『ブラを燃やす。恋をする』 / アルフィ
韓国発のグラフィックノベル。以前読んだ『大邱の夜、ソウルの夜』も韓国産だったな・・と思い返してたが、本作も同じシリーズの3作目だった。
レズビアンの著者が描く、レズビアンの方々の日常を描いた短編集。「脱コルセット運動」という、髪を短く切り、化粧をせずに外出するという女性の社会的圧力への反発を描いているが、グラフィックノベルという形態を取ることでとても柔らかく分かりやすい姿になってる。
一方でレズビアンの方への社会的反応については、漫画が柔らかい分より辛辣さを増してて苦しい。「ままならぬままに」で出てくる、友人に自分がレズビアンであることをカミングアウトするシーン。「えーそうなんですか!」的な友人の受け入れ方自体は良いと思うけど、言葉の端々に「そういう人たち」という言い方をしてしまっていて、俯瞰的に見てる分には「おいおい」と違和感を指摘できるけど、いざ自分が全く同じ立場に立ったらこんな風に反応してしまうのでは、、と血の気引く思いやった。
知らずには生きていけないジェンダー観を知る上で良書です。
『白い夏の墓標』 / 帚木 蓬生
会社の後輩に借りた小説、『閉鎖病棟』の著者、帚木 蓬生さんの名作。かつての友人が細菌兵器を作っていたという突拍子もない設定やけど、笑えるくらい専門用語ゴリゴリで(それもそのはず、帚木さん東大も九大も出てらっしゃるお医者様)、その辺の小説家では誰も真似できない領域に達してる。時間も空間もぶんぶん飛んでくダイナミックさも魅力的(終盤、友人の娘を訪ねるあたりのシーンは若干ダレがきましたが、、)。
あと久々に昔の小説を読んだけど、海外の移動時間や知り合いとの待ち合わせの描写の時間の流れがとても緩やかで、これ何なんやろってふと思ったら、(当然やけど)登場人物だれもスマホを持っておらず、物思いに耽るシーンが多いからやった。