『はるまき日記』 / 瀧波ゆかり
★ × 90
内容(「BOOK」データベースより)
オムツの中身すら笑える、まったく新しい育児日記が産声を上げた!シニカルな愛と大いなる妄想、大人のホンネが満載の育児エンタメ・ノンフィクション。
はるか昔、高校の友達に『臨死!!江古田ちゃん』という漫画を借りたはいいものの、あの頃サブカルチャーに疎くケツも青かった私ですので、一応読んだものの大して面白いと感じることなく返した記憶があります。
そして内容については一切覚えていません。
失礼ながら私にとってはそんな具合の漫画家である著者のエッセイ本、いやぁーー面白かったです!
一応育児本とはいえど、常時臭うサブカル臭にニヤニヤが止まりませんでした。
本書は著者が「はるまき」(仮名)を出産してから数年間を描いた、まあ文字通りの育児エッセイ。
個人的に育児本は結構好きで、
『ママはテンパリスト - bookworm's digest』
『そういうふうにできている - bookworm's digest』
など、どれも男の私からは知り得ない出産や育児に関する女性ならではの苦悩や喜びを知れるという男子禁制の匂いが少なからずあるのですが、
本書は純粋に「笑い」。旦那さんも含め、多く悩みながらも基本的にははるまきのことが大好きで、いつも笑いを絶やさないという漫画家の鏡のような表現がされているところがすごく好きです。
カレーを失敗して家出し、午前3時に坊主にした旦那さんが髪を丸めてパンを買って帰ってきたエピソード、
「曇りガラスの向こう」という、お風呂に入る際に著者が作った歌のくだりなどは特に笑った。
あと『臨死!!江古田ちゃん』がそうだったのか覚えていませんが、お◯ぱいもち◯こも下ネタ満載、それが
育児描写ゆえ、ホモサピエンスゆえに避けて通れぬ表現だからではなく、ど直球でガッツリ下ネタに向かっている
のもヒジョーに好感持てました。
汚れなき赤ん坊、その神話を信ずることの尊さ、その対極で赤ん坊も1人の人間であるのだという主張もなんとなく感じられました。
一方、中盤に東日本大震災が起こり、安息の地を求めて都内から北海道へ移住したシーンがありますが、
ある程度の財力や漫画家という特殊な職業ゆえの決断、『もう、家に帰ろう』の写真家である藤代冥砂さん一家も同じように移住されて、ネットで一部炎上していたのを思い出しました。
ゆとりな私はすぐレビューを見てしまいましたが、そこで衝撃だったのは移住についてよりも本作そのものへの批判が多いこと。
どうやら、「育児」という神聖な取り組みにゲスじみた笑いを持ってくるな、不快だという意見みたいです。
一番唖然としたのは「自分の子が一番かわいいと思うな」という批判。
どゆこと!?表現者だからと言って、万人に読まれることを想定して人類みな平等を赤ん坊世界にも貫き、我が子にのみ愛情を注いでいることをマスクする、そうやって捻れた結果中身の薄い文章を書け、ということでしょうか。
小説家や漫画家がこうやって本でしか書けないことを表現するからこそ本を読む価値が生まれるのでは無いだろうか、、
と、読んだあともモヤモヤが止まらなかったです。
私は断然肯定派!!!みなさんもぜひ読んで感想聞かせてください、、