人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
- 作者: 松尾豊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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『人工知能は人間を超えるか』 / 松尾豊
★ × 87
内容(「BOOK」データベースより)
人類の希望か、あるいは大いなる危機なのか?「人間のように考えるコンピュータ」の実現へ、いま、劇的な進展が訪れようとしている。知能とは何か、人間とは何か。トップクラスの人工知能学者が語る、知的興奮に満ちた一冊。
私はなんちゃって画像処理屋さんですが、いよいよウチの会社も遅ればせながら人工知能の(正確にはディープラーニングの)適用をさまざまなアプリケーションに検討し始めたところで、私もじわじわと勉強しております。
人工知能には細かな技術がギッシリ散りばめられており、1日にして決して成らないのですが、本書は読み物としての人工知能理解、ということでどんな方にも比較的わかりやすく書かれた見事な作品でした。『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか - bookworm's digest』を彷彿とさせる知的冒険浪漫譚!
本書は人工知能を専門に研究する著者が、過去数十年に渡って何度も栄枯盛衰を繰り返した人工知能の歴史、そして現代のバブルを鑑みて今後の世の中どうなるのか、という2本立てになっています。
読み物として後半の「今後なくなる仕事」などの未来予想図も素晴らしいのですが、個人的には 中盤の「自己符号化器」と呼ばれる技術の章が一番面白かったです。
自己符号化器の説明にはいろんな前提が必要なのですが、イメージでいうと、赤ちゃんに「これは犬だよ」と教えてあげて、
その後赤ちゃんが犬を覚える(犬の特徴を理解する)までの思考回路をコンピュータで表したもの、みたいな感じです。
人工知能は究極、人間の脳をコンピュータで実現する(そして超えていく)ことが全てなのですが、そもそも参照元である「人間の脳」、これが池谷裕二さんとかの著書にもあるように、まあ解明されていない。
なので今流行りのディープラーニングがブラックボックス(なぜこんな結果が出たのか理解できないという点)なのも、結局は人間の認識や判断がブラック(グレーくらい?)ボックスなので仕方ないのですが、
「判断するためにどうやって学習していくか」、それを本章では日本の天気予報を使って非常にわかりやすく説明しています。
学習過程を画像で可視化して説明しているのは腐るほど見たことがありますが、こうやって技術書としてでなく読み物として、文章だけで分かりやすく書かれているのは初めてでした。
画像分野から入るとどうしても他の分野へどう応用しているのかがイメージしにくいのですが、そういった方に本書はオススメです。