『カワイイ地獄』 / ヒキタクニオ
★ × 80
内容(「BOOK」データベースより)
大学に通いながらキャバクラで働くことになった駒子。ここには「カワイイ」以外の価値観は存在しない。だけど私には夢がある。自分だけは他の子とは違うはず、そう思っていた。女子はいつでも「カワイイ」を求め続ける。アイラインで大きくした瞳も、磨き上げた髪の毛も。女子的短編連作、文庫オリジナル。
あけましておめでとうございます、本年もどうぞよろしくお願いします。
ブクログを振り返ると、2014年は50冊しか本を読めてなかったようで…
量がすべてとは思いませんが、やっぱり日々生活している中で色んな非日常に出会い、思想に触れられる一番の機会が私にとっては読書であって、無理のない程度に読書量を増やしていくことが今の私に必要と思います。
2015年は目指せ80!でお願いします。
友人の勧めである本書を読みました。
が、なかなかにツマラなかった・・私ごときが偉そうにと自覚在る基で、からめのレビューをします。
連作短編集で、すべてキャバクラに勤めるキャバ嬢が主人公。
別にキャバを奨励する作品でなくその逆で、彼女たちは皆女子特有の妬み・嫉み、そして「カワイイ」スパイラルに堕ち、金やドラッグ漬けとなる世界で生きている。
設定としては切れ味鋭く、男子禁制の場を覗くヒヤヒヤ感を味わえると予想していましたが、
本作はそれを味わうにはあまりにヌルかった。
例えばある短編ではクスリ漬けになった友人が亡くなりますが、
その前後の描写があまりに淡白で、いくらキャバクラの世界でもここまでバカじゃないだろう!と興ざめしてしまいました。
もし死がテーマで無いとして、ならこの冷徹な現場で生きるキャバ嬢とは金の良さを差し引いて有り余るえげつなさですよ、と若者に警鐘を鳴らす作品かと言われればそうでもない。
すごく中途半端な仕上がりになってるのが正直な印象でした。
興味深い点としてはタイトルの意味で、これは語彙力の乏しい彼女たちが、何かにつけて「カワイイ」を連発することに起因しています。
本書を勧めてくれた友人は教師で、口癖のように生徒に「やばい」「すごい」を口走ってしまうことを反省していると言っていましたが、
これは彼に限らず私もそうで、ひとつの物事を表現するのに総じて「やばい」で片付けてしまう感性が文字通りやばい。
流行りの「思考停止」にも似た感じ。
発する言葉はそのまま発言者を表すと言いますが、人間力(まあこれも何なんだっつう話ですが)をつけたいのであれば、やはり奥行きある表現を使うべきなんだろうなと思いました。
小説としては…はっきり言うとあんまりでした。