『あなたの中の異常心理』 / 岡田尊司
★ × 85
誰もが心にとらわれや不可解な衝動を抱えている。そして正常と異常の差は紙一重でしかない―。精神科医で横溝賞作家でもある著者が、正常と異常の境目に焦点をあて、現代人の心の闇を解き明かす。完璧主義、依存、頑固、コンプレックスが強いといった身近な性向にも、異常心理に陥る落とし穴が。精神的破綻やトラブルから身を守り、ストレス社会をうまく乗り切るにはどうすればいいのか。現代人必読の異常心理入門。
内容(「BOOK」データベースより)
「なぜ社会地位もある人が少女のスカートの中を覗いてしまうのか。」
過去の偉人と異常心理の相関を取り、日常に起こり得る精神的病と原因の解説、そしてそれらから身を護るにはどうすれば良いかまで丁寧に紐解かれています。
完璧主義、依存症、支配欲、固着、自己愛、、「病」とまでは無自覚なものの、少なからず誰もが持つこういった性質が異常心理に繋がるという、結構恐ろしい内容。
ここからは完全に駄文です、レビューではありません。
私の小さな頭の中ではどうしても身の回りの世界についてしか論じられず恐縮ですが、「異常」について考えるのは、現状あまりにも「異常」に見られることへの恐怖心みたいなものが大きいということ。
「アイツは変だ」という言葉は殊更関西では褒め言葉とも捉えられますが、それでも間に合わない程異常に対する敏感性みたいなものは蔓延している気がします。
個人的には変であることを受容できている気になっているけれど、やはり気持ちのどこかに正常 / 異常の閾値みたいなものを無意識に線引きしていて、日々相対する人に対して評価してしまっているんだろうなぁ。
なぜ自分はアイツが嫌いなのか?と考えることで冷静になれますが、最近思うのは、そうやって心情を分析することで余計閾値が色濃くなり、本当は苦手意識の無かった相手に対しても「あぁ、俺のルールではアイツは~~だから、俺はアイツが嫌いだったのか」と勝手に嫌い対象にランクアップさせてしまうこともあります。
だから考えることと感じるだけのこととの使い分けって非常に難しい。
ただ、本書を読んで何かしら力強さみたいなものを感じるのは、
<この異常性は誰しも起こる「正常」であり、故に自分だけが異常だと慌てる必要は勿れ>
みたいなメッセージ性を感じるからだと思います。
異常性のない人はいない。
自分の周りが正常で良かった、という安心感は何の意味も持たない、だって見る人が見れば我々は集合的に異常なのかもしれない。
自分の周りに異常が無くて平和だ、という安心感も何の意味も持たない、だって見る人が見れば私一人だけ集団内で異常なのかもしれない。
正常/異常の定義はなく、空気に漂う見えない閾値みたいなもので分けられるただの言葉であるから、そもそも考えない方が良い。
自戒の意味が強い文章ですが、本作を読んだ後電車でふわふわ考えた気持ちの整理です。