『帰ってきたヒトラー』 / ティムールヴェルメシュ
★ × 91
内容(「BOOK」データベースより)
2011年8月にヒトラーが突然ベルリンで目覚める。彼は自殺したことを覚えていない。まわりの人間は彼のことをヒトラーそっくりの芸人だと思い込み、彼の発言すべてを強烈なブラックジョークだと解釈する。勘違いが勘違いを呼び、彼はテレビのコメディ番組に出演し、人気者になっていく…。
以前から近所のジュンク堂に平積みされていたり、ビブリオバトルで紹介されていたりと、気になっていた本作、ようやく読めました。
いやぁーオモロい!ひとまず上巻のレビューを。
タイトルと装丁より、てっきりヒトラーの真実を暴くドキュメントモノかと勘違いしてしまいそうですが、本作はれっきとした小説。
しかも、死んだはずのヒトラーが2011年にタイムトリップするという、まさかのSFモノです。
理由は分からずも2011年に送り込まれたヒトラーが、それでも己を見失わず現代で生き抜いていくストーリー。
けれど彼の曲げない言動は現代にとってはブラックユーモアと受け止められ、コメディ番組に、YouTubeに、、キ◯ガイ扱いされるがままメディアに祭り上げられていく。
その様は知的っぽく言うなれば現代のマスメディア風刺だし、
歴史的背景を全く知らない私はわかりませんが、わかる人に言わせれば彼のドイツやナチズムに対する思想は賛否いずれも呼ぶものなのかも知れません。
けれど個人的に、まあ無知な私だからかもしれませんが、本作のポイントは完全なるコメディとして成り立ってる点で、それこそRウィリアムズ主演で丸々映画化されてても違和感ない程な所なのかなと思います。
ヒトラーがマインスイーパやりながら「地雷撤去作業に勤しむ」とか言ってる描写とかサイコーでした。
あと「インターネッツ」て言う姿も可愛かった。笑
偉人がタイムトリップすると言う在り来たりな設定にも関わらず、膨大なるヒトラーの引用が挟み込まれている安心感があるからこそ、過去の人間が携帯やPCと言った近代テクに翻弄されるという、テルマエロマエばりのこれまた在り来たりな描写にも思わず笑ってしまうのでしょう。
しかも著者は本作がまさかのデビュー作らしいです。あっぱれ!
少し不安なのが、歴史的背景に無知な私は果たしてこのノリで下巻も飽きずに楽しめるのだろうかということ。。
それまでに少しだけでも勉強したほうがいいだろうか…
なんであれ、下巻が楽しみです!またレビューします。