『本の読める場所を求めて』読了。本を読める店、フヅクエの店主である著者の本。
本の後半は、店としてなりたい理想と現実にどう折り合いをつけていくか、経営学的な観点で考察しているのでそこまで興味が湧かなかったが、前半、カフェやブックカフェ、家や図書館などで「今日は本を読むぞ!」と意気込むも、なかなか読む環境に適した場所がないともがく部分が、かなり普段自分も感じることが多くて面白かった。
もうちょっとだけでも自分のこの生をよりよいものにできないだろうかという望み、あとちょっとだけでも遠くまで飛ぶことができないだろうかという願い、そんなものだけを頼りにして進んでいく。1人静かに本を読んでいる。
どこかに書いていたが、本は「1人」で行う行為で、かつ他者とも同時に共有しにくいという点が、パソコンやスマホを使っている人と違い、他者を拒絶しているように映るという考察は面白い。確かに中学の時、休み時間にハリーポッターを原文のまま読んでたクラスの女の子には話しかけづらかった。だからこそ1人での来客を推奨し、おしゃべり禁止タイピング禁止の「1人だけど、そんな人が沢山いる」という共同体で本を読む空間をもつフヅクエが羨ましい。コロナが収束したら是非行ってみたい、、
奥さんがやたら黙々と本読んでるなと思ってたら、上田陽子さんの『海をあげる』を読みながら泣いてた。こういう時結婚して良かったなぁと心から感じる。育休も残り三週間を切った、ファック!