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33歳二児のエンジニアで、日記をずらずら書いていきます

記事一覧 ブログ内ランキング 本棚

2015/09/20 『孤独か、それに等しいもの』 / 大崎義生
2015/09/17 『今日を歩く』 / いがらしみきお
2015/09/16 『ケンブリッジ・クインテット』 / ジョン・L・キャスティ
2015/09/06 『裸でも生きる2』 / 山口絵理子
2015/09/02 『数学的にありえない(下)』 / アダム・ファウアー
2015/08/30 『だから日本はズレている』 / 古市憲寿
2015/08/28 『数学的にありえない(上)』 / アダム・ファウアー
2015/08/18 『僕は問題ありません』 / 宮崎夏次系
2015/08/16 『世界の終わりと夜明け前』 / 浅野いにお
2015/08/13 『ワイフ・プロジェクト』 / グラム・シムシオン
2015/08/13 『伊藤くんA to E』 / 柚木麻子
2015/07/30 『断片的なものの社会学』 / 岸政彦
2015/07/25 『雨のなまえ』 / 窪美澄
2015/07/22 『愛に乱暴』 / 吉田修一
2015/07/19 『ナイルパーチの女子会』 / 柚木麻子
2015/07/15 『ひらいて』 / 綿矢りさ
2015/07/13 『るきさん』 / 高田文子
2015/06/24 『装丁を語る。』 / 鈴木成一
2015/06/16 『春、戻る』 / 瀬尾まいこ
2015/06/13 『かわいそうだね?』 / 綿矢りさ
2015/06/12 『未来国家ブータン』 / 高野秀行
2015/06/09 『存在しない小説』 / いとうせいこう
2015/06/02 『帰ってきたヒトラー』 / ティムールヴェルメシュ
2015/05/31 『流転の魔女』 / 楊逸
2015/05/21 『火花』 / 又吉直樹
2015/05/19 『あと少し、もう少し』 / 瀬尾まいこ
2015/05/17 『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』 / 古市憲寿、上野千鶴子
2015/05/02 『切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』 / 佐々木中
2015/04/26 『恋するソマリア』 / 高野秀行
2015/04/25 『アル中ワンダーランド』 / まんしゅうきつこ
2015/04/23 『レンタルお姉さん』 / 荒川龍
2015/04/17 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』 / J.D.サリンジャー
2015/04/12 『しょうがの味は熱い』 / 綿矢りさ
2015/04/07 『ペナンブラ氏の24時間書店』 / ロビン・スローン
2015/03/26 『せいめいのはなし』 / 福岡伸一
2015/03/25 『やりたいことは二度寝だけ』 / 津村記久子
2015/03/21 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(下)』 / 増田俊也
2015/03/14 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上)』 / 増田俊也
2015/03/06 『元職員』 / 吉田修一
2015/02/28 『黄金の少年、エメラルドの少女』 / Yiyun Li
2015/02/23 『太陽・惑星』 / 上田岳弘
2015/02/14 『迷宮』 / 中村文則
2015/02/11 『僕は君たちに武器を配りたい』 / 滝本哲史
2015/02/08 『斜光』 / 中村文則
2015/02/04 『この人たちについての14万字ちょっと』 / 重松清
2015/01/27 『名もなき孤児たちの墓』 / 中原昌也
2015/01/18 『満願』 / 米澤穂信
2015/01/15 直木賞
2015/01/15 『Hurt』 / Syrup16g
2015/01/14 『地下の鳩』 / 西加奈子
2015/01/10 『きょうのできごと』 / 柴崎友香
2015/01/05 『月と雷』 / 角田光代
2015/01/02 『カワイイ地獄』 / ヒキタクニオ
2014/12/31 『死んでも何も残さない』 / 中原昌也
2014/12/30  2014年ベスト
2014/12/18 『サラバ!下』 / 西加奈子
2014/12/13 『サラバ!上』 / 西加奈子
2014/12/12 『できそこないの男たち』 / 福岡伸一
2014/12/4 『ザ・万歩計』 / 万城目学
2014/12/1 『ぼくには数字が風景に見える』 / ダニエル・タメット
2014/11/25 『アズミ・ハルコは行方不明』 / 山内マリコ
2014/11/19 『勝手にふるえてろ』 / 綿矢りさ
2014/11/13 『ジャージの二人』 / 長嶋有
2014/11/6 『8740』 / 蒼井優
2014/11/5 『計画と無計画のあいだ』 / 三島邦弘
2014/10/31 『問いのない答え』 / 長嶋有
2014/10/29 『ジュージュー』 / よしもとばなな
2014/10/20 『Bon Voyage』 / 東京事変
2014/10/17 『女たちは二度遊ぶ』 / 吉田修一
2014/10/15 『カソウスキの行方』 / 津村記久子
2014/10/10 『69(シクスティナイン)』 / 村上龍
2014/10/3 『論理と感性は相反しない』 / 山崎ナオコーラ
2014/9/28 『最後の家族』 / 村上龍
2014/9/25 『グラスホッパー』 / 伊坂幸太郎
2014/9/23 『エヴリシング・フロウズ』 / 津村記久子
2014/9/13 『神様のケーキを頬ばるまで』 / 彩瀬まる
2014/8/23 『西加奈子と地元の本屋』 / 西加奈子・津村記久子
2014/8/10 『蘇る変態』 / 星野源
2014/8/4  『ジョゼと虎と魚たち』 / 田辺聖子
2014/7/31 『マイ仏教』 / みうらじゅん
2014/7/23 『オールラウンダー廻』 / 遠藤浩輝
2014/7/17 『ゴールデンスランバー』 / 伊坂幸太郎
2014/7/16 『百万円と苦虫女』 / タナダユキ
2014/7/8  『人生エロエロ』 / みうらじゅん
2014/6/28  駄文・本を読まない場合
2014/6/8  『平常心のレッスン』 / 小池龍之介
2014/6/5  『僕らのごはんは明日で待ってる』 / 瀬尾まいこ
2014/5/27 『泣き虫チエ子さん』 / 益田ミリ
2014/5/25 『動的平衡2 生命は自由になれるのか』 / 福岡伸一
2014/5/14 『春にして君を離れ』 / アガサ・クリスティー
2014/5/9  『統計学が最強の学問である』 / 西内啓
2014/5/1  『不格好経営』 / 南場智子
2014/4/27 『きみの友だち』 / 重松清
2014/4/22 『善き書店員』 / 木村俊介
2014/4/15 『人生オークション』 / 原田ひ香
2014/4/8  『疲れすぎて眠れぬ夜のために』 / 内田樹
2014/4/1  『戸村飯店 青春100連発』 / 瀬尾まいこ
2014/3/28 『完全なる証明』 / Masha Gessen
2014/3/22 『渾身』 / 川上健一
2014/3/16 『憂鬱でなければ、仕事じゃない』 / 見城徹、藤田晋
2014/3/12 『恋文の技術』 / 森見登美彦
2014/3/6  『国境の南、太陽の西』 / 村上春樹
2014/2/28 『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』 / 福岡伸一
2014/2/23 『雪国』 / 川端康成
2014/2/17 『ロマンスドール』 / タナダユキ
2014/2/15 『それから』 / 夏目漱石
2014/2/11 『悩む力』 / 姜尚中
2014/2/5  『暗号解読<下>』(1) / Simon Lehna Singh
2014/1/31 『暗号解読<上>』 / Simon Lehna Singh
2014/1/26 『脳には妙なクセがある』 / 池谷裕二
2014/1/19 『何者』 / 朝井リョウ
2014/1/15 『ポースケ』 / 津村記久子
2014/1/13 駄文・2013年と2014年の読書について
2014/1/8  『×と○と罪と』 / RADWIMPS
2013/12/29  2013年ベスト
2013/12/23 『骨を彩る』 / 彩瀬まる
2013/12/18 『愛を振り込む』 / 蛭田亜紗子
2013/12/11 『あなたの前の彼女だって、むかしはヒョードルだのミルコだの言っていた筈だ』 / 菊池成孔
2013/12/4 『円卓』 / 西加奈子
2013/11/26 『暗い夜、星を数えて』 / 彩瀬まる
2013/11/24 『お父さん大好き』 / 山崎ナオコーラ
2013/11/16 『BEST2』 / TOMOVSKY
2013/11/10 『人のセックスを笑うな』 / 山崎ナオコーラ
2013/11/9 『困ってるひと』 / 大野更紗
2013/11/4 『ジ・エクストリーム・スキヤキ』 / 前田司郎
2013/11/3 『こころの処方箋』 / 河合隼雄
2013/10/27 『朗読者』 / Bernhard Schlink
2013/10/24  駄文・フーリエ変換について
2013/10/16 『ノーライフキング』 / いとうせいこう
2013/10/11 『東京百景』 / 又吉直樹
2013/10/7 『社会を変える驚きの数学』 / 合原一幸
2013/10/4 『楽園のカンヴァス』 / 原田マハ
2013/9/29 『ともだちがやってきた。』 / 糸井重里
2013/9/28 『若いぼくらにできること』 / 今井雅之
2013/9/21 『勝間さん、努力で幸せになりますか』 / 勝間和代 × 香山リカ
2013/9/17 『シャッター商店街と線量計』 / 大友良英
2013/9/8  『ハンサラン 愛する人びと』 / 深沢潮
2013/9/7  駄文・読書時間について
2013/8/31 『幻年時代』 / 坂口恭平
2013/8/26 『人間失格』 / 太宰治
2013/8/21 『天国旅行』 / 三浦しをん
2013/8/17 『野心のすすめ』 / 林真理子
2013/8/7  『フェルマーの最終定理』 / Simon Lehna Singh
2013/8/4  『本棚の本』 / Alex Johnson
2013/7/31 『これからお祈りにいきます』 / 津村記久子
2013/7/26 『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』 / 山田詠美
2013/7/20 『殺戮にいたる病』 / 我孫子武丸
2013/7/15 駄文・どんでん返しミステリーについて
2013/7/15 『ツナグ』 / 辻村深月
2013/7/11 『岳物語』 / 椎名誠
2013/7/9  『黄金を抱いて翔べ』 / 高村薫
2013/7/2  『工場』 / 小山田浩子
2013/6/25 駄文・スマートフォンの功罪について
2013/6/22 『ぼくは勉強ができない』 / 山田詠美
2013/6/15 『少女は卒業しない』 / 朝井リョウ
2013/6/12 『死の壁』 / 養老孟司
2013/6/7  『卵の緒』 / 瀬尾まいこ
2013/6/6  『一億総ツッコミ時代』 / 槙田雄司
2013/5/28 『うたかた / サンクチュアリ』 / 吉本ばなな
2013/5/24 『ルック・バック・イン・アンガー』 / 樋口毅宏
2013/5/20 『クラウドクラスターを愛する方法』 / 窪美澄
2013/5/17 『けむたい後輩』 / 柚木麻子
2013/5/13 『あの人は蜘蛛を潰せない』 / 彩瀬まる
2013/5/10 駄文・本と精神について
2013/4/30 『想像ラジオ』 / いとうせいこう
2013/4/22 『あなたの中の異常心理』 / 岡田尊司
2013/4/10 『千年の祈り』 / Yiyun Li
2013/4/5  駄文・文学賞について
2013/3/31 『今夜、すべてのバーで』 / 中島らも
2013/3/22 『何もかも憂鬱な夜に』 / 中村文則
2013/3/13 『生物と無生物のあいだ』 / 福岡伸一
2013/3/10 駄文・紙と電子について
2013/3/2  『ウエストウイング』 / 津村記久子
2013/2/24 『ブッダにならう 苦しまない練習』 / 小池龍之介
2013/2/16 『みずうみ』 / よしもとばなな
2013/2/8  『何歳まで生きますか?』 / 前田隆弘
2013/2/3  『ワーカーズ・ダイジェスト』 / 津村記久子

工事中…

ブクログというサイトで読んだ本のログをつけています。
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2019/2/19 桶川ストーカー殺人事件

金曜は有給を取って娘の保育参観に行った後、新幹線とバスを駆使して広島の鞆の浦温泉へ。娘が生まれてからこういった地方に旅行することが多くなったけど、行くたびに「どこにでも生活はある」っつー当たり前のことに気づかされる。今回のハイライトは港町で朝一から空いてる土産屋のおばあちゃん。釣り銭間違えたり商品くれんかったりでボケボケやったけど、娘を「おしゃまさん」と言ってくれたトコでその可愛さに悶え萌えた。

ただ、そろそろいい加減海外行きたい。ウラジオストクが実は日本から二時間てことを知り俄然行きたくなったものの、調べれば調べるほど子連れ旅行には不向きな土地に感じてきたのでペンド。。無難にシンガポールケアンズだろうか。GWは絶望的やからお盆、、

 

昨年読んだ『真犯人はそこにいる』に続き、清水潔さんの『桶川ストーカー殺人事件』を読んだ。

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)

 

ストーカー規制法が制定される契機となった事件。異常者からのストーキングの末に殺されるという最悪の結末の裏で塗り固められた警察の嘘を、著者が白日の下に晒していくというノンフィクションもの。嘘、というのは、そもそも被害者の女性が警察に対し度々助けを求めていたにも関わらず無視し、告訴状を書き換えたこと。更には自らの嘘を認めたくない=加害者はストーカーしてたと認めたくないとゆう警察側の理由から、裁判で事あるごとに被害者遺族を攻め立て、挙げ句の果てに押収した遺品を遺族に返さなかったこと。この辺り『真犯人は〜』とほぼ同じ、「自分は悪くない」を正当化するために犯罪行為すら厭わない国家権力を描いてます。

印象的やったのが、途中ミスターTと呼ばれる警察関係者が放った「警察も所詮はサラリーマンで、家族や恋人がいて、自分の身を守りたい」というセリフ。規模は違えどこないだ読んだ『HHhH』、あれは世界全体がマヒして人一人の命が軽くなった結果生まれたカオス。本件も第3者目線から見ると警察のやり方がおかしいことは一目瞭然やのに、当の本人らはマヒした組織の中にいて、告訴状の書き換えもルーチン業務の一部、くらいでしか無かったんやろうなぁと想像つく。何事も、馴れ合いからうまれる井の中の蛙感ほど危険なものはないと感じた。

今回の件は著者が独自で取材しメスを入れ続けてようやくこうやって知ることが出来てるけど、不当なまま収束させられた事件はその何十倍も潜んでるって考えると未来は暗い。清水さんみたいな記者が実はたくさんいることを祈ります。

 

 

2019/2/15 HHhH

昔友だちが絶賛しており、ついこないだ公開された『ナチス第三の男』の原作でもある『HHhH』を読み終わった。過去最高にブチ上がった海外文学でした、30歳超えてもこんな読書体験を味わえる世の中に只感謝、、、!!!!

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

 

戦時下のナチスドイツでヒトラーヒムラーに続く悪名高き長官、「死刑執行人」と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒの暗殺を計画するチェコのパラシュート部隊を主人公に添えたノンフィクション小説。計画は「類人猿作戦」と名づけられ、その名で検索すると本書で描かれた事の顛末と全く同じ内容が出てきたので、読後改めてこの計画の「事実は小説よりも奇なり」感に驚いた。特筆すべきページターナー箇所は当然ながら暗殺シーン以降で、ハイドリヒを目の前にしてなぜか銃が空撃ちしたり、暗殺者たちが数日に渡り地下室に立て篭もった結果最終的に自害するところなんかは、もちろん描き方が上手いのもあるけど、これが史実と考えた瞬間、そこらのフィクション映画が塩ラマのように霞んで見える。また、去年『アウシュヴィッツの図書係』を読んだ時も感じたけど、今からせいぜい80年前に、理由も無く見せしめのために村が丸ごと焼き尽くされたり、子どもを度数の高いアルコールで酔わせて実親の生首を眼前に突きつけるといった、世界全体で完全に狂った方向に麻痺してた時代が確かにあったという事実にただ恐怖した。平和ボケとはよく言ったもので、プッとどこかに小さな風穴があくだけで世界はいとも簡単に崩れるということを見せ付けられた。どうか娘が一生を終えるまで、平和ボケしまくった世界が続いてほしいとだけ願う。

 

そして本書が圧倒的読書体験をもたらす最大の要因はやっぱり、この長編が「小説を書く小説」になってる点。徹底的に細部まで現実に即したこの小説の中に、まさかの著者であるローラン・ビネ自身が度々登場し、この一部始終を書くに当たり感じた苦悩や拘りを惜しげもなく露わにしている。それってフツーに考えるとすごく不自然で、映画で言うと、ものすごく緊張感あるシーンで急に監督が「ココの撮影、とにかく寒くて大変やったんす」と登場するコメンタリーみたいな感じ、つまり折角築き上げた作中の世界観を台無しにし兼ねん危険なメソッドやと思う。なのに本書では、この悲しく壮大な史実を描き切ることが如何に困難だったかを著者が度々語る構成になってる、だけど結果的にそれは、暗殺計画の緊迫した場面をきちんと引き立てる役割を果たしてるからすごい。そこがホンマ、これまで読んだどの小説や報告文学とも違う読書体験になった。

 

本書は、予めこういった作品にしようというマクロな視点を据えて書き始めた感じがせず、途方も無く膨大な取材調査と徹底したリアルを追及するあまり、こういったメソッドに至った己の哲学とかも散りばめることでリアルさに拍車をかけ、結果的にこんなにも稀有な文学となった、という感じがする(あくまで個人の感想です)。そういう書き方は西加奈子さんもしているとトークショーで言ってたし、増田俊也さんの『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』も、取材を進めるにつれ木村マンセーの精神だけで書くのはどうやら難しいということに気づき、途中で連載を辞めようか苦悩したというエピソードもあった。本書は著者のみならず、妻や父親も作中に出てきており、まさに心の揺れ動きが直に伝わってくる。こんな作品ホンマに今まで出会ったこと無い。映画も当然気になるけど、たぶんこんな伝え方はさすがに映像化できない。本を読むことが軽視されがちな時代で自分も最近そうなってたけど、そんな愚かさにビンタされたような衝撃と喜びがありました。\2,600、全員買うべし。

2019/2/13 メイウェザー

ドイツ人の英語があまりに理解できない自分にショックだったので、podcastで英語のラジオを聴こうと思って漁ってみた。はじめ、アメリカの大学生2人がただ雑談してるチャンネルを見つけてかなりアガったけど、聴いてみるとあまりのスラングとカルチャーの違いで全く理解できず、そもそもカルチャーの違いなんて日本語で訳されても判らんであろう内容を英語で聴くなんてムリだってことに気づき、いろいろサーフィンして結局今の仕事内容に関連する研究をどっかの教授が喋ってるチャンネルに落ち着いた。「日本語で訳されたら判る内容を英語で喋ってる」且つ「自分が興味あるトピックを喋ってる」という前提のチャンネルなら何とか聴ける。けどこれって結局普段読んでる論文をオーディオブック的に喋ってくれてるだけやんけ、、と気づいた。やっぱラクせず、マジで「英単語DUO」的な本をガッツリ勉強せなあかんねやろなぁ、と思いながらラジオ垂れ流して出社した。

 

RIZIN CONFESSIONSの最新回で、メイウェザー vs 天心のバックステージが公開された。解説は当然天心サイドからのみでメイウェザーからは無かったけど、ふざけてるように見せながらフェイントに対する反応が異常に良いとことか、左のカウンター当ててからガードが異様に固くなったとことかの天心側からの解説により、結果メイウェザーの強さが更に神格化されるような作りになっててめちゃめちゃオモロかった。あとはやはり、1回目のダウンで混乱してセコンド見ちゃう天心や、負けた天心に「いいんだよ」と父ちゃんが声かけるシーンとか、あれだけの強さを誇りながらナチュラルにエンタメとしても魅せられる那須川一族の人間性にとにかく惹かれた。最後にはちゃっかり武尊との試合も匂わせてて、あぁこの青年は、ホンマ人間的にも非の打ち所の無い男やとつくづく感心した。今年も当分彼抜きで語れんニッポンの格闘技が盛り上がっていきそうでなにより。マジで関西開催ないかな・・

 

フリースタイルダンジョンもめっちゃ良かった。チャレンジャー達の中にシレッとBASE出ててオオゥッ!?って声出そうになった、どうせならピンの回で出てほしかった。梅田サイファー枠は去年大活躍やったpekoが出るのはまあ納得できても、準レギュラー的にじょうが何度も出るくらいやったらふぁんく出してほしかった。にしても素晴らしいメンツ。とにかくBASEとCIMA楽しみ!あと隠れモンスター、もういい加減初代が出るのは辞めてほしいけど、かと言ってじゃあNAIKAさんのようないつメンになるのも辞めてほしいので、有りえないとは思いつつ鎮座さん降臨とかに期待しておこう。ああぁ楽しいことが多くて嬉しい1週間。

2019/2/7 ママにはなれないパパ

今週のcreepy nutsのANNはゲストにzeebra。いつもセルフボースティング気味で、俺は何もかもわかってますよ的なzeebraのスタンスが前からあんま好きちゃうかったけど、R指定がラジオん中で自分がいかにzeebraが好きで好きでしゃーないってことを全身で表現したる感じを見ると、あぁやっぱ俺みたいな素人が知らんとこでたくさんのラッパーに影響を与えまくってて、今こうやってヒップホップがプチブームになってるのも間違いなくこの人の存在あってこそなんやなぁと今更ながらリスペクトを感じた。般若がゲストで来た回と比較するといつものバカバカしさは物足りんかったけど、たまにこういった回があってもええと思った。にしても般若zeebraと来ちゃうと、次もう呼ぶ人おらんのちゃうかと思てまうけど大丈夫なんかな、、KREVAとかやとだいぶオモロイけど。

 

去年に引き続き来年の春からドイツの学生が下につくことになって、今日遠隔面談があった。1聞くと10返してくるようなお喋り男子やったけど、そのうち4も聴き取れん自分に腹ただしくなった。折角娘も英語に熱心な保育園行ってることやし、マジで上半期集中して英語勉強しよかと思う。今の生活リズムやと多分ラジオでの勉強が良さげやなと思ってるから、日々の行き帰りのいずれかを英語に費やすことから始めよかな。「内容自体がめっちゃオモロイのにゆっくり喋ってくれる番組」とかあんのかな、調べよ。

 

新聞で紹介されてた鈴木おさむさんの本を読んだ。

ママにはなれないパパ

ママにはなれないパパ

 

言わずと知れた森三中大島の旦那さんで放送作家。半年の育休を取って父親として息子を育てた父親エッセイで、妻や息子に対する愛に溢れまくってて終始しあわせな気持ちしかなかった。特に「だよねだよね!!!」と強烈に印象残ったのは、「イクメンですね」と言われることへの違和感の章。自分の子どもを育ててイクメンで偉いですね?当たり前やろ!!!て気持ちは俺も、特に50オーバーくらいの上司とかと喋ってる時によく感じてたことやった。それを本書では、イクメンになるんじゃなくあくまで「父親」になるということ、そこを強調しててとても刺さった。「子供のオムツも替えられへんねん」「台所なんか立ったことないわ」とか言う奴、しかもそれを謎に「そんな俺、男らしいやろ」的ニュアンスで伝えてくる奴、俺が世界でもっとも嫌悪感抱く同性はそうゆう奴やけど、鈴木おさむさんも同じようなことを上手い表現で記述しててすごく納得できる箇所がいっぱいあった。かくゆう俺も女性から見たら全くポンコツの父親なんやろうからデカイことを言うのは控えなあかんけど、少なくともこうゆう良書を全男子は読むべきと思う。

 

2019/1/31 ヒップホップ・ドリーム

今週も娘の体調不良でわれら共働き家族の試練やったけど、今朝からまた元気に保育園に通われ始めた。夜中に咳で苦しそうな娘を見ると胸がキュッと痛み、朝パンとブドウを食べながらオリジナル言語を喋ってる娘を見ると胸がホッと温まるあたり、俺も人の子だったんだと実感する。

 

ずっと読みたかった漢a.k.a GAMIの『ヒップホップ・ドリーム』を読み切った。もっと早くに読んでおけばよかった、、最近読んだ自伝で一番面白かった。紙か電子かで禿げるほど迷ったけど紙で買って良かった。

ヒップホップ・ドリーム

ヒップホップ・ドリーム

 

そもそもフリースタイルダンジョンというMCバトルの番組でちゃんと漢について知って、アングラやリアルという所謂世間一般のラッパーのイメージを体現してるような人やなぁと思って、

ただ俺は昔「きっくざ、かんくるぅぅ〜!」とか言ってたアングラとは真逆の世界で蔓延ってたフェイク野郎やから、漢のことを深く知ろうとは特に思わず、

けど去年の戦極mcバトルのmu-ton戦(漢 a.k.a. GAMI vs mu-ton/戦極MCBATTLE第18章 BEST BOUT 1(2018.8.11) - YouTube )があまりにカッコよくて定期的に見てたんで、般若の自伝も読んだ今漢さんを避けては通れんだろう!と読みました。

思ってたよりずっとさらけ出してて、ふんわりとしか知らんかった新宿スタイルをようやく知ることができた。たとえmcバトルでも言ったことは1週間以内に実現しなあかんてゆうエグい制約設けて、「刺す」て言ったから後日相手のケツをマジで刺したってゆう事実、バトルやリリックでは聞いたことあったけど実際に自伝でフツーに書かれるとかなり恐ろしかった。あとlibraというレーベルとの確執も、インタビュー集とかでは軽く読んだことあったけど、本書ではパワハラや未払い問題が実名とともに淡々と書かれてて、この漢さんの「淡々と」てのが実にリアルで、怖いながらもページを捲る手が止まらんかった(これを知った今なら、UMBチャンプのmu-tonがKOKに出たことの驚きが分かる)。フリースタイルダンジョンの影響でやたらめったらmcバトルをネットで観るようになって、わりかし若いラッパーとかもカッコいいなぁと思う時もあったけど、読み終わって漢さんの尺度で改めて思い返すと、彼らがリアルを謳わない虚構のラッパーに見えてしまうくらいの説得力が本書にはある。本作を読むとラッパーになろうと思う人、逆に減るんちゃうやろか笑 けどlibraとの決別を経て、銀行の窓口から白い目で見られながらも9sariグループを立ち上げて成功していく終盤あたりは、ラッパーがどうとか関係なく1人の男のノンフィクションとしてとても勇気を貰えたし泣きそうにすらなった。文体もユーモアで決して感情的にならず、知的な漢さんが要所要所で滲み出てて、文才もあるってところにますますハマってしまった。音源もちゃんと聴こうと思ってSpotify聴き漁ってて、『MURDARATION』というアルバムのアカペラバージョンがあまりにカッコよくて通勤と昼休みのお供になってる。素晴らしい作品でした、俺もビーフをガッツリ食います!

 

あとほぼ忘れかけてたけど『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』という、もはやギャグかと思うほど残念な邦題の映画を観たけど、内容は決してギャグでなく良かった。

妻を亡くした旦那の破壊と再生の物語。終盤まで『永い言い訳』に設定がクリソツで、途中から主人公がもっくんに見えてたけど、出てくる人物みんなジャンキーなのは洋画ならではやった。個人的には妻が死んだ悲しみのシーンではなく、妻が別の男と妊娠してたことと、友人の息子がボコボコにやられて病院送りにされたところの崩壊の描き方が半端なくてくらった。作品を通じて、ポッカリ穴の開いた心を埋めるでなく、中途半端に欠けたその心を一度思うがまま全壊させて、そのあとゆっくり新しい自分になりましょう、そんな具合のメッセージを感じたけどもっと深い作品なんかな。