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内容(「BOOK」データベースより)
ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。
『量子革命 - bookworm's digest』で3週間ほど量子の世界にズブズブになって疲れていたので、ちょっとエンタメをと思い、不朽のミステリーと呼ばれる本作を読みました。
岡嶋二人さん、『99%の誘拐』を大昔に読んで以来多分2回目でしたが、何となくこんな文体だったなぁというのを思い出しました。
本作はかなりゲームに依った話で個人的にはそこまでハマりませんでしたが、本作が出た20年前を考えると脱帽するしかない先見性で驚きました。
とある会社が開発した「クライン2」という試作ゲームの原作者である上杉が主人公。
上杉、そしてアルバイトとして応募してきた梨沙の2人は、治験としてクライン2を実践します。
クライン2とは簡単にいうと「全身VR」。
HMDで視覚を覆って仮想現実を体験するのが現代なら、全身をHMDで包んで、視覚のみならず痛覚や嗅覚もすべて仮想現実にし、ゲームの世界に体ごと置かれた感覚でゲームを進めるのがクライン2です。
今でこそ民生品でもメジャーなVRの世界なのでイメージは難くないですが、本作は1980年代に出たということにまあ驚き!
いとうせいこうさんの『ノーライフキング - bookworm's digest』を読んだ時も時代先取り感に圧倒されましたが本作も同様。
これをリアルタイムの時代に読んでいたら、もっと想像が膨らんでより楽しめただろうなぁと思います。
んであらすじは、次第にゲームの世界と現実を区別できなくなっていくという、これまた現代だと本でも映画でもまあよくある展開で、現代に読んだ私には決して新鮮なものでは無かったですが、
何度も言うように「30年前に読んでいたら、、」というやつです。(以下省略
不朽のミステリーとは、当時誰もなし得なかった新しさ故なのでしょう。
ゲーム性高いストーリーが好きな人は文句無しで楽しめる小説と思います。