- 作者: ステファンアーンヘム,Stefan Ahnhem,堤朝子
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズジャパン
- 発売日: 2016/10/25
- メディア: 文庫
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『刑事ファビアン・リスク 顔のない男』 / ステファンアーンヘム
★ × 92
内容(「BOOK」データベースより)
休日の教室で両手を切断された男の死体が見つかった。傍らには男の写る30年近く前のクラス写真が残され、時を置かず別のクラスメートも凄惨な死を遂げる。容疑者はかつてクラスで壮絶ないじめを受けていた人物。数年前、その足取りは忽然と消えていた。一人また一人と犠牲者が増えるなか、自らも同級生である担当刑事リスクは恐るべき罠に嵌っていき―。本年度最注目の北欧ミステリー!
何かのレビューで見かけて気になっていた本作。
記憶している限り北欧の小説は読んだことがなかったですが、いやはや、、、なかなかにトンデモでした。
文庫で600ページというボリュームですが、特に後半にかけてのページターナーっぷりは圧巻のサイコサスペンスでした!
あらすじは特段珍しいものでなく、かつてのクラスメートが次々と殺されていき、主人公ファビアン・リスクが警察として元クラスメートの誰が犯人かを追っていくというもの。
犯行動機もありきたりで、かつてのいじめられっ子が、かつてのいじめっ子、及びはたで見ていたその他大勢に仕返しをしていくという設定でストーリーは進みます。
ただしありきたりな設定の中でアイキャッチの1つとして、被害者それぞれがどうやっていじめを行なっていたか、その特性に沿って犯行が実行されているという点があります。
例えばメリケンサックで殴ってきた奴に対しては両腕を切断し、
例えば口で攻撃してきた奴に対しては舌を引っこ抜き、、
といった多様な殺害方法、非常に凄惨なのですが、映画『SAW』をなんだかんだ全作観ちゃった感覚と同じ、怖いもの見たさで脳が刺激されちゃってる良くないモードだとはわかりつつも、興味深く読み進めちゃう自分を止められませんでした。
んで、も1つ『SAW』(特に1と2)を観た時と同じで、凄惨な描写の中にもちゃんと伏線が張られていて、ミステリーとしてガッツリのめり込めるのも魅力の1つと感じました。
特に第1部の最後、実は追っていた犯人が全く別人であったことが分かってから第2部に入ってからは、ジェットコースター的に全く展開が読めず、読んでいる最中ずっとドキドキしていました。
個人的には犯人の指紋を突き止めるシーン、そしてファビアンの息子が拐われてからのラストまでが最も濃密で、ミステリーとしても素晴らしい完成度と思います(これはデビュー作だそうですが、、)。
ところどころ、あまりにも完全犯罪すぎるところ(病院での犯行やカメラでの誘導はいくらなんでも出来過ぎ)が引っかかりもしましたが、それよりも恐怖と好奇心が勝り、終わってみれば素晴らしかったという感想しか残らない。
※ あ、北欧の名前が覚えにくすぎるという感想もあったりしますが。。
映像化もされるようですがそりゃそうだろなという感じ。グロも混ぜたキャッチーな作品になるだろうと思います。
オススメ!!