2011年発売、日本でも翻訳・ミステリーの錚々たる賞を受賞しまくったフランス小説、『その女アレックス』、、たまげました、オモロし!
アレックスという女性がある日何者かに誘拐・監禁されるシーンから始まるけど、そっからはかなり物語について核心に触れないまま説明するのが難しいので読んでみてくれとしか言えない。なのであくまで感じたこと思ったことを書いてく。
この作品のすごいのは、ミステリー作品でよく言う「驚愕のどんでん返し」が1回に限らないこと。読み進めると徐々に真実に近づいてって、いずれ「あーーなるほど!」となる時に快楽物質が出るんやけど、そこはあくまで局所解でしかなくて、その後再び別の解を求める旅に転がり始めるみたいな感じ。ただその局所解は決して小粒なものでなく、例えば映画の『SAW』1作目と2作目、最後の最後にトンデモなオチが待っててたまげた記憶があるんやけど、あの2つの衝撃を複数個内包してるんが本作。やから読んでてめっちゃ疲れるんやけど、1つ目の局所解を経て読み進めててしばらくすると、またにわかに次の解に会いたくて読む速度が加速するってゆう、その起伏込みで楽しめる小説になってる。
後半に出てくる、警察と犯人の静謐かつ緊迫する対峙シーンもかなり震えた。ミステリーなんで当然心理戦みたいなシーンて当たり前のようにあると思うけど、この作品は実に映画的とゆうか、決して説明過多では無いのにフワフワとその時の情景が浮かぶようになってて、それは著者と訳者の筆致の賜物やと思う。後から調べると本作は翻訳大賞も受賞してるらしいので納得。本作を知ったのは著者の『天国でまた会おう』とゆう別の著者が話題になってたからやけど、あちらはどうやら純文学らしい。ここまでのミステリー描けるのに何で?て思ったけど、映画的な世界観を創り上げる力みたいなものは純文学でも発揮されてるやろうからアッチも楽しみ。
結構グロシーンも多くてそこ込みでも楽しめる。アレックスにひたすら震えた数日間でした。オススメ!