- 作者: さくらももこ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/06/30
- メディア: 文庫
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『そういうふうにできている』 / さくらももこ
★ × 88
内容(「MARC」データベースより)
子どもができたその日から、十月十日のスッタモンダ! 妊娠判明から命名まで、著者1年半ぶりの最新作は、笑いも涙も感動も全拍子そろったスペシャル版。すっとこどっこいの日々さらにパワーアップで大笑い保証付。
著者のエッセイは昔っから思い出したかのように読むので、どれを読んでどれを読んでないかもう把握できていませんが、おそらく本書は初と思います。
17年前初版、初の妊娠・出産までを綴った作品。
一般的に知られている、女性が妊娠・出産時味わうであろう苦悩や不安、痛み、そして喜びなどを著者も同様に味わっていることが書かれているのですが、
やっぱそこは名エッセイストとして実に面白おかしく描かれているのが素晴らしい。
例えば、予定日に近づいてもなかなか赤ちゃんが降りてこないことから帝王切開で出産することになり、いざ手術を迎えるとなった章。
間違いなく人生の一大事にも関わらず、表現者としての性というかプロ根性というか、己を俯瞰し、いずれこのことを世に出してやるぞという気概を持って手術に臨んでいる。
んで実際本書という形で世に出てます。
勿論、このことを後から振り返って面白く仕上げているのですが、出産という場ですらこういった意識を持っているというのはすごい。別に私は表現者ではないけど見習うべきだなぁと思います。
タイトルにも繋がるのですが、様々な出来事が「そういうふうにできている」と言い切っている、
だからいちいち悲観せず、或いは悲観をいずれ笑って飛ばすということを意識して生きている、というのがステキだなぁと感じました。
いや、さくらももこさんなので当然基本は笑いなんですよ?出産後腹が減りすぎて、「オナラをしたらメシが食える」という言葉を信じて、人前でオナラを披露するシーンとか吹き出しましたが、
「人の誕生」という言葉にし難いテーマであるからなのか、本書は著者の生きる姿勢みたいのが垣間見れて、個人的には単なるお笑いエッセイではなかったです。
やっぱ満足度高し!初期3部作ももう一度読みたくなりました。