『ペナンブラ氏の24時間書店』 / ロビン・スローン
★ × 84
内容(「BOOK」データベースより)
失業中の青年クレイが、ふとしたきっかけから働くことになった“ミスター・ペナンブラの二十四時間書店”は変わった店だった。まったく繁盛していないのに店名どおり24時間営業で、梯子付きの高い高い棚には、存在しないはずの本(Google検索にもひっかからない!)がぎっしり詰まっているのだ。どうやら暗号で書かれているらしいそれらの本の解読に、クレイは友人たちの力を借りて挑むが、それは500年越しの謎を解き明かす旅の始まりだった―すべての本好き、読書好きに贈る冒険と友情、その他もろもろ盛りだくさんの物語。全米図書館協会アレックス賞受賞作。
大学生のビブリオバトル2014で優勝した作品。
確か九州の大学1年生が初々しく紹介していて、Ustで観て次の日に買いに行った覚えがあります。
それが昨年の12月で…と考えるとそれだけ積んでたということになりますが、ようやく読み終わりました。
いやぁ長かった…面白くなかったわけではないのですが、合間にいろいろ挟んでたら3か月経ってました。
まずあらすじをざっくり書きますと、主人公クレイが働く「ペナンブラの24時間書店」はほとんど客がこないにも関わらず24時間営業。
また、店の奥にはgoogle検索でもヒットしないタイトルの本が並ぶ不思議な書店。
クレイはそのうち、書店には巨大な秘密が隠されていることに感づき、店長ペナンブラ、google社員キャット、天才ニールと共に真実を探る旅に出るーーという現代の冒険小説です。
著者ロビンスローンは元々ゲームデザイナーであるらしく、随所にその理系脳が散りばめられているのが魅力の一つ。
例えば暗号化された文書を解析する際の「OCRエラー」という言葉が出てきて、なんのこっちゃ分からんので検索を強いられたり。
誰が知っとるねんと思っちゃうけれど、こういったエゴの文章は好きです。
難解な暗号解読のために、googleが検索アルゴリズム始め全システムを「3分間だけ」停止させ、全てのCPUを解読に注ぐシーンなども、中二病ながらかなり圧巻。
龍と闘ったり未開の地へ踏み入れたりはしませんが、デジタルな世界においてブラックホールに飛び込んでいくような感覚が、前述の通り現代の冒険小説と呼べる所以と思います。
じゃあ何で3か月もかかったんやという話ですが、ズバリその冒険にのめり込まなかったから。。。
理由はまず、これは単に私の経験値が低いだけですが、海外文学によくある「文脈」が頻発していること、その理解に疲れたことがあります。
例えば「僕がオビワンだとしたら、彼は誰だかもうお分かりだろ?」と言った文章がありました。
これは前後の文脈からスターウォーズの敵対関係を準えているのだと理解できますが、あくまでこれは一例。
他にも有名な文学作品の一文を引用したりパロっていたり、多くのリスペクトが見受けられます。
これらは特段物語の主軸に影響を与えないので理解不能のまま読み進めていいのですが、主軸を見失うほど頻発するので笑、読んでいて森にさ迷うような感覚を度々味わいました。
これが読書スピードを緩めたブレーキの一つ…
んであと一つ、これも趣味嗜好ですが、やはり私は冒険小説が苦手だというそこに尽きます。
ヒトの本質を抉るような陰鬱で靜謐な物語、或いは津村記久子流「小さな喜びこそ全て」といった作品を読みすぎて、巨大な力に知恵と仲間で立ち向かうような冒険ロマンに心踊らなくなった…としか言えない、驚きを驚きとして捉えられないイヤな大人になりました:-O
なのでレビューはあまりですが決してオススメじゃないわけではなく、冒険物が好きな方は理系文系問わず楽しめると思います。
もはやビブリオバトルのアーカイブを漁ってくださいとしか言い様がない…ブログの価値なし笑