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内容(「BOOK」データベースより)
小さなことにくよくよしないで、大きな仕事ができるわけがない。「極端」こそわが命。憂鬱なことが三つ以上ないと不安になる見城徹と、たぎる情熱をクールなオブラートに包んで激しくスウイングする藤田晋―。ふたつの魂が交錯した瞬間、とてつもないビジネスマンの聖書が誕生した!何が大切で、何が無駄か?あなたの臓腑をえぐる35の言葉。
ロクに読んでもいないのに「自己啓発本って何かアレだよね」と揶揄することは、
・食ってもないのに「百貨店のお土産90分並ぶのってウフフだよね」
・行ってもないのに「とりあえずウユニ湖って言ってりゃアハハだよね」
などと鼻で笑って知ろうともせず、己の趣味に傾倒するだけの井の中の蛙であることと同義だと重々承知しています。
そうであっても限られた時間、どうしても自分がその時欲したい!と感じる文章を渇望するのは本の読み方としてすごく大事なのですが、
たまには自己啓発の王道を闊歩してる自分にも酔いたい、と思って手に取った今回の1冊は、タイトルからしてなかなかグムムな作品。笑
見城さんは幻冬舎設立者で、現在までの社長。
幻冬舎の本は家にほとんど無いのですが、イメージとしては新人発掘やコミック。
調べてみると、かつたアブノーマルな作品に光を照らすような賞レースもやっていたようで、社長本人の風貌からも窺えるように、出版社のなかでは明らかな ”異端” 企業です。
藤田さんは『渋谷ではたらく社長の告白』の自伝で知った、奥菜恵の元主人であり、現在までのサイバーエージェントの社長。
ツイッターアカウントもかつてフォローしていましたが、ヒップホップの知識にも長けていて、絵に書いたような若手IT社長です。
まず表題の『憂鬱でなければ、仕事じゃない』や、『小さなことにくよくよしろよ』などの標語がデカデカ掲げられ、それに対する二人の見解がのちに述べられている構成なのですが、
不思議なのが対談形式でなく、まず見城さんの文章、そのあと藤田さんの文章、と分けて綴られていること。
これはなぜ?忙しすぎて対談の時間すらなく、テーマに対してそれぞれ寄稿したんでしょうか…?
ただ藤田さんは、見城さんの文章を読んだあとに己の見解を述べているようなので、どうしても後者である藤田さんの文章が「見城論のバックアップ要員」と見えてしまうんですね。
どうせなら対談してスウィングしてくれよ、とちょっと不思議でした。
肝心の内容は、それぞれゴリッゴリの働きマンよろしく「僕は2時間しか寝ていない」「あの頃は週百十時間働いた」などとの自己顕示が目立つものの、やはり自己実現の信念を貫き続けてきた二人の言葉だけあって、ワーキングメモリ(短期記憶)としてのモチベーションは上がります。
ただ、このサプリメントが今後私の生活で持続するかと言われると少し自信ありませんが、「こういう猛者もいるんだな」と適宜確認していくことは必要だと思いました。
(ぬるま湯読書だけだと、頬の緩みきった菩薩のような男になってしまうようでたまに怖くなりますもんね)
まあ…二度読むことはないかも。笑