『一億総ツッコミ時代』 / 槙田雄司
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ツイッターで気に入らない発言を罵倒し、ニコ生でつまんないネタにコメントし、嫌いな芸能人のブログを炎上させる。ネットで、会話で、飲み会で、目立つ言動にはツッコミの総攻撃。自分では何もしないけれど、他人や世の中の出来事には上から目線で批評、批難―。一般人がプチ評論家、プチマスコミと化した現代。それが「一億総ツッコミ時代」だ。動くに動けない閉塞感の正体はこうした「ツッコミ過多」にある。「ツッコミ」ではなく「ボケ」に転身せよ。「メタ」的に物事を見るのではなく「ベタ」に生きろ。この息苦しい空気を打破し、面白い人生にするために!異才・槇田雄司(マキタスポーツ)による現代日本への熱き提言。
内容(「BOOK」データベースより)
お笑い芸人、マキタスポーツさんの著書です。
とは言っても私は詳しくないので顔も浮かびませんが、本作を読む限り非常に面白い人だと感じました。
後半は精神論じみていますが、前半の分析は鋭い視点で納得することばかり。
非常に共感した点として、メタ視点でツッコむ人は、安全な場所から他人を攻撃し、自分を守っているというところ。
これは正に私のことを言い当てられているようでドキッとしました。
考えてみれば、こうやってブログに本のレビューを付けて、自慰的に作品についてブチブチ言ってる時点で、私ってそうなんでしょう。
しかもネットという匿名性で更にシールドは堅く、何か言われようものならすぐトンズラ、責任の放棄。
よく言われることですが、「100冊の本を読むより、1冊の本を書け」。
正にこれ。安全地帯から石を投げるより、槍を持って肉弾戦を好む人、マキタさんは彼らのことをいい意味で「ボケ」と呼んでいます。
(なので別に本書は、お笑いの本では決してありません。)
別に方法論を説くわけではなく、ただ「ボケの人生の方が面白いかもよ」という警鐘を鳴らす程度ですので、押し付けがましくないのが良い。
あともう一つ、ネット社会が産んだ弊害として、情報に踊らされる「浮動層」が増加したという分析。
私もここ数年ずっと肌で感じていることですが、情報を得ることの幸せって果たして何だろう?
私の周りにはネットに依存せず受動的な姿勢で生きる知り合いが何人かいますが、彼らは情報を得るツールが無いのではなく、それ以外に何かと生き生きと忙しそう。
かっこいいのです、それが。
勿論ネットから受ける恩恵は計り知れないですし、メリットデメリットは表裏一体なのだと自分を納得させてはいますが、中途半端に得た知識を自分で消化しないまま披露し、短期的に快楽を得てハイ終わり、
そんな飲み会次の日に何かしこりが残っている、という経験が多々あります。
あまりに簡単に情報を得られる分、頭で考えようとしない。
考えないのならば、知らない方がマシ。
情報を得ることは大切だけど、頭を使うことはもっと大切。
あぁ、書きながら何となくわかってきました笑。
かなり脱線しましたが、本書は私が生活していて時々感じた疑問にフォーカスされていたので、とても興味深く読めました。