 川上健一
2014/3/16 『憂鬱でなければ、仕事じゃない』 / 見城徹、藤田晋
2014/3/12 『恋文の技術』 / 森見登美彦
2014/3/6  『国境の南、太陽の西』 / 村上春樹
2014/2/28 『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』 / 福岡伸一
2014/2/23 『雪国』 / 川端康成
2014/2/17 『ロマンスドール』 / タナダユキ
2014/2/15 『それから』 / 夏目漱石
2014/2/11 『悩む力』 / 姜尚中
2014/2/5  『暗号解読<下>』(1) / Simon Lehna Singh
2014/1/31 『暗号解読<上>』 / Simon Lehna Singh
2014/1/26 『脳には妙なクセがある』 / 池谷裕二
2014/1/19 『何者』 / 朝井リョウ
2014/1/15 『ポースケ』 / 津村記久子
2014/1/13 駄文・2013年と2014年の読書について
2014/1/8  『×と○と罪と』 / RADWIMPS
2013/12/29  2013年ベスト
2013/12/23 『骨を彩る』 / 彩瀬まる
2013/12/18 『愛を振り込む』 / 蛭田亜紗子
2013/12/11 『あなたの前の彼女だって、むかしはヒョードルだのミルコだの言っていた筈だ』 / 菊池成孔
2013/12/4 『円卓』 / 西加奈子
2013/11/26 『暗い夜、星を数えて』 / 彩瀬まる
2013/11/24 『お父さん大好き』 / 山崎ナオコーラ
2013/11/16 『BEST2』 / TOMOVSKY
2013/11/10 『人のセックスを笑うな』 / 山崎ナオコーラ
2013/11/9 『困ってるひと』 / 大野更紗
2013/11/4 『ジ・エクストリーム・スキヤキ』 / 前田司郎
2013/11/3 『こころの処方箋』 / 河合隼雄
2013/10/27 『朗読者』 / Bernhard Schlink
2013/10/24  駄文・フーリエ変換について
2013/10/16 『ノーライフキング』 / いとうせいこう
2013/10/11 『東京百景』 / 又吉直樹
2013/10/7 『社会を変える驚きの数学』 / 合原一幸
2013/10/4 『楽園のカンヴァス』 / 原田マハ
2013/9/29 『ともだちがやってきた。』 / 糸井重里
2013/9/28 『若いぼくらにできること』 / 今井雅之
2013/9/21 『勝間さん、努力で幸せになりますか』 / 勝間和代 × 香山リカ
2013/9/17 『シャッター商店街と線量計』 / 大友良英
2013/9/8  『ハンサラン 愛する人びと』 / 深沢潮
2013/9/7  駄文・読書時間について
2013/8/31 『幻年時代』 / 坂口恭平
2013/8/26 『人間失格』 / 太宰治
2013/8/21 『天国旅行』 / 三浦しをん
2013/8/17 『野心のすすめ』 / 林真理子
2013/8/7  『フェルマーの最終定理』 / Simon Lehna Singh
2013/8/4  『本棚の本』 / Alex Johnson
2013/7/31 『これからお祈りにいきます』 / 津村記久子
2013/7/26 『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』 / 山田詠美
2013/7/20 『殺戮にいたる病』 / 我孫子武丸
2013/7/15 駄文・どんでん返しミステリーについて
2013/7/15 『ツナグ』 / 辻村深月
2013/7/11 『岳物語』 / 椎名誠
2013/7/9  『黄金を抱いて翔べ』 / 高村薫
2013/7/2  『工場』 / 小山田浩子
2013/6/25 駄文・スマートフォンの功罪について
2013/6/22 『ぼくは勉強ができない』 / 山田詠美
2013/6/15 『少女は卒業しない』 / 朝井リョウ
2013/6/12 『死の壁』 / 養老孟司
2013/6/7  『卵の緒』 / 瀬尾まいこ
2013/6/6  『一億総ツッコミ時代』 / 槙田雄司
2013/5/28 『うたかた / サンクチュアリ』 / 吉本ばなな
2013/5/24 『ルック・バック・イン・アンガー』 / 樋口毅宏
2013/5/20 『クラウドクラスターを愛する方法』 / 窪美澄
2013/5/17 『けむたい後輩』 / 柚木麻子
2013/5/13 『あの人は蜘蛛を潰せない』 / 彩瀬まる
2013/5/10 駄文・本と精神について
2013/4/30 『想像ラジオ』 / いとうせいこう
2013/4/22 『あなたの中の異常心理』 / 岡田尊司
2013/4/10 『千年の祈り』 / Yiyun Li
2013/4/5  駄文・文学賞について
2013/3/31 『今夜、すべてのバーで』 / 中島らも
2013/3/22 『何もかも憂鬱な夜に』 / 中村文則
2013/3/13 『生物と無生物のあいだ』 / 福岡伸一
2013/3/10 駄文・紙と電子について
2013/3/2  『ウエストウイング』 / 津村記久子
2013/2/24 『ブッダにならう 苦しまない練習』 / 小池龍之介
2013/2/16 『みずうみ』 / よしもとばなな
2013/2/8  『何歳まで生きますか?』 / 前田隆弘
2013/2/3  『ワーカーズ・ダイジェスト』 / 津村記久子

工事中…

ブクログというサイトで読んだ本のログをつけています。
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働けECD わたしの育児混沌記

 

 

働けECD わたしの育児混沌記

働けECD わたしの育児混沌記

 

 

『働けECD わたしの育児混沌記』   /    植本一子

 

★    ×    90

 

内容(「BOOK」データベースより)
妻(27歳写真家)と夫(51歳ラッパーECD)と娘二人(2歳と0歳)のドタバタ生活をつづった人気ブログ「働けECD」が待望の単行本化。家事に追われ、子供に泣かれ、早朝ラップで起こされて。さらに襲いかかける震災、原発の恐怖に怯えながら、楽しくも懸命に生きる石田家の毎日を、母、そして妻の視点から瑞々しく切り取る心あたたまる子育て日記です。

 

かなわない - bookworm's digest』に引き続き植本さん、とは言えこちらが前作なので時系列は逆ですが、同じく育児エッセイ。

本作は二人目の娘であるえんちゃんが生まれた2010年から、東日本大震災が襲う2011年春ごろまで、約1年の日常が描かれています。

特徴的なのは何と言っても、ECD(石田さん。著者の旦那)と著者の出費が1円単位で毎日書かれていること、そして預金残高が赤裸々に書かれていること。(!!)

『かなわない』のレビューでも書いたのですが、著者はとにかく、他者への発信目的が強いブログ媒体では見たことない程、己の全てを余すことなく曝け出しています。

本作では育児への怒りや恐れに加えて貯金と出費の公開、、これが周囲の人に知れ渡ると考えると外出歩けない、、

と思うほどおおっ広げ。そして、だからこそただのエッセイじゃ終わらない魅力がありました。

 

著者は基本的に軽い躁鬱状態にあって、怒りが頂点に達し手を出したあとで、自己嫌悪で泣き叫ぶといった場面がいくつか出てきます。

それは本人にしか分からない苦しみだからどうこうレビューできないですが、私が感じたのは怒りや悲しみが人よりも振り切れている分、家族への信頼や愛も同じように大きな振り幅を持っているということ、だからすごく人間味があるということです。

終盤、大震災により一時故郷へ避難していた著者が東京に戻る際、都内に留まっていたECDに状況を問うシーン。

これからどうなっていくか、私たちがどうするのか、まだ分からない。でも今は東京に居る。どんな偉い人の「大丈夫」より、優しい友人の「大丈夫じゃない」より、石田さんの「わからない」が一番今は安心できる。

不平不満はありつつも、根底では著者がECDに信頼を置いていて、どんな自分でもECDがいるから私たちは大丈夫だって思えていることが伝わってきてすごか感動しました。

あと最後のページ、待機児童だった娘が急遽保育園の入園することとなり、これまで通り過ごすことがあと1週間しかできないと分かって大泣きするシーン。ここも泣きそうになりました。

 

上の方で書いた通り著者の文章は己を曝け出しっぱなし、

だから家族への思いも本音の本音の本音で、怒りも愛も全部が文章そのものなので、こういった想いの描写はそこら辺のブログの比にならん程重い。

 その辺がホント素晴らしい、唯一無二の執筆家と思います。

さあ、最も重たいであろう最新作も読まねば、、!!

 

BUDDY&DADDY

 

 

BUDDY&DADDY(バディ&ダディ) (NEKO MOOK)

BUDDY&DADDY(バディ&ダディ) (NEKO MOOK)

 

 

『BUDDY&DADDY』

(内容紹介)
BUDDY&DADDYは、単なる子育ての本ではありません。イクメンの本でもありません。
子育てを義務としてではなく楽しみとして捉え、子とともに育っていこうという、今までになかった新しいコンセプトの雑誌です。

 

雑誌ですがいろいろ考えさせられたのでレビュー+駄文を書きます。タイトルと内容紹介の通り、父と子に焦点を当てた雑誌でした。

子どもとどうやって遊ぶか?に対していきなり「カナダ20日間の旅」が出てくるので、あぁこりゃ金に物言わせた富裕層をターゲットにした、現実からの脱却願望を俺みたいな庶民に焚き付けるだけの夢未来雑誌か、、と期待せず読み始めましたが、

まあ、確かに要所要所でずば抜けて金のかかる遊び(カジュアルなグランピング一式40万、、!)が出てくるのは気になりますが、内容の根底にあるのは「子どもとどう過ごすか?」という問いなので、読みながら「俺だったらどうしよう」と常に置き換えられる点が良かったです。

始めの方に出てくる文章ですが、

小学1〜6年の子どもとは、部活動や思春期・反抗期を加味すると平均して月1回、6年間で計72回しか一緒に遊びに出掛けられないと。

これを多いととるか否かは人それぞれですが、じゃあこの72回で一体あなたは子どもに何を伝えますか?という問い、これが個人的にグッと響きました。

72回、と改めて言われると、1回1回の重みが確かに変わってくるし、カナダとは行かないまでも日本の離島くらいは、、とやんわりと想像したり。

 

また、スーパーダディ協会代表の髙橋一晃さんや、秘密結社主夫の友CEOの堀込泰三さんなど、カナダ20日間とかじゃなく極めて現実的なインタビューも掲載されているので、ただの焚き付け本じゃないことは途中で分かりました。

 

私には0歳の娘がいて、まだまだ子育ての色々が分かってない時期真っ最中ですが、この1年で人間の成長とはなんとまあ神秘的で神々しくて、そして並んでいる本や聴いている音楽、親の一挙手一投足が何かしらの影響を与えていると考えると不思議で仕方ないです。

そんな中本書を読んだものだからその感覚はより強くなって、例えば朝しか会えない日に、適当に朝飯食いながら娘に向かって「イェア!」とか言ってピースしてるだけで良いのか?とふと考えるようになりました笑

やっぱ素敵な大人になって楽しい人生を歩んでもらいたいから、そのために親からの何らかの行動が影響するなら、カナダとは言わないまでも楽しませたい意識を持っていようと背筋を正されました。

 

残穢

 

残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

 

 



残穢』    /    小野不由美

 

★    ×    85

 

内容(「BOOK」データベースより)
怨みを伴う死は「穢れ」となる。穢れは怪異となり、伝染し、拡大する。戦慄の500枚書き下ろし長編ホラー。

 

いつぶりか分からんくらい、ひっさびさにホラー小説を読みました。友人のススメ本。

正確にはドキュメンタリーホラーと呼ばれるジャンルだそうで、ある怪奇現象について主人公(おそらく著者)が取材を進めていく中で次々に恐怖の要素が出てくるってやつです。

メイドインジャパン!」臭の強い、特徴だらけの小説でした。あとがきにある通り、確かにこの本を家に置いておくだけでなんなく嫌な感覚になります、、

 

はじまりは久保さんという方から主人公に届いた1通の手紙で、住んでいるアパートで時折畳が擦れるような音がするとの内容。

取材を進めるうち、芋づる式に空間方向(周辺の住人という意味)に同様の怪奇現象を確認し、そこから過去へ遡って、不慮の死を遂げた人物たちの調査に入っていきます。

本作はこの「過去へ遡り」の下りがほとんどで、昭和から大正、明治、そんで戦後戦中戦前と、どんどんと時間を逆流して調査を進める様は、途中「いやどこまで続くねん。これどこがピークやねん」と飽きがきそうになりましたが、

これ、読んだ後に分かるのですが、特にピークというピーク、「ここで恐怖して震えて眠れ!」みたいな、ビデオテープから女性が飛び出てくるようなシーンは無いんです。笑

つまり、過去に遡りまくって、終わりなんです。

 

 

私はこれでも結構な数のホラー小説を、例えば先ほど言った『リング』シリーズの鈴木光司さん、瀬名秀明さん、貴志祐介さん、あとはキモ要素で平山夢明さんの作品などを読んできた自負があるのですが、ここまでピークのないホラー小説は初めてでした。

けどこれって、読中より圧倒的に読後の方が震える。

例えば前半は怪奇現象が起こった地域の過去を遡ることで、かつて亡くなった人たちの穢れが伝染していることが分かるのですが、それを読後自分が住んでいるマンションに置き換えてしまうと、じゃあ自分がいま居るこの土地の下には何があるんだという想像して恐怖に至る。

あとがきにもありますが、過去に起こった不慮の死が時間方向に伝染していくというのは、ビデオテープ経由で伝染していくという設定よりも遥かに普遍的で現実的なんですよね。それが本作の一番怖いところ。

 

 

典型的なホラー小説しか読んでことのなかった私のような方は「こんな形のホラーがあるのか!」と面食らうと思いますが、日本ならではの不気味さは味わえるのでオススメです。

 

 

 

MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門

 

MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門

MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門

 

 

『MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門』 / DARTHREIDER

 

★ × 92

 

内容(「BOOK」データベースより)

B BOY PARKからフリースタイルダンジョンに至る“現場”の生き証人が語るMCバトルの歴史。この一冊が示す日本語ラップの“基準”とは?

 

テレビを観なくなって半年ほど経ちましたが、その時間に取って代わった一番のメディアはラジオで、次にサイバーエージェントが運営するAbemaTVです(あ、YouTubeとかは除きます)。

そんなAbemaで観るのはほとんどが格闘技チャンネルですが、たまーに流れる広告でたまーに観るのが「フリースタイルダンジョン」というラップバトルの番組。

MCにZeebraで審査員にいとうせいこうというだけで観ていましたが、モンスター(敵役の設定)として登場するR-指定というラッパーがカッコよすぎたのを記憶しています。多分これ↓↓

www.youtube.com

 

 本書はB-BOY PARKからフリースタイルダンジョンに至るまで、フリースタイルの歴史をラッパーの著者(恥ずかしながら知りませんでした。。)が紐解いた作品。

知らなかったことだらけで非常に楽しめました。フリースタイルダンジョンHIPHOP知った気になってる私のようなニワカファンに激オススメ!

 

本書に書かれた歴史については本書を参照いただくとして(レビュー放棄)、以下無知な私が感銘を受けたことについて長々と書いていきます。

 

私はそもそも中学の頃、KICK THE CAN CREWから入ってm-floDragon AshRIP SLYMEを知って「あぁこれがラップだろユノンセイ?」と粋がってた、完全なる「オーバーグラウンド世代」(※造語)です。

しかもKREVAとLITTLEは耳馴染みが良く、且つ2とか3じゃなく7文字とかを連発して踏むので、国語好きな私の中では「HIPHOP=韻を踏む」という概念しかありませんでした。

んでこんな私でも一応KREVAB-BOY PARKで伝説だったということは知っていたので、「B-BOY PARKというイベントがある」ということぐらいは認識していました。

そして更に「B-BOY PARKKREVAが頂点を取った。そして俺はKREVAの所属するKICKを良く知っている。つまりアングラについても詳しい」みたいに思考を肥大化したバカ野郎だったので、般若や漢といったラッパーについては知ろうともしなかった素人だったのです(「知ろうと」と「素人」で踏んでみました爆)。

 

そんな私が本書を読んで、第1章『クレバ”以外の”スタイル』で、押韻だけでない「フロウ」(=ビートに合わせて言葉を演奏する様だそうです)や、対戦相手へのアンサーの的確さ、聴衆の巻き込み方・沸かせ方などの要素がフリースタイルに必要だということを知って、自分の無知さにムチを(ry

例えば名前だけは聞いたことあった鎮座DOPENESS、彼は本書で「特異点」と称されていますが、動画を探してみるとなんとまあ私が今までイツナロウバと思っていたHIPHOPが覆されること・・!

(本書で紹介されているUMB2009とは違いますが鎮座DOPENESSのまとめ動画。ハイライトは4:10あたりの晋平太とのバトルの「タッタタタタタ」笑)

www.youtube.com

 

 もし私が聴きやすさと押韻の基準だけ持って観客採点で参加していたら大恥かいただろうし、そういう意味では本書で少しでも、流れがあって今に至ることを知ることができてとても良かったです。

ジャンル問わず、本書のように特定の分野について歴史を追って「なんで?」を1つずつ理解することは楽しいですね。

話は飛びますが連休前、会社でDeep Learning(コンピュータが囲碁のチャンピオンに勝ったとか言うアレです)の勉強会を開催することになり、技術の核となるニューラルネットワークという手法を歴史を追って1ヶ月くらい勉強したのですが、アレはなにも劇的な技術革新があってボンと火がついた訳ではなく、結局は30年前から変わらない構造で、ブームの大きな要因はネット社会による容易なビッグデータ収集とGPUによる処理能力の進歩だった、という結論に至りました。

上辺だけでなく成り立ちを知ることで本質を理解する、、私に足りない努力だと気付かされました。

 

 

話が逸れましたが、本書では多くのラッパーが紹介されていますが、恥ずかしながら知らなかったFORKというラッパー、動画を見ると一見フロウ重視の喋り口調かと思いきや、よくよく聴くとトンデモな韻を踏みまくっていて感動したので載せときます(結局押韻主義かよと言われそうですが根っからの国語好きなので仕方ない、、)。

【神パンチライン】NAIKA MC vs FORK - YouTubem.youtube.com

 

母音だけでなく子音すらも揃える技術(何というか知りませんが)で今までで一番好きなのが『HANDS』という曲のLITTLEの

おれはたまたまマイクを持ち ここにたまたまいる

増えていく携帯のメモリー それとたまったマイル

なのですが、上の動画のNAIKAとのバトルでFORKが放ったフレーズがカッコいいランキングを更新しました。 

お前のスタイルが王道になっちまうんだったら 今後バトルの熱は相当冷める

それが正義だっていうHIPHOPシーンなら 俺は抜いた刀をそっと収めるよ

わかります?「相当冷める」と「そっと収める」。これを本番で入れてくるってどういう頭の回転?国語フェチの私は濡れる、、

 

いろいろ知ることが出来た良本でした。フリースタイルダンジョンちゃんと観ます!

HUNTER×HUNTER

 

HUNTER×HUNTER 34 (ジャンプコミックス)

HUNTER×HUNTER 34 (ジャンプコミックス)

 

 



HUNTER×HUNTER』    /    冨樫義博

 

(説明(34巻))
天空闘技場でヒソカとクロロの死闘開始!! 新能力を披露しつつヒソカを追い詰めるクロロ。極限の闘いで勝つのは!? そして、暗黒大陸へ出航したクラピカとカキン王国王子達。だが早速不可解な死が…。

 

 

近頃、本を読んでもブログを書くことをさぼりがちだったので、リハビリがてらまずは漫画から、、

お盆休みで奥さん側の実家に帰った時あるある、「妙に余る時間」を利用して、数年間読んでなかったHUNTER×HUNTERの未読部分(32巻〜34巻)を読みました。

いやぁ〜〜、、、、相変わらずすごいの一言、上がったハードルを何度でも超えてくる面白さでした。

 

今回読んだ3冊はキメラ蟻という超強大な生物たちとの戦いの後からで、ハンター協会の故・ネテロ会長の息子であるビヨンドとともに、暗黒大陸と呼ばれる世界へ向かうシリーズ。

暗黒大陸とは要するに「今生きている世界の外側」、

古い話ですが鈴木光司さんの『リング』シリーズでも出てきたような概念で、今ここに生きている世界は実は別のマクロな世界の一部分に過ぎないという設定(太陽系を包含する別の銀河系、、のような)。

そこは人間界に多大な恩恵をもたらすとされる自然が広がる一方で、破滅へと向かわせる危険度Aクラスの生物も生息する未開の地、正に少年ジャンプ宜しくの冒険浪漫譚設定。

、、なのですが、そこを簡単には終わらせないのが冨樫さん。

HUNTER×HUNTERの魅力の1つに

 

「少年誌ではあり得ないほど難解な設定と、シリーズの終わり(或いは跨ぎ)にかけて怒涛のように回収される伏線」

 

があると思ってますが今回なんて正にそう。

33巻にはビヨンドに雇われた者たち十数人、次期国王を今後争うであろう王子及び王妃十数人、彼らを護衛する者たち十数人と、あっという間に40名ほどの新キャラが登場します。

また、34巻にはクロロvsヒソカという、20年近くのファンからすると垂涎もののバトルが描写されているものの、その能力や戦術はあまりにも難解。

 

けれど思えば幻影旅団編もグリードアイランド編もキメラ蟻編も初めはいつもそうで、こんなに風呂敷広げといてどうやって最後畳むねんと訝しがりながらも、終わったみれば「ああ、また冨樫にしてやられた」とソファに沈み込んで遠い目にならざるを得ない、そんな経験を何度もしてきたからこそ今回も(何年かかるか分かりませんが)この始めの難解な展開に何とかついていって、数年後に待つカタルシスに備えようと思います。

 

今回読んだ3冊の個人的ハイライトは、ジンとゴンが世界樹のてっぺんで「今ここに無いもの」について語るシーン(てんで的外れかもしれませんが、既存の枠に囚われないという意味で仕事への啓発にもなりました笑)、

それと雑魚イメージの強かったヒソカがクロロとの戦闘を経ていよいよ頭角を現し始めたところです。

 

さあ次は何年後になるのやら、、特にヤキモキもせず、気づいたら出てましたくらいのノリで待ちたいと思います。