毎週末、チャリで温泉に行く日々が定着してきた。風呂も入れてメシも食える、涼しくて気持ちいいので帰りに娘がチャリに乗りながら寝る、寝かしつけ不要という、メリットしかないことに気づいてしまった。昨日美容院で読んだ雑誌にも同じことが書いてあった。悪く言えば金で解決やけど、親が健全であることが何よりも大事。
西加奈子の『舞台』を読んだ。
繰り返される自意識との闘い、特に前半がサイコー!アメリカへ行った29歳の主人公は、太宰治の『人間失格』同様、人からどう見られるか、その意識を常に持って生きてきた性。いいことがあって浮かれてしまった刹那、「わざ、わざ、、(=わざと)」という声を己の中で発して、自分を抑えるという術が染み付いてるような男。つまり俺含め、大半の人間が持ってる共通の意識が描かれてる。究極なんが、アメリカ滞在1日目にして荷物を丸々スられた瞬間の主人公の対応で、大声で叫んだり追いかけたりすると周囲にダサいと思われるから、スられても笑顔でリラックスを装ってる。ほんでパスポートも盗られたから領事館にも行かなあかんのに、初日に盗られてダサいと領事館側に思われるのが嫌やから、2, 3日行かないという徹底ぷり。笑
これは文字に起こすと笑えるけど、自分に立ち返ってみると似たような現象ってまあたくさんある。例えば朝娘をチャリに乗せて保育園行くとき、毎朝慌ててるにも関わらず、誰に見られるわけでもなく「慌ててない父」を装って漕いでる。それを俺は別に恥ずかしいとは普段思ってへんけど、主人公に言わせたら「わざ、わざ、、」。後半、自意識が高まりすぎて精神おかしくなるけど、これだって誰にでも当てはまる。いつものことながら、西さんの描く普遍性てのは一貫しててカッコよかった。