- 作者: 水道橋博士
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 文庫
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『藝人春秋』 / 水道橋博士
★ × 85
内容(「BOOK」データベースより)
北野武、松本人志、爆笑問題…ほか、芸人たちの濃厚な生を描き切る渾身のルポエッセイ。
2012年出版、水道橋博士のルポエッセイ集です。
ルポの対象はそのまんま東、古舘伊知郎、苫米地英人、湯浅卓、稲川淳二、爆笑問題、草野仁、石倉三郎、テリー伊藤、ポール牧、三又又三、ホリエモン、甲本ヒロト‥そしてビートたけしと松本人志という、まさに博士の人選というべき面々。
唸るほど知的な文章で怒涛のように芸能について描かれています。うーんさすが!
上記のラインナップから分かる通り、基本的には博士の好物である「天才」或いは「変人」をフィーチャーしています。
しかも(個人的には)甲本ヒロトさん以外、テレビでは目にするものの実体は謎に包まれている方ばかりでしたので、驚きの連続でまさにこれぞルポの醍醐味。
中盤、湯浅さん〜苫米地さん〜草野さん〜ポール牧さん辺りのラッシュはもうお腹いっぱい笑
マスコミュニケーションで得られる情報ってホント一部でしかないし(まあそれでいいと思いますが)、光の当たらない彼らの過去や思いを知ることができるのはこういった作品に限るなぁと思いました。
古舘伊知郎さんの章にはすごいすごいだけではない、著者の批判とも取れる文章もあり、よりルポ対象への憧れや「好き!」が伝わってきて、結果として対象者である古舘さんのことに改めて興味が湧きました。
稲川淳二さんの章は思わず涙が‥。
4000匹のマムシのプールで泳いでいた下積み時代と家族の病気との対比で心振り回されました。
事情は様々あれど、背景を省略して一つの環境で共に過ごすのが社会で、それはどんな企業でも言えることですが、やはり他者からの目が支配的で、それが全てであるのが芸能の世界で、
そこで生きる人は、他者により造られたイメージが例え変人だろうが嫌悪や怒りだろうが、ただ自分はシゴトに打ち込むという。
私みたいな庶民には想像のできない世界で、ただすごいなぁと感心するばかりでした。
基本、良い作品に旬も流行りも無いと思っていますが、こういう本は作中の時代を生きながら読むのがいいなぁとちょっぴり残念な気持ちもありながら、、