『道化師の蝶』 / 円城塔
★ × 82
内容(「BOOK」データベースより)
無活用ラテン語で記された小説『猫の下で読むに限る』。正体不明の作家を追って、言葉は世界中を飛びまわる。帽子をすりぬける蝶が飛行機の中を舞うとき、「言葉」の網が振りかざされる。希代の多言語作家「友幸友幸」と、資産家A・A・エイブラムスの、言語をめぐって連環してゆく物語。第146回芥川賞受賞作。
ひっさびさ円城塔さん。いつぶりかブクログを辿ってみましたが、どうやら2012年に『これはペンです』を読んで以来4年ぶりのようです。
「難解な小説」で知られる著者ですが、最近読書の集中力が高まっている気がしたのでいっちょ読んでみるか!と手に取りましたが、、むーんやはり理解できず、、
146回芥川賞受賞作です。
本作は「エイブラムス」そして「友幸友幸」という作家がそれぞれ残した小説を追っていく物語。
それゆえ複数の章で構成されている物語は、小説を追っている主人公の視点だけでなく、さまざまな言語で書かれたそれら小説の訳も混ざってきます。
難解さの1つはこの視点の移り変わり、そしてもう1つは訳された小説自身の読みにくさにあります。
よって小説自体は短編レベルに短いですが、とにかく一文一文の理解に努めるのに精一杯。
苦しい読書が続きましたが笑、私がブクログで書いていた『これはペンです』のレビューを読み返すと、結構良いこと書いてました笑
私なんかは小説に「今の弱い自分に何かサプリとなる言葉を」なんて求めてしまうので、その心づもりで読もうとすると、まず読み進められません。
けれど、そういう効果を持つ作品だけが小説じゃないんだよ、と切り替えると、途端に面白くなりました。
と、いうことで、一文一文の楽しみを享受しようという脳に切り替えて読み進めることがお勧め。
そうやって何とか読み切った私が引っかかったのは以下の文章
次の文は嘘を言っている。前の文は真実を言っている。
次の文が嘘を言うなら、次の文は、前の文は嘘を言っていると主張していることになり、前の文が嘘を言っているなら、その主張は次の文が真実を言うとなり、次の文は、前の文は嘘を言っているとなる。
‥‥まあとにかく、著者のエゴというか、「ついて来いよ皆さん」ぶりが感じられるところに、意地でもついていきたい気持ちが出てくるのが不思議です。
何かを得ようとするのは確かに難しい、けれどそれだけが読書じゃないんだぜと再び教えられた気がしました。
けど、次はもうちょっとわかりやすい小説読みます笑