『レンタルお姉さん』 / 荒川龍
★ × 84
内容(「MARC」データベースより)
「言葉ではない何か」を伝え、ニートを動かす強さと優しさ…。学校にも会社にも行かない若者たちと、手紙・電話・訪問を通して交流し、新たな行動を起こさせようと奮闘する「レンタルお姉さん」と呼ばれる女性たちを描くルポ。
タイトルから完全にデリヘルかダッチワイフを想像していましたが、ただ私が無知なだけでした。
wikiより。
レンタルお姉さん(レンタルおねえさん・女性の場合)とは、若年無業者(引きこもり・ニート)を対象とした自立支援策および、それに従事するNPO法人職員を指す言葉である。
んで本書は、レンタルお姉さんとしてニートと向き合うお姉さん(実名)、及び被対象者であるニートの彼彼女(仮名)のエピソードを複数詰め込んだドキュメンタリーです。
対象となっているのは、中学入学時から1年間引きこもっている男の子や、建築の勉強を何十年も続けてきた50代の男性など、かなり症状として重たい人たち。
そんな彼らを、まずは家から出し、一定期間「寮」に住まわし、最終的には社会へ出ていかせるのがレンタルお兄さん・お姉さんの目的です。
無知な私はこんな活動があるなんて全く知りませんでした。
お姉さんは皆20から30代の比較的若い女性ですが、引きこもった彼らとたった一時間話すためだけに、片道6時間もかけて向かうような過酷な仕事です。
しかも対象者によっては全く言葉を交わせないまま帰路につくことも多々あるよう。
まあそもそも家族とすら話さないような重度の方が多い前提なので、どこの馬の骨とも知らない若い女性に耳を傾ける筈もないっちゃないのですが。
本作のいいところはそういった過酷さを隠すことなく、報われなかったお姉さんのエピソードもありのままを描かれている点。
あと、最後の方に「ニートの親」に関して言及していますが、決して本人のみの責任でなく、周囲環境が複合的に絡み合った社会問題であることを示唆している点も良かったです。
ただ、どうしても気になったので書いておきますが、
本作はレンタルお姉さんの活動に付き添う著者の視点から描かれていますが、この荒川龍さんという著者が一体何者なのかが全く分からないのが、ヒジョーに気持ち悪かった…。
ネットで探してもほとんど情報がないんです、ただ本作の著者であることくらいしか掴めない。
社会学者なのか医療従事者なのかジャーナリストなのか、全く顔が見えないまま人と付き合うことの難しさを説かれても、お前はどの立場なんだよとどうしても気になって入り込めませんでした。
私はどうしても本や映画の「作り手側」バックボーン含め作品を享受したいタチなので、その点で少し残念でした。