- 作者: 彩瀬まる
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2015/03/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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★ × 84
内容(「BOOK」データベースより)
面倒だけれど愛おしい「ふるさと」。新幹線で北へ向かう5人。その先に待つものは―凛とした光を放つ感動傑作。
など、2013年ごろに個人的にどハマりしてジャブジャブ読み、twitterもフォローした彩瀬まるさん。
春に出た新作が非常に気になるところですが、ひとまず読み逃していた本作を読みました。
全5編から為る短編集です。
どの話も登場人物それぞれがどこかしら欠落しており、それが小説と通じて何も異常なことではないと読み手に訴えかけてくる展開は、私が以前に感じた彩瀬まるさんの作品そのもの。
つまり言い方は悪いですが本作は彩瀬さんの得意分野のフィールド上で、書きたいものを書きましたという印象を受けました。
ただ、それにしては少し退屈だったなぁ、、というのが率直な感想。
理由を考えてみましたが、「欠落」の部分がこれまでの作品よりも薄いように感じたからでしょうか。
私は以前からR18文学賞作品が好きなのですが、その理由として、もちろん女性が描くエロ描写という禁断の果実感が好きだということもありますが、何よりもまず女性が描く女性の痛々しさというのが小説を飛び越えて著者自身の経験から出てきているような点が多々あって、そのリアリティにゾクッとするからです。
だから『あの人は蜘蛛〜』を読んだ時に、あまりのリアリティに思わずwikiで著者の経歴を検索してしまった、それくらいのパワーが彩瀬まるさんの文章にあるなぁ〜って思っていたので、
過度に期待度高くして本作を迎えちゃった感があって少し反省です。
すみません、全然作品のレビューになってませんが、、
好きだったのは、実家が福島の男性と結婚する『からたち香る』。
本編に限らずどの物語もですが、どこかしら「故郷」について考えさせられる作りになっていて、最近個人的に興味がある都会と地方やホームとアウェイの意識のちがいなど考えさせられる場面もありました。
何より、さらさらっと読みやすい小説なので通勤などではオススメです!