『一度きりの大泉の話』 / 萩尾望都
少女漫画家・萩尾望都さんの回想録。もう経緯忘れたが長らく読みたいリストに積んでた本、図書館で見つけて即借り(確かビブリオバトル的な選書企画で誰かが推してた、、それをなんか記事的な何かで読んだ、、的な)。
まず恥ずかしながら著者・萩尾望都さん、そして萩尾さんと対を為す竹宮惠子さんについて、著者自身も著作も全く知らないまま読んだことを謝っときます、ごめんなさい。多分それらを知ってた上で本作を読めば200倍楽しめた(或いはショックを受けた)ハズ。
が、知らないまま読んでも十分興味深く一気読みしました。端的に言うと「世間では知られてなかったが実は仲悪かったのです私たち」という暴露本。「花の24年組」と呼ばれる昭和24年前後生まれの少女マンガ作家であるお二人が、東京は練馬区にある大泉という土地で共同生活しながら切磋琢磨し、後世の少女マンガ界に絶大な影響を及ぼす作品を生み出しまくってたという、いわゆる「トキワ荘」の女性作家版実話。
ただその実、中核を成してた萩尾さん・竹宮さんはとある事件がキッカケで確執が生まれ、以降一切の関係を絶っている、という事実が萩尾さんの口から語られてるのが本作。
多分ご本人のファンの方々は裏切られた気持ちとか生まれるやろけど、片方向でしか語られてない形なので事実としてはいびつ。しかも数十年も前のエピソードを著者及び周辺人物の記憶でのみ語られるという点から、本書に描かれたことが全てと言い切ることはヒジョーに危険だということはあれど、
そういったごちゃごちゃ抜きにして、物語としてフツーに面白かった。
何よりも萩尾望都さんの独特な文体に尽きる。ご自身を「巻末作家」と評するあたり自己評価かなり低めやけど、経歴を読んでると、どう考えても売れっ子作家笑。竹宮先生との確執が生まれたエピソードの語り口も、起こってる出来事に対して不釣り合いなロートーンさと俯瞰性で、いい意味でちょっとネジ飛んでるというか、天才の片鱗みたいなものが無意識の内に出てる感のある文章で、それの魅力のみでも一気読みできた。
理解しますけど、謝りません。なぜなら原因は双方にあって、双方とも傷ついたからです。理解はしても、解決はできません。
みたいな、ロジカル且つ感情的な文体。いやあこれ文字にしにくいけどマジすごかった。同時に、お二人の作品を知っとけばもっと楽しめたんやろな、、ということが悔やまれる。。何から読めばいいんやろ、『ポーの一族』?少女マンガ全く通ってこなかった人生なので知りたいと思いました。