圧倒的読書体験、『サブリナ』を読みました。
グラフィックノベル(漫画)で初のブッカー賞ノミネート、村田沙耶香さんの2019ベストっつーことでずっと気になってて、けどバカ高いから図書館で予約してノホホンと待ってたけど、コロナショックで図書館閉館してもてもーー待ちきれん!となりポチ。視界が狭くなる程紙にのめり込んで読了。
すげーーーなんやコレ。しんどかったーーー
漫画、すごいやはり。この表現は小説じゃまず出来ない。近いのは映画?静けさや俯瞰は映画に近い。映画化もされるらしいし。
けどアップの人物描写とか単調なコマ割りとかはやっぱり漫画しかできない。いろんな感情が混ざってますが何とか文章化していきます。
あらすじはアマゾンからまるパクリ。
仕事から帰る途中にサブリナが行方不明になって、ひと月が経った。心配のあまり不安定になった彼女の恋人テディは、遠方に住む幼馴染カルヴィンの家に身を寄せる。サブリナの妹サンドラは、姉に何が起きたかが判明するのを苦しみながら待っていた。そしてある日、衝撃的な映像を収めたビデオテープがメディア各社に送られる―
表紙を見たら分かる通り、絵は全て同じ太さのペンで描かれた実に簡素なスタイル、かつコマ割りもサムネイルのように全て均等な正方形の羅列で、初め慣れるまでちょい時間かかる。
その中でもやっぱ印象的なのが「人物の顔」で、目鼻口が最低限あるだけの中肉中背の性別も読み取りにくい人物しか出てこないので、区別も付きにくいし、感情が読み取れず感情移入しにくいっつう。なんとも取っつきにくい作りになってる。
けどこれ、慣れると分かってきたんやけど、人にフォーカス当てにくい分、物語の構造に思考が依ってく感がある。あと、感情が読み取れない効果でいい奴悪い奴の区別がつかず、常に緊張感漂う作りになってる。それはいろんな方の考察ページを見るに恐らく著者は確信的にやってるっぽいので、まんまとハマったことになる。
あと夜のシーンが見事。ページ全体を暗くして不安を煽る演出も素晴らしく、漫画の表現としてまだこんなにも技法があったのか、、!と戦慄した。
社会性の観点でも今読むべきモノとして昇華されてる。物語の肝でもあるSNS上の誹謗中傷のシーン、テーマ自体はいろんな文学で取り扱われてるけど、プレーンで平坦な漫画表現の中でいきなり、見開き全て文字のみのコマで埋め尽くされるという強調の仕方は初めて見た。電車で読んでたんやけど、ちょっと気持ち悪くなった。
4000円に恥じぬ見事な作品になってますんで未読の人是非!