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山登りの好きな両親が山岳から岳から名付けた、シーナ家の長男・岳少年。坊主頭でプロレス技もスルドクきまり、ケンカはめっぽう強い。自分の小遣いで道具を揃え、身もココロもすっかり釣りに奪われてる元気な小学生。旅から帰って出会う息子の成長に目をみはり、悲喜こもごもの思いでそれをみつめる「おとう」…。これはショーネンがまだチチを見棄てていない頃の美しい親子の物語。著者初の明るい私小説。
内容(「BOOK」データベースより)
物心ついた頃、初めて「読書」と呼べる経験をした印象があるのは3作品で、
妹尾河童さんの『少年H』、
今井雅之さんの『若い僕らにできること』、
そして本作です。
椎名誠さんの息子である岳くんを中心に進む私小説。
続編はもう少し大人になった岳くんが主人公だったと思いますが、私は岳くんが小学生として走り回るこっちの方が断然好きです。
岳くんは勉強ができないけれど、釣りに対する熱は尋常じゃありません。
とにかくやんちゃ。見ててめちゃめちゃ元気出る!
昔は大工や漫画家や放送作家になりたいとナチュラルに思っていて、それは大人になっていろんなことを学び、一方でいろんなことを捨てていく中で一緒に諦められたもので、
勿論今の仕事に満足していますが、そういった何のしがらみもなく「これがしたい!」と言わなく(思わなく)なったなぁと思います。
そんな中で岳くんの真っ直ぐな、良いものは良いのだ!と光った姿がもう、眩しくてなりません!笑
そしてそんな彼を父として見守る椎名誠さんもかっこよすぎる。
あんま知らんくせに、椎名さんは「生けるロビンソンクルーソー」だと認識していますが、椎名さんもまた、岳くん並みに真っ直ぐ。
こども心を包装したまま大人になったような人なので、そんな椎名さんが書く本作は、故に全く教訓めいてないところがとてもいい。
狙った涙や自己啓発もなく、スカッと楽しめます。
あぁー、こういうストレートな本久しぶりだ!笑