『Hurt』 / Syrup16g
音楽を最も聴いていた大学時代に最も聴いた、つまり人生で最も聴いたバンドがSyrup16gなのですが、社会人になって音楽を聴く頻度が激減して、シーンを追わなくなっていたらいつの間にかSyrup16gが復活、からの新譜出てた。。
ってことに気づいたのがつい先月でしたので、今さらながら本作にズブズブとなっている元ファンです。
イエローモンキーもマリーズもゆら帝も東京事変も、好きだったバンドが悉く解散して、そんな中で最も復活しそうになかったSyrupがまさかの新譜まで吐き出していたとは。
だって、一時期ボーカルの五十嵐さん死亡説まで流れていたというのに、
あれだけ明日が来ないって言ったり歌ってたりしてたオジサンが、なぜ復活し新譜を、、はっ、もしかしてノイズミュージックに目覚めていたりして!
なんて妄想しながら、7割くらいの不安を持ってようやく買いました。
いやー、、杞憂も杞憂、本当に素晴らしい。ほんとに、比喩でなく毎日聴いてます。
1曲目『Share the light』のイントロからもう、心の奥がカーーンッと鳴って、7年越しとは全く思えない、時間の飛び越えて五十嵐さんが「久しぶりー」と顔を出したよう!
アルバム「Mouse To Mouse」の1曲目『実弾』を彷彿とさせる跳ね感。
「戻ってきましたよ、けど別にSyrupはSyrupですよ」と軽く言われているようなでたまらんです。
アマゾンのレビューなんかを見ると、どのコメントからもレビュワーの込める思いみたいなのが伝わってきて、あぁみんな思い思いの観点でsyrup好きなんだなぁと感じましたが、
音楽に全く知識のない私が個人としてツボなのは
『神のカルマ』の「階段を昇っている 毎日少しずつ落ちていく」と言っちゃうような危うさだったり、
『イエロウ』のようなイライラする不規則なリズムだったり、
『パリで死す』の「不完全燃焼な フランケンシュタイナー」のようなバカにしたような押韻だったり、
要はおじさんの五十嵐さんの中に孕む一種の幼児性みたいなもの、「大人だりぃー、生きてるのつれぇ~」みたいな気持ちを拗らせて歌ってる感じ、あれがたまらない。
けどそういう意味で、本作は全曲、Syrup16gとはかくあるべき、と主張しているかのように、かつてのファンをもう一度振り返らせるような力を持っている気がしました。
さっき書いた個人的なツボが『いかれたholidays』でも『Stop brain』でも『宇宙遊泳』でも押さえられて、いい意味で変わってない。
(ライブレポートなんかを読んでると、ドラムやベースはとても進化しているようですが)
現段階で一番好きなのは、五十嵐さんが最も歌いたくないと言っちゃってる『旅立ちの歌』笑。
商業的に作らざるを得なかったとは言え、7年ぶりの新譜で「最低のなかで 最高は輝く」なんて言われると涙出るよ五十嵐さん。
ライブの頻度は低いだろうけど、もう一度昔の気持ちに戻って、次は必ず生で観に行きたいと思います。