『あきない世傳 金と銀 源流篇』 / 高田郁
★ × 86
内容(「BOOK」データベースより)
物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸。父から「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か―大ベストセラー「みをつくし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕!
『みをつくし料理帖』がすごいと何かと評判な高田郁さん、ずっと読みたいと思っていましたが、あちらのシリーズは非常に長いため、新シリーズのこっちを読んでみました。
が、こっちも中々続いていきそう。。ついて行けるかな、、
超久々の時代小説でしたが、読ませる平易な文章で楽しめました。
主人公、幸は、飢饉の時代に一人呉服屋に奉公へ出された女の子。
大坂という馴染みない土地で、見知らぬ人と共に商売を学んでいくストーリー。
幸の才を見出す者、幸と仲が良いのに別れなければならなかった者、幸との今後の恋愛を匂わす者、、
もう、そのままそっくり朝の連ドラに移せるような、典型的な成長物語です。
(時代小説って何かこういう、ド型にハマった構成のイメージが強く、それが私が若干苦手なポイントです、、いや、捻くれた私が悪いのですが)
時代背景はほぼ江戸ということですが、本作品のテーマは今で言う「女性の在り方」。
この時代に女性が商いをする(この篇では未だですがいずれするのでしょう)ことが異例だとされていたり、
別の登場人物の女性が、早く子供を作れというプレッシャーに耐え兼ねて家を出ていくシーンがあったりなど、
現代にも通ずる女性の在り方の難しさが描かれていて、そこが本作の読みやすい点だと思います。
「みおつくし〜」の方もそうなんでしょうか?
ただ1つだけ不満を言わせていただきたいのが、、
本作、当然この1冊では終わらず、まだまだ続いていくぜとばかり、ものすごい途中で終わるのですが、
あまりにも何にも片付いていない。
1冊の本として世に出る以上、たとえその先続いていくとしても、1冊の中で何かしらの着地はして欲しいと思うのですが。。
それとも時代小説って基本的にこのスタンスなんでしょうか。。
勿論続編も読もうと思いますが、小説を漫画のように連続的に読んでいく習慣のない私には少しクリビツな終わり方でした。