『トットチャンネル』で満島ひかり演じる黒柳徹子が絶賛されると同様、今クールでなにかと評判が良い黒木華さん主演の『重版出来!』の原作。
1~7巻を読んだ後、映像も1話だけ観ましたが、、、
いやあーーーーいずれも素晴らしい!!映像の方はdailymotionで引き続き観るとして、ここでは漫画のレビューを。
本作の舞台は漫画の編集部、つまり漫画家さんのネームをチェックしモチベを管理しメンタルをサポートし連載を単行本まで持っていく裏の世界です。
ゆえに『かくかくしかじか - bookworm's digest』のように作家本体にスポットを当てたものしか知らない私のような一般市民には、煌びやかな世界の裏にこんなにも泥臭い立役者たちが揃っているのかという新鮮な驚きがあります。
例えば漫画家のアシスタントとなる方に、〆切前の繁忙期に向けて予めスタミナのつく弁当を渡したりする描写は、単に漫画家の才能に任せて描き上げられた作品を売れるような装丁にパッケージして世に出すだけが「編集」だと思っていた私を殴りたくなるようなものでした。
まあここ数年好評価を受ける漫画は、こういった「裏の世界を白日の下に晒し興味を惹かせる」メソッドのものが多いし、小説で言っても三浦しをんさんなどが得意とするやり方なのでそこに今更新鮮味はありませんでしたが、
この漫画の素晴らしさは(私が今更言うまでもなく)キョーレツな個性を持ったキャラ達に尽きる。
それ故に黒木華さんをはじめ、オダギリジョー・荒川良々・安田顕・滝藤賢一・永山絢斗といった濃~~い(そして個人的にツボだらけな)役者を揃えての映像化も実現できているのだと思います。
挙げるとキリがありませんが、
私が特に好きなキャラは「未完の大器」こと新人漫画家・中田伯(ドラマでは永山絢斗)と、売れっ子漫画家・高畑一寸(ドラマでは滝藤賢一)。
個人的に「才能はピカイチな、けれどどっかしら欠けた人間」を描いた文学に萌えることが多いのですがこの2人はまさにソレ。
天が二物を与えなかった故に2人とも苦労を重ねているのですが、漫画が好きだというそれ一点にのみ依りかかって作品を生み出していく姿勢が丁寧に描かれていて、巻を増すごとに感情移入が過ぎるようになりました(私の悪い癖)。
…あっ、編集部の漫画とか言いながら結局好きなキャラは漫画家だと言ってしまっていますが、彼らを支える漫画家の方々も勿論素敵。
ここでの「素敵」はスタイリッシュでもカリスマ的でもなく、人間的で泥臭くて、だからこそ日々悩みながら働くサラリーマンなんかに響くんじゃないかなぁ~
(書きながら思い出しましたが、新人潰しの編集者・安井昇(ドラマでは安田顕)もキレッキレに最高です。若干涙出ました)