『勝間さん、努力で幸せになりますか』/ 勝間和代 × 香山リカ
★ × 86
内容(「BOOK」データベースより)
著書『しがみつかない生き方』で、ふつうの幸せを手に入れるためには「“勝間和代”を目指さない」と書いた香山リカ。成功者のアイコンとしての勝間が唱える効率・合理主義に疑問を投げかけた。かたや、勝間和代は「香山さんの著書を読み、迷ってしまっているあなたに読んでほしい」と反論書『やればできる』を書いた。誰もが不安を抱え、幸福実感度が低い日本で、幸せを感じるにはどうすればいいのか。そもそも何がふつうの幸せなのか。350分に及ぶ2人の徹底討論。
『お金は銀行に預けるな』以来御無沙汰の勝間さん。
文章は面白いけどテレビや雑誌で見かける御本人がどうしても苦手で、いっそ顔を見せずライターとしてやってくれたらなぁ…と失礼なことも思ってしまいます。
対談の相手は香山リカさん。
有名人だそうですが、無知な私は知りませんでした。
経歴を見ると、ウツやパニックといった精神病に取り組む一方、サブカルチャーにも精通しているそうな… むむ、ますます怪しい。
私にとってはその程度でしかない二人の対談集を手に取ったのは、友人から、本作がよくある対談とは極致の「全く合意しない言い争い」だと聞いたから。
個人的に対談力(?)すげえなぁと思うのは糸井重里さんで、その道のプロが話すテクニカルなトピックを、日常生活の一部で喩えて分かりやすいよう噛み砕く技術に、いつも関心させられます。
ただ、基本的には合意の精神で、批判したり否定したりすることはない。
わたしも、言葉は悪いですが「出来レース」って嫌いじゃないので、誉め合う対談が当たり前だと思っています。
一方本作では、互いの合意は一切なし、「でも」「けどそれって」の打ち合い!笑
その構図は、
努力することを推奨する勝間和代
vs
努力することに疑問を呈する香山リカ
で、仕事に遊びに家庭に、どのトピックを取っても全く交わることなく平行線の議論です。
それぞれの言い分は、当人達の経歴が語るように本当に良く分かる。
勝間さんは疑いようもなく努力の結晶で、日本一頭の良かった学生時代から数々の成功を収めて、当然その過程で失敗してきたからこそ自分の中で良い悪いの棲み分けが出来ているから、その「良い」方法論を皆さんも是非!と推奨する。
それはどうしても上から目線になるし、お金の匂いもするからバッシングも浴びるけれど、人の為になると思って世に展開している気持ちも多少はあるだろうから、やっぱり凄い人なんだなぁと思う。
香山さんは職業上、そうやって勝間さんの方法論を再現しようとする「カツマー」達が思うようにいかず精神を崩壊させてしまう姿を見てしまうから、そのやり方に疑問を呈する。
その努力を、環境や病気によってそもそも実行できない人がいることを知った上で、それでも貴方はその姿勢を崩さずいることが出来る人なのですか?と執拗に勝間さんに問いかける。
これ、どっちが正解とかどっちを支持するとか、2択で分けることの出来ないものですよね。
勝間流で成功した人もいればその逆もいる。
各々は自分に降りかかった幸不幸が全てだから、ある人は支持するし、ある人は支持しない。
だから全部読み終わって、「ああ、この対談って意味ないんだ」と気づく笑。
いや、言い過ぎましたが、それほど二人は確固たる正論をふりかざすので、うんうんと楽しく読めました。
ただやっぱり、個人的に勝間さんは笑っちゃうほど好きになれない…笑
「私は150円のワッフルで幸せになれますわ」という箇所で、電車内で吹き出しそうになりました。