『踊れ、愛より痛いほうへ』/ 向坂くじら
今年になってからも既に3, 4作は読んだ向坂さん。多作でありジャンルも横断的に書かれてるが本作は小説。前作『いなくなくならなくならないで』に続き2作連続芥川賞候補という小説家としても高い評価を受ける正にマルチ文筆家。
前半、バレエを習っていた主人公が発表会本番の舞台上で演技を辞め、数分間停止し続けた描写あたりまではかなり面白かった。実に勝手に、西加奈子さんや山内マリコさんの作品のように女性性であることの生きづらさの枠組みで描かれた小説なのかと、そういったテーマを向坂さんが描くのはかなり興味深いと唆られました。
、、が、中盤以降はまた展開が変わり、そこからは一体何のことを示唆しているのかイマイチ掴めないまま終わってしまった印象です。一般的に小説は自分の中で構築し上手く任意の枠組みに落とし込むことで読みやすくなったり伝わりやすくなったりすると思います。一方で敢えて枠組みに嵌め込みにくくすることで受け手にさまざまな思惑を創発させることができる点もまた小説の良さなり。けれど本作はそれが醍醐味にまでは至らず、何が言いたかったんだ結局、、と迷路にハマったというのが個人的な感想。ザ・芥川賞と銘打ちたくなるほど純文学なんですがもっと理解できる目を持って読みたかった。
