元町の1003で購入した阿瀬みちさんと神楽坂いづみさんの『融 vol.1』読了。
神楽坂いづみ&阿瀬みち合同誌 融 vol.1 「家族とジェンダー」 J.バトラー『ジェンダー・トラブル』を読む - ぺんぎん文庫 - BOOTH
お二人のエッセイと小説の間に対談が挟まってるという構成で、神楽坂さんの小説『幻壊』がとてもとても良かった。家族三人で住む主人公が、ある日家の中から赤ちゃんの泣き声が聞こえることに気づき、幻聴かと思いきや妹に子どもが生まれていて、夫が誰か一切分からないまま、ある日仕事が忙しい妹から赤ちゃんをしばらく預かることになるという話。実話なんか良くわからん、一応目次には「創作」と書いてあるからフィクションなんやろけど、赤ちゃんを初めて預かって何も分からずパニクる主人公が少し前の俺を見るようでニヤニヤしてしまった。
腕を体から離す。泣き始める。抱っこする。どうすればいい。布団に置くことができない。両手が塞がる。ジョギングにはもちろん行けない。本も読めない。朝飯は食えたものの、夕飯はどうすればいい?トイレに行く時はどうすればいのか。習慣が確立されていない行動は思考を伴う。
この「習慣が確立されていない行動は思考を伴う。」てのが言い得て妙でヘドバンした。子育てなんてイレギュラーの連続で、昨日も出社時に娘と外に出た後「違う靴で行きたい」と言われ、急いで戻って履き替えてチャリ置き場行くと「バスで行きたい」と言われ、時間的に無理やねん!とイライラしながら言ったら「かっかと行きたい」と言われ最終的に娘は奥さんに任せ自分は会社に遅れるという朝を過ごして死にたくなった。この不条理を繰り返し喰らったのち、人はある日突然悟り出すのだと思う。話が逸れたけどそんなことを思った。