小川たまかさん著『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』読了。恥ずかしながら著者ご本人を存じ上げなかったが、性暴力、痴漢被害、ジェンダー格差と、娘を持つ親の身として心が引き締まる内容でした。
取り上げる内容自体は『これからの男の子たちへ』と同じだが、本作は女性に向けたメッセージ。違和感を違和感で終わらせず声をあげよう、と心から訴えかけているのが文章からわかる。
タブーにせず、お茶を濁さずにもっと語らないといけない。「働きたいなんて女のわがまま」「浮気されたくなかったら床上手になれ」って発言が実際にあった。1つ1つは小さいけれど、無視できないムカつきだったのに、「そのくらい」って言われてしまいがちだ。こういう小さな出来事の1つ1つの向こうに「ジェンダー格差111位」があるんじゃないかと思うから、黙ってろと言われても黙りたくない。
著者が書いているように「フェミニズムを謳うのはブス」みたいな風潮はあると思うし、ハッとさせられたのはその言葉の裏に「美人はセクハラされて当たり前」といった風潮がセットとしてあるといった発言。確かにそう。なぜ正しいことを正しい、誤っていることを誤っていると発言する女性を疎ましく思う男性が一定層いるんやろか。急激にフェミニズムが目されるようになった時代で今俺は33歳で、こうやって必死に正しさのあり方を見直そうとしてるけど、小さい頃から植えつけられた古き悪しきジェンダー論は未だ俺の中に根付いていて、それを今更必死になって取り出す作業をしているが、どうか子どもたちが大人になった頃にはクリーンな人間が溢れる世の中であってほしいと願う。少なからず今よりはマシになってるだろうから置いてかれないように知識を得なきゃと思う。