長い間積んでた『すべての雑貨』読み終えた。すーーばらしい文章、たびたびブルブルッ!と体震える感じ。
(なんでアマゾンNO IMAGEやねん!可愛い装丁やのに)
著者は三品輝起(みしなてるおき)さん、西荻窪にある「FALL」という雑貨屋の店長らしく、彼のエッセイ。現在や過去についての徒然日記やけど、三品さんの言葉を借りれば「雑貨病」に侵されたご自身の感性がビッシビシ出てる。雑貨病は簡単に言えば物事を「雑貨か否か」で見ちゃう感覚。
いま読んでるこの本は本でしかない、ってわけじゃない。昼は本の顔をしていても夜は雑貨に化けたり、店頭では雑貨のふりをしているが家につれて帰ってみると本に戻ったり。
雑貨とは雑貨感覚によって人がとらえられるものすべて、というトートロジーであるが、いまある雑貨感覚は間違いなくインターネットによって醸し出されたものだ。(略)あらゆる場所において人々が物と出会った時の「いいなー」「かわいい」「おしゃれ」といった心の動きが、どんどんとネット空間に情報として吸い上げられるようになった。
モノの雑貨化てのはホンマ思う。小学校で使ってたタダの鉛筆みたいなんが、現在オシャレな雑貨屋でオシャレな陳列棚に並べられててオシャレな女子大生が「ヤバい可愛い!」言いながら買わない(←ここ重要)、みたいな場面は何度も見た。大学時代3年間文具屋で働いた俺が言うから確度高め。「道具」と「雑貨」の狭間、本作はそこを過剰なくらい熟考しててオモロい。
道具から雑貨へと飛び越えた代表例はマスキングテープらしい。もともとニッカポッカの方々が現場で使ってた便利なだけだったテープに装飾をプラスして瞬く間に雑貨化したそう。確かにそう。恥ずかしながら俺も5, 6個持ってる。そうやって次々と境界を飛び越してくサマはいつまで続くんやろか。
あと最後のエッセイで著者がかつてレゴにどハマりしていた長めのエピソードがあるが、これがめちゃめちゃ良かった。エッセイ文学の旨みみたいのが凝縮されてたのでここだけでも買う価値ある。
ええ作品やった。今後は目に映るものを「雑貨か否か」で判断しまくったろ。(今の課長とか可愛らしいおじさんやから「雑貨」やろな)