- 作者: 本谷有希子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 単行本
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内容(「BOOK」データベースより)
子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作ほか、自由奔放な想像力で日常を異化する、三島賞&大江賞作家の2年半ぶり最新刊!
『死んでいない者 - bookworm's digest』と同タイミングで芥川賞を受賞した作品。
去年、遅ればせながら読んだ『乱暴と待機 - bookworm's digest』で知り、賛否両論ありそうなその文体に私は完全に「賛」だったので、ここで芥川賞とは何と奇遇!と、楽しみにしていました。ようやく購入。
表題作は、ある日自分の顔が旦那にそっくりであることに気づいた1人の主婦(サンちゃん)が主人公です。
旦那はバツイチであるもののの、2人の生活は平々凡々でなだらかな描写。
終盤までに物語の起伏となるのは、近所に住むキタエさんが、あまりにも粗相が酷い飼っているネコを、山に捨てに行くシーンくらい。
それ以外は『乱暴と待機』とは異なる丸みを帯びた文章で、時折プッと吹き出す2人の可愛らしい生活が描かれています。
だから最後の最後、格闘技で言うと塩っぽい(つまらない)試合の残り10秒で一気に畳み掛けるようなスピードで、あっという間に弾けて終わったのにはびっくりしました。
最近では『文学会議 - bookworm's digest』もこんな感じだったなぁ。
そもそも異類婚姻譚とは、人間と人間以外の種屬が結婚する説話を指すそうですが、本小説は「旦那という、理解できないまるで違う種族のよう」な人間と結婚しているといったような甘っちょろい比喩でも何でもなく、実際旦那は人間以外の種族だった、というオチ。笑
だから初めは全く意味不明だったのですが、ちょっと考えてみればタイトル通りじゃないかと気づきました。
ただ、本小説を通じて著者が「何らかの主張」をしていることまでは分かるのですが、それが何なのかさっぱり分からない。
前述したようにネコを捨てる話、顔が似る話、そして異類婚姻譚、全て小説という形態を通じて何かを訴えかけているのでしょうが、少なくとも私には理解できなかった。
あとでネットサーフィンしたいと思います、、
残り3編もいずれも、主人公が犬になったり、旦那が藁でできていて、感情の起伏によって体から楽器が零れ落ちたり、、、と、
スムーズに本を読むことに慣れている私にとっては「??」が付く設定ばかり。
(『藁の夫』だけは、何となく言いたことが分かったような気にもなっていますが。。)
芥川賞ってこんな感じだなぁ、と、理解できない悔しい気持ちを持って読了。普段とは違う体験ができるという意味でオススメです。理解した方はぜひ教えてください、、