『ウォーク・イン・クローゼット』 / 綿矢りさ
★ × 86
内容(「BOOK」データベースより)
「いなか、の、すとーかー」注目の陶芸家としてすべて順調だったおれなのに、郷里の村の工房に女ストーカーが現れて…。「ウォーク・イン・クローゼット」ガーリーで清楚なモテファッションのOL早希。素敵な服に囲まれて暮らすタレントのだりあ。そんなふたりの友情のゆくえは?
『勝手にふるえてろ - bookworm's digest』『かわいそうだね? - bookworm's digest』
など、以前激ハマりした綿矢りささん。
装丁が完全にツボなのでずっと読みたかった本書をようやく読みました。
綿谷さんらしいライトな女性小説。
『いなか、の、すとーかー』『ウォーク・イン・クローゼット』の2編。
前者は陶芸家として情熱◯陸的なメディア露出により有名となった主人公が、帰省中にストーカー被害に遭うという、若干のホラー要素を含んだ展開です。
主人公は熱狂的なファンの女性きストーカー行為を繰り返され、古くからの友人に助けを求めますが、実は友人こそが真のストーカーであったというおっかなビックリのどんでん返しも含んでいて、ストーリー自体結構楽しめます。
んで、ストーカーをされたその理由というのが、夢を追って掴んだ成功者としてありがちなのかもしれませんが、無意識のうちに滲み出る「俺、すげえだろ。」感によるもの。
その立ち振る舞いに、昔から主人公に恋心を抱いていた友人は納得できず、行きすぎた思いがストーカーへと発展してしまう。
うーん、書きながら近頃よくあるホラー系恋愛ドラマにも似ている気がしてきました(むしろそのもの笑)
私の好きな言葉に「実るほど こうべを垂れる 稲穂かな」ということわざがありますが正にそう。
自分ができて他人ができないことに対する無意識の優越感、それは仕事中とかに出ちゃってるんだろうな〜俺、、
と、まあ読みながら関係ないことを思ったりもしました。
表題作である『ウォーク・イン・クローゼット』は、なかなかガチャガチャした話。
ガチャガチャ、というのは、ストーリーのウロウロ感。
好きな男性とは妙に上手くいかない主人公が行きずりの出会いに流されたり自制したりしながら、最後の方で芸能人である友人の「だりあ」が赤ちゃんを産む手助けをするという展開で、物語を通じて何を言いたいのかがちょっと分からない小説でした、、
個人的には前者が好きかも。
けどもっと言うと、もっともっとぶっ飛んだ女性を描く綿谷さんがもっともっと好きです。(ゾウさんのほうがもーーっと、、)