レビューが溜まってきた、、、一気に消化!
『常識のない喫茶店』読了。サイコー!!
とある喫茶店の店員さんである著者が描く喫茶店エッセイ。フェミニズムもマンスプレイニングも笑いも涙も「生きる」ということも、全てが詰まってて素晴らしいエッセイでした。著者のスタンスとしては「店員さんだって神様」で、タメ口や年齢マウント取ってくる客をことごとく出禁にするといったもの。フィクションかと思いきやほぼ実体験のエッセイだそうで、クセありまくりの店長や同僚が実在すると思うとめちゃめちゃ興味がわく(実際ココいったらカルチャーショック受けるかもやが・・)。接客業されてる方はもちろんやけど、著者のスタンスは職種問わず働くすべての皆さんに平等に刺さるし、一方でエンタメ観点で笑いの確度もめちゃめちゃ高く、マジでノンプロとは思えないクオリティのエッセイ。最近セルアウト本あんま読んでなくて、躊躇せず人に勧められる本というものを自分の中で久しく持ってなかったけど、本書は「最近なんかおすすめある?」と聞かれた時に迷いなく提示できる1冊。ぜひ!
「二ヶ月に一回来るかどうかの常連客が頼むビールの銘柄を覚えていなくて怒らせてしまったことがあるが、今思えばなかなか理不尽だったと思う。「俺といえばハートランドだろう」と機嫌を損ねる中年を前に凹んでいた自分を慰めたい。
バカはどっちだ半グレフェイク野郎。わたしたちは心に虎を飼っている。」
武田砂鉄『マチズモを削り取れ』読了。こちらも良書!
フェミニズムやマチズモについて既得権益側である男性が描くとどうしても綻びが出てる気がするが、さすがは砂鉄さん、街中に溢れる「漢」感に起因する歪みを徹底的にあぶりだした本書。やぱすごいのはその調査能力で、立ちションに切り込んだ章で延々とトイレの定義を引用してたり、結婚式場や寿司屋にスパイのように忍び込んでその様を事細かに描写する様はもはや狂気。けどとにかく文章力が高いゆえちゃんと読ませる作りになってるのが素晴らしい。
「なお妊娠はしておらず、結婚後も仕事を続けるという」との不躾な定型文を祝福に混ぜ込む。なんだ、この子、ちゃんとしてんじゃん、おめでとう、という調査報告が入る。一体、誰なんだお前は。 」
一番刺さった、というか反省したのは痴漢の章。性差の議論になると必ず「いや、そうはいっても男だって大変なんだぜ」で終わりがちやし、はっきり言ってこれまで俺もそんな風に思ってしまった経験はあるけど、
「女も大変だけど、男も大変で、むしろ人生狂わされてるのは痴漢冤罪のほうなんだよと強気になる。いつのまにか、どちらが大変かで争おうとする。なぜ、痴漢がなくなれば痴漢冤罪もなくなるという、皆で団結できそうな目的よりも優先されてしまうのだろうか。」
ここ読んで恥ずかしくなった。そう、結局そうやって議論を終わらせてしまったら局問題は棚上げされ解決に向かう速度を鈍化させる。
思考を止めない重要性を、教えていただきましたぜ砂鉄先生、、!
『さよなら、男社会』読了。
尹雄大(ユン•ウンデ)さん。『モヤモヤの正体』のジャケを見たことあったが読むのは初。今年に入ってフェミ本を読み漁ってきたけど、こうやって日本人男性の著者が男性学の観点で語った本は個人的にはじめてで、結果論やけど今年自分がINPUTしてきたジェンダーに関する知識を総まとめしてくれてる的な本やった。
ざっくり、前半刺さりまくりで後半失速、という感じ。一貫して著者は、これまでの時代奨励されてきた男性社会の誤りっぷりを冷静に分析・指摘してて、がっつりオールド世代(ざっくり30歳オーバーエイジ?)をターゲティングしてる。その中でもやぱ個人的には男の子を育てる親として、前半の方にあった著者の幼年期の違和感を語るシーンは共感の嵐やった。
「 何の気なしにであれ「がんばれ」だの「臆病」だのと言われては、自分の感じていることはそうであってはならない姿であり、正しくないのだと感じてしまうのではないだろうか。それは「よくやった。勇気があるね」の肯定の評価であっても起きることでもあるだろう。」
マジで1日に1回は公園で「〇〇や!男やろ!」(〇〇には「泣くな」などが入る)というセリフを吐いてるパパママに出会うが、その危険性を訴えかけててとても勇気もらえた。
先行する者は無力な自分よりも上位にいて、この先の歩みを保証してくれる。「がんばっている」という力感をアピールすれば、上位の男たちに歓迎される。なぜなら安心して評価できるからだ。
最近、定時後から始まるブルシット会議を通じ、「そらこんな働き方してたら女性はついてこれんで」と完全に頭にきてたので、本書読んでその違和感を解消してくれるようやった。
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まだ3冊レビュー積んでるが、ちょっとまた今度。。