『この世界からは出ていくけれど』/ キム・チョヨプ
友人が以前から推していたものの、そもそもSFが苦手で且つ海外文学て、、と個人でなくジャンルとして避けて通ってきたキムチョヨプさんですが、書店に並ぶ装丁の美しさに見る度にヤラれており、まずは短編から、、と本作を手に取り読みました。
短編の素晴らしさを伝えるお手本のような本。敬遠しててすみまテン、これから追います!
全7編、舞台や登場人物は何十年何百年後かの地球だったり別の惑星だったり不思議な能力を身につけていたり別の生命体だったり、一つ一つがアンディ・ウィアーやテッド・チャンの長編小説のテーマとして扱えるようなアイディアの宝庫。
「ブレスシャドー」「過剰四肢」「間違った地図」「時間バブル」「格子ストラクチャ」、、etc
などと初め分からない概念から入っていくものの、ものの数ページでスッと理解に落ちる瞬間がどれもあってとても不思議です。SFって分からないことが面白さでもあるジャンルだけれど本作は意外な程スッと入ってきてそれが居心地良い。これがキムチョヨプさん節というやつなのかしら。
そしてSFという形式を取りつつも全ては世の中の不条理の比喩表現である点も、SFだけでは終わらないという意志に感じられて良かった。基本的にどの作品も「普通」からはみ出た人たちを別の世界線で描いてる構図であり、はみ出た状態でどう世界や他者と折り合いをつけて生きてけるかその方法に迫っている。そしてキムチョヨプさんは「ヒトとの関わり」でそれを解決しようと試みてるように感じられました。そこをとことん突き詰めてるようにどれも感じられて、絞って絞って絞り切った後に優しさや切なさが滲み出てるような作品集。これはハマりそうです、『地球の果ての温室で』も早速ゲトりましたヨロシク!!
