植本一子さん・滝口悠生さん・金川晋吾さん共著『集合、解散!』読了。
指定された1日を各人がそれぞれ日記書く、というコンセプト本。往復書簡とかでもなく、同じ時間軸やけど別の空間軸を各人が書くので、当然ながらそれぞれの事象間そのものに繋がりは特に無いけど、コンセプトを知ってるからか、「同じ空の下でみんな生きてる」みたいな妙な同族の感覚を感じて不思議やった。植本さんはパートナーや自身の健康のこと、滝口さんは娘の成長のこと、金川さんは鑑賞した芸術作品のこと、みたいに全く別の空間軸を描いてるのに、何故か一方の悩みが他方の日記によって浄化される、みたいな場面もあって、喩え変やけど昔清竜人が出した『ぼくらはつながってるんだな』が想起された。
あとお三方とも、当たり前やけど日記のプロ中のプロって感じで、人の日常を知るという簡単で文字としてもうめちゃめちゃ面白い。特に滝口さんの
疲れたのでボンゴを叩く。
みたいなユーモアとか
ひろゆき的なキャッチーな説得力みたいなものについて、その軽薄さとか危うさを批判するための言葉をちゃんと用意しておく必要があるなあと感じる。
みたいな刺さる表現とか、一見書き殴ったようなこのウェイビーな文章はもう、感覚的には永遠に読んでられるかのよう。これまた変な話やが、自然言語処理の機械学習モデルのパワーを最近身をもって体感し、もう小説家とかもやがていなくなるんだろうか、、とおセンチな気持ちになってたけど、本書のようなユーモアや情緒バチバチの作品を読むと、ああまだまだサムアルトマンにはこの表現はできまい、と安心する感覚やった。