中村一般さん『僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ』読了。
2018年から2022年の著者の生活を描いたエッセイ漫画。はじめの方は、コマ割りがされた益田ミリさんの作品のような4コマ的漫画が続くけど、途中から1ページに2コマほどのおっきい絵がドンッドンッと割り当てられた構成になってて、個人的には後半のそっちの方が好きやった。というのも、直前を一本で描かずに破線のように引く独特な絵のタッチで、はっきり言って小さいコマやと見にくい。漫画というより、今日マチ子さんの『Distance』のような画集という感じ。
著者が日々散歩する中で、目にする面白い看板や草木の成長などが淡々と描かれてる様子は、あくせく生きる自分には刺さる。こんな風に身の回りを捉えられてへんなー、、と感じる。ただそれ以上に、たまに著者の体から出てくる死神の描写が面白かった。綺麗な情景を大切にしたいという著者の気持ちとは真逆の、不安や怒りや悲しみのメタファーとして具現化された死神と、それでもまあ仲良くやってこうよ、という闇っぽさ。絵のタッチがそもそも憂いを帯びてるんで、個人的にはもっとダークサイドの描写も見てみたかったなと思った。