『ともだちがやって来た。』 / 糸井重里
★ × 85
以前ブクログのレビューでも書きましたが、久々に目を通してやっぱりいいなあと思い備忘の意味で再レビューします。
本作は糸井重里さんがウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」にて、2008年1月1日~12月31日のあいだに書いた原稿のなかから選んだ言葉が詰め込まれた作品。
プラス「気まぐれカメラ」から、糸井さんと樋口加奈子さんの愛犬「ぶいちゃん」の写真とコメントが数枚差し込まれています。
昔から私はこういった詩集ものが苦手で、それは物語性の無さに楽しみを見出せないというのもありますが、一番の理由は「メンツ」、つまり俺は詩集なんかを読んで短絡的な快楽を得なければならない程疲れてねえよ、という誰に対するでも無いプライドで、手に取ることを拒んでいたイタいものでした。
けれどやっぱり年齢かなぁ笑、徐々にそういった言葉に癒される自分を見過ごすことは出来ずに、思い切って買いました。
私は一時期『海馬 脳は疲れない』や『はたらきたい。』を読んで糸井さんにダダハマりしました。
糸井さんの成す独特の言い回しや、プロの言葉を噛み砕いて分かりやすく譬える技術に惚れ惚れして、「人の話を聞く仕事っていいなぁ」という激烈ファジーな夢を描いた時もありました。
こんな風に糸井さんを尊敬する前の私であったら、言葉や写真を集めただけの本作を見ても、「なんだこりゃ宗教的だな」と、かなり最悪な言葉を吐いて見向きもしなかったと思います。
けれど本人の作品をいくつか読んだ後に見ると、やっぱり心にズシンとくるものがある。
ブクログのレビューをつけたのは2年前の8月、そのときはこんな言葉が印象に残っていたようです、私は。
『落ち着いて考えればわかるだろ。先だの後だのってのは、何の意味もないんだ。』
『考えてみると、ぼくらは「自信のないこと」ほど、完全を意識しますよね。』
『「あわてるな」と大きく墨書して、壁に飾っておきたいくらい、大事なことなんだよな。』
『世の中にはね、男と女とコロッケしかいないんだから、仲良くしなきゃだめだよ。』
最後のはよく分かりませんが、前半3つを見る限り、当時の私(修士課程1年時)は何かに追われていたのでしょうか。笑
あぁ、でも「あわてるな」~は今見てもいい言葉だなぁと思います。
本作は様々な角度から(それこそタダのシャレとかも)言葉を投げかけているので、当時の自分と今の自分で印象に残る言葉が違うというのも、自分の成長や衰退(笑)を感じることができてとても良いですね。
ちなみに今の私がザッと読み終えて印象に残った言葉
『なんとなくやりそうなことは、結局やることになるものなんですよね。』
『自分や、自分たちの持っている「幼児性」については、いいもわるいも含めて、しっかり考えてもいいなぁと思います。』
『基本的な事を守り続けるって、かなりの知性が技術が必要なんだぜー。』
また2年後読もう