普段本を読まない職場の同期に、乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」をお勧めしたところ、激ハマりしてくれました。
嬉しくて、思わず私もどんでん返し小説が読みたくなり、傑作の呼び声高い我孫子岳丸さん著「殺戮にいたる病」を買ってしまいました笑。
明日から始まる心震える通勤電車を楽しみに、また読後レビューします。
今回は個人的に大当たりだった「どんでん返しミステリー」を(自慰的に)紹介していきたいと思います。
◆作品ラインナップ
1.『イニシエーション・ラブ』 / 乾くるみ
言わずと知れた読み返し小説。
正直言って面白くも何ともない恋愛物語を9割9分9厘堪能させられた後、たった1行で築き上げた世界をひっくり返されるという経験を味わえます。
読んでる最中より、読み終わった後に考える時間の方がよっぽど長い笑
ネタバレサイトの盛り上がりもものすごく、何でもタイトルから装丁からすべてにおいて伏線まみれだそうな。
荒削りと思われた文章すら見せかけだったという点もすごい。
大概の名作ミステリーは終始面白いのに、本作品はほとんどの部分面白くないという笑。
読んで損はない作品です。
2.『ソロモンの犬』 / 道尾秀介
道尾秀介作品はもれなく伏線の嵐ですが、どんでん返しとして最も有名な「向日葵の咲かない夏」よりも個人的には本作が好きです。
「向日葵の~」は嫌いじゃないですが、やり過ぎ感の強すぎる実験的作品なので万人にはお勧めできません。
本作はミステリーとして超一級品の仕掛けを用意しておきながら、帯通り「青春小説」としても十分な水準を得ていることがすごいなぁと思います。
「物事が綺麗に進み過ぎだ」という道尾さんに対する批評をよく目にしますが、いや、確かにところどころ気になる箇所はあるのですが、そうやって現実的に考えている時点で道尾さんの術中にはまっているような気もします。
あくまでトリックを楽しむ、という姿勢で臨めばめちゃめちゃ楽しめる。
犬が出てくるのも地味に好き笑
3.『ZOO』 / 乙一
乙一さん25歳の当時世に送り出された衝撃の作品。
ミステリーというジャンル区分が適当かは定かでありませんが、「どんでん返し」という意味で飛びぬけています。
全10篇、とにかく脳を四方に揺さぶられる感覚で、北上次郎さん同様「何なんだこれは。」という感情を拭えない。
「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」「SO-far」「Closet」どれも秀逸すぎる(しかも読んだの5年前なのに、タイトルだけで内容思い出せます)。
天才!と当時思った作家の中でももっとも好きな作品です。
東野圭吾さんはコンスタントに素晴らしいミステリーを生み出す日本一の作家ですが、個人的ベストワンは本作。
(「赤い指」もかなりヤラれましたが、ちょっと火サス臭が強かった…)
本作のすごいのは、犯人、そしてもう一人の犯人、いずれも全く嘘をついておらず、彼らはあくまで真実しか語っていないということ。
時制のトリックで似たような作品はありそうなのですが、東野さんの技巧なのかまんまとミスリードされました。
そしてきっちりヒューマンドラマを打ち込み、映像化のしやすさも注入しているっていう、まさに売れっ子作家さんの代表。
あ、最後揶揄したようになりましたが、間違いなくどんでん返される超名作です。
5.『葉桜の季節に君を想うということ』 / 歌野昌午
最後は爆弾級どんでん返しを。
トリックが明らかになった瞬間、怒り狂うか笑い転げるかは読者に依り、その反応はどちらも正しい。(私は後者でした)
道尾さんの「向日葵の~」と同じかそれ以上の「そんなのありかよ!?」小説。
「イニシエーション・ラブ」同様、100%映像化は不可能。
それだけ言っておきましょう。ある種コメディ!
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上記5作品はいずれも強くお勧めします。
面白い本に恵まれていない未読の方はぜひ手に取ってください。