- 作者: まんしゅうきつこ
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2015/04/09
- メディア: 単行本
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『アル中ワンダーランド』 / まんしゅうきつこ
★ × 89
内容紹介
まんしゅうきつこ、お酒に逃げたらこうなった……。 抱腹絶倒のブログ「オリモノわんだーらんど」で注目を集めた漫画家まんしゅうきつこ。 そのブログの存在は瞬く間に世に広まり、各所から漫画・イラストの仕事が殺到した。しかし彼女はその陰でひとり、アルコール依存症にもがき苦しんでいた――。 本作はまんしゅうきつこ初の描き下ろしエッセイ漫画。アルコール依存症ゆえの大暴走の日々を綴ったノンフィクションです。 幻覚や被害妄想に記憶障害、そして公衆の面前でまさかの「ポロリ」という大失態!? お酒好きな方もそうでない方も、おかしくも悲しい“アル中の世界”を覗いてみませんか? 巻末には「アル中鼎談 中川淳一郎×小田嶋隆×まんしゅうきつこ」を収録。「美人」と噂のまんしゅうきつこが初顔出し!?
朝日新聞の書評で知り、久々マンガ読みたいなぁと軽い気持ちで近所の本屋に行くと、「在庫がありません」とな。
やっぱデカい本屋行くしかないか…と思い、最寄り駅にある最も大きい本屋で検索すると、前日在庫2冊。
よしよしと思いながら指定された棚を探すも、どうも見当たらない…店員に聞くと「売り切れたんすよ~」とな。
うおおおすげえ、こんな時代でもやっぱ新聞の影響力すげえ!と俄然躍起になり、会社帰りにある大きな本屋に寄ってようやく買えました…
「まんしゅう きつこ」という、若い書店員がレジ打ちだと買うのを躊躇うほどゲスなペンネーム、
そして何より表紙の可愛い女の絵に騙されること勿れ、中身にはしばらく忘れ得ぬ程強烈な顔面不細工な著者が描かれています。
(んで極めつけは、巻末の特別対談に載っている写真の著者がまさかの美人お姉さんであること…!)
いろいろ衝撃でした。
内容は、マンガを描き始めてからアルコールに依存するようになった著者が、様々なシチュエーションで思いっきりやらかしたエピソードを包み隠さずユーモアたっぷりに描いたもの。
大緊張の阿佐ヶ谷ロフトのイベント前に摂取してしまい、気づけば朝。
イベントの録画映像を見直すと、念仏のように意味不明な言葉を発する自分、挙げ句は勢いで生乳をさらけ出す自分…
出版社の祝賀会で摂取し、気づけば朝。
見覚えのないキャバ嬢の名刺、聞くところによると繁華街の茂みに頭から突っ込んでいる所をキャバクラの店長に助けられ、起きたのちはキャバ嬢とひたすら酒を酌み交わした自分…
そんな、本来であれば死んでも隠したい事実を、出版という開かれた手段を通じて己を公開処刑するという、それはもう強烈な一冊でした。
ペンネームと内容、ここまでせねば売れぬとはやはり厳しい業界…と悲しんでいましたが、巻末の対談を読むと、どうやらまんしゅうさん自身は、酔った自分のトンデモエピソードをあとから聞くのが楽しいと思える真性のマゾのようで、普通の神経で本作を出したのではないことがわかります笑
なので重たく受け止めず、ただ笑って楽しむエンタテインメントでした。
すげえなと思ったのが、私あまり漫画詳しくないので上手く言えませんが、ひとつのコマをコピーして、他のコマで使いまわすという手法、『HUNTER×HUNTER』なんかでよく見たことありますが、本作もめちゃめちゃ使われてます。
1話は数ページで終わりますが、ほぼ3、4パターンの顔のみで完結しちゃってることもあります。笑
大判で1000円越え、下手な絵に加えコピー頻発という、なんとも贅沢なエッセイ漫画…たまには面白いと思いました。おススメ!