『インド人の「力」』 / 山下博司
★ × 86
内容(「BOOK」データベースより)
なぜグローバル企業CEOに抜擢されるのか?驚異の二桁暗算術から英語力、議論力まで現代インド人に見るグローバル社会の“常識”。
最近中村文則さんダークな気分を味わう小説ばかり読んでいたので、新書読んだの久々、、
しかも昔マイブームだった「他国を知って自国を知る」的教養本なのですが、最近若干忙しさもあってそんなモードじゃないだろ俺、、と不安だったんですが、とても興味深く読めました。
IT分野始め、世界の最先端を行くのがインド人であるということの理由を、著者の経験交えながら説明し、日本人も学ぶべきところの多い作品。
本書は大きく「数学力」「英語力」「交渉力」「多様性」「グローバル」という項目を軸に、時折日本始め各国と比較しながらインド人を分析しています。
大項目だけ見ると完全なるビジネス書にしか見えませんが、そこにはいつかどこかで聞いた「インド人は2桁の乗算を暗算する」「インド人、嘘つかない」など逸話の解説も織り交ぜてあるので、サクサクと読みやすいです。
タイトルからも分かる通り、当然ながらインドの思想を称賛する作りになっているのですが、日本のゆとりである私からは想像できないような、努力家でエゴイストなインド人が描かれている。
ソーリーを言わない、イエスを言わない、メモを取らない、納期はない、、
ソーリーを挨拶代わりに言い、どんな理不尽な交渉でもイエスを言わず持ち帰り、誰も見ない議事録を取り、納期のためなら品質をも落とす(爆)、
日本に根付いた方法論と全て逆であり、それがいいか悪いかは別として、その切磋琢磨の中から結果として世界で最も数学力の強い国が生まれている。
曲がりなりにもIT分野に従事して5年目の私にとっては、このやり方は無視できないなぁと感じました。
しかしこのうち、凝り固まった日本社会でどれを採用できようか、、、
ひとまず会議には何も持たずに参加しようか、、
ただ、個人的にはこれはあくまでインド国内の話であって、
私の職場にも一昨年までインド人の技術者がいましたが、日本をリスペクトして黙々と働く、見ていてこっちが恥ずかしくなるような努力家の方でした。
英語を習得して世界に出るという意識が若い頃からあるということは、同時に多様性を享受する柔軟さも持っているということなので、その意識は本当に見習わなければならないと思います。
たまにこういった、ローカルから外に飛び出させてくれるような本は読まなきゃダメですね。。。