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内容(「BOOK」データベースより)
気鋭の作家二人が、三十一字に入魂!限られた字数に秘められためくるめく妄想と物語は味わい方も無限大。穂村弘、東直子、山崎ナオコーラ、いとうせいこう、華恵、山里亮太、ミムラ、光浦靖子、星野源、俵万智、勝山康晴、山口隆、ともさかりえ、入山法子…個性豊かな14人のゲストたちとともに、言葉遊びの世界を大冒険。
テーマに沿って著者2人、及びさまざまなゲストが短歌を詠み、談笑するのを纏めたもの。
これはサイコーに面白かった、、最近重め・暗めの作品を続けて読んでいた反動からか、久しぶりに電車でニヤニヤして読みました。
そしてせきしろさんという素晴らしい作家との出会い!!今まで知らずにごめんなさいでした!!
もともと本作を手に取ったのは西加奈子さんの名前があったから。
西加奈子さんはベスト5に入るくらい好きな女性作家で、特に近年の『サラバ!上 - bookworm's digest』や『i(アイ) - bookworm's digest』の
「自意識!」や「世界!」
みたいなド直球なテーマにまっすぐ闘った小説が本当に素晴らしく、また本人もすごく魅力的な方で、握手会ならぬサイン会にも2度ほど行きました。
一方のせきしろさんは、又吉さんとの共著が昔本屋に並んでいたなぁというだけのイメージで、作品はおろか本人の顔、年齢、経歴も一切知らないままでした。
だから本作に期待していたのは、あれほど分厚い小説に込めた西加奈子さんの感性が、短歌という31文字になるとどう違った角度で伝わるのかなぁというものでした。
ただ読み終わった今は、ただただせきしろさんの感性にヤラれました、、笑
短歌なので偉そうにレビューなんかできないですが、せきしろさんが詠むなんとも言えない悲しさ、可笑しさにまずページが止まり、
んでそのあとのトークで短歌の解釈が為されて腑に落ち、
その後改めて短歌を見返してポーッとする、その繰り返しでした。
また、西加奈子さん以外にも光浦靖子さん、星野源さん、そしてサラダ記念日の重鎮、俵万智さんなど、言語関係の仕事を持つ著名な方々も一緒になって詠むのですが、
奇しくも何を詠んでも尚、相対的に見てせきしろさんのがより輝くという形になってしまいました。(失礼な文章ですみません)
伝わらないので、特に印象的だったせきしろ歌を引用しておきます。
テーマ「体育館」
ボールのはねる音が思った以上に大きいからあわてて止めた
テーマ「飲む」
老人は薬を飲むものなんだと 泣かないものだと思っていた
テーマ「ゆずこしょう」
喧嘩しているがご飯は作ってある 柚子胡椒まで用意してある
テーマ「鳴る」
自転車のベルを鳴らされすぐ避ける まだ鳴らしている そういう人か
テーマ「痒い」
女子の手に虫刺されの跡見つけなんか嫌いに 自分のは良い
また、最後にクロスエッセイという、一方の短歌を詠んでもう一方がそれにまつわるエッセイを書くという、お二人にしかできない章があるのですが、
そこに出てくる、西加奈子さんの詠んだ歌に対するせきしろさんのエッセイがもう上手すぎて上手すぎて、、、!!(特に1つ目のエッセイ悶えました)
読後の帰り道、即座にせきしろさんの小説を買ってみました笑
今年の残りでどっぷりせきしろワールドに浸かります!!