『装丁を語る。』 / 鈴木成一
★ × 84
内容(「BOOK」データベースより)
読者を惹きつけ、一瞬でその本の魅力を伝えてしまう―そんな装丁を生み出す著者の発想法とは。これまで手がけた約8000冊から120冊を厳選し、それぞれの本の個性を引き立てる「演出」方法を自ら解説。ブックデザインの第一人者による初の単著。
重松清さんの対談集『この人たちについての14万字とちょっと』http://tacbook.hatenablog.com/entry/2015/02/04/184711
で初めてその名を知った鈴木成一さん。
とは言いつつも、実は名前だけはもう何度も目にしたことがある方でした。
30年で1万冊(平均したら1日1冊…)の装丁を手がけた超売れっ子装丁家で、誰しもがほぼ100パーセント、何かしらの鈴木成一ワークスに触れたことのあるってくらいの幅広く活躍されている方です。
本作はそのうち、鈴木さんの手がけた作品をテーマごとに、本人が紹介しているものです。
ペラペラ捲っていると分かりますが、本当にまあ、ベストセラーと呼ばれる作品が数多く出てきます。
(数えてみると実際、5分の一くらいは私も読んだことあるものでした)
『この人たちの〜』でも書きましたが、装丁家の方って、原作を全て読んでいるんですよね。
誠に失礼ながら、出版社からの依頼通りに作り上げる職業なんだと勘違いしていましたが、原作を読んだ上で更に、作家に「これでどうでしょう」という提案までしていることが驚きでした。
それを知った上での1万冊ってのはやっぱ異常!
イメージとしてはもはや書評家に近い仕事をしている感じですが、鈴木さんの場合評価し、更に自分のカバーに落としイメージを伝えるところまでが一行程なので、より複雑なことをしている印象です。
なので素晴らしい想像力に幅広い人脈を持つ鈴木さんしか出来ないのだろうと思います。
劇団ひとりの『陰日向に咲く』なんか、鈴木さんの息子が書いたらしいです笑
それがバチっとハマって売れちゃうんだから、責任は重大だけれど偉大な仕事だな〜と思いました。
デザイン専攻の方なんかはもちろん勉強になるでしょうが、私みたいなど素人でも、「ジャケ買いってなんなんだろう?」とか思ってる方は是非読んでみてください。