(内容紹介)
独自の発展を遂げる『日本語ラップ』の魅力に多方面から迫る!!1970年代初頭にアメリカで生まれたヒップホップ。 日本におけるヒップホップの起源のひとつといわれる、 いとうせいこう&タイニー・パンクス『建設的』(1986年)から30年、 様々な歴史の分岐点を超えて着実に深化/進化を続けてきた。 『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系列)番組開始を契機に、 ここにきて更に熱狂的な広がりをみせる『日本語ラップ』の魅力に迫る。
『MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門 - bookworm's digest』を読んで以降、日々のルーティンに「ネットでフリースタイルの動画を観る」という行為が新たに追加されました。
(特に出勤前、大阪駅から会社までの乗り換えの電車で観ることで、会社着いた頃にはバイブス満タンな自分がいます笑)
本当に様々なラッパーが居て全然追いきれないのですが、毎日観ていると何となく詳しくなった気になったので、読み物としての金字塔・ユリイカさんの日本語ラップを特集した本書を買ってみました。
が、やはり半分も理解できず、、物事を面だけでなく、奥行きまで捉えることは相当な勉強量が要りますね、、
本書のモチベーションは、昨今abemaTVで人気に火がついた「フリースタイルダンジョン」を餌に、様々なラッパー(及び関係者の方々)にこの頃の盛り上がりどう思いますか?とインタビューしたもの。
メンバーもいとうせいこう、Zeebra、般若、漢、DOTAMAといったフリースタイルダンジョンお馴染みのメンバーもいれば、Kダブシャイン、ANARCHYといった重鎮ぽい方も出てきて、
しかも皆さん2万文字くらいのロングインタビューなので読み応えガッッツリ!!
個人的には漢さん、バトルではイマイチ凄さを知り得なかったのですが、ANARCHYとの対談は凄く理知的で聡明な印象に変わりました。
例えば『フリースタイルダンジョン』が始まって色々揚げ足取りとかいちゃもんつけてくるやつらもいるけど、俺からすれば「お前らが聴かなくても聴く人が増えたんだからいいんだよ、バーカ」って感じ。
あとインタビューではないですが、韻踏み夫さんというラップブロガーさんの『ライマーズ・ディライト』という記事がとても面白かった。
単に韻の文字数や回数が多いだけでなく、「質の良い韻」とは何か、をガッツリと書いています。
参照としてNORIKIYOの『何かが変』の以下一節を載せているのですが、
俺の眼鏡なら半端じゃねえ もし狂ってんじゃ眼科だね?
アイデアなければかっぱらえ? じゃそいつらジェノサイド殺っちゃだめ?
じゃダサく踏んでみる「真っ赤な目」 こんなんで良ければかっぱらえ
語尾を「a -a a e」で繰り返し踏んでて上手いなぁって字面だけ見ると思うのですが、
「真っ赤な目」が眼鏡や眼科の類縁性から来ていること、
更にはマリファナに関する隠語であること、
そういった、単純に音としての韻だけじゃ語られない上手さみたいなものをこの記事で紹介しています。
んで、無知な私が今回初めて知ったのがKOHHというラッパー。
本人のインタビューも収録されていますし、何人かのライターさんが「なぜKOHHは良いのか?」みたい記事を書いています。
佐藤雄一さんの『なぜ貧しいリリックのKOHHをなんども聴いてしまうのか?』という記事に「YouTubeでPVを見ればわかる」と書いてあったのでこれから勉強しようと思います。
(全身刺青だらけで「休み時間は彼女とセックスばっかしてた 理由はない やりたいから」みたいに歌ってるのだけ観ました笑 日本語ラップ奥が深い・・)