★ × 80
内容(「BOOK」データベースより)
葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつもデパートの屋上で空を見上げていた―。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体験、不倫による心中で夫を亡くした女性との不思議な縁、ファンの心を癒すSMの女王…。主人公・山崎が巡りあった心優しき人々と、南仏ニースでの葉子との最後の日々。青春文学の名作『パイロットフィッシュ』につづく、慟哭の恋愛小説。
大崎善生さん、過去に絶対なにか読んだことあると思い、ブクログ、mixiと漁ってみたところ、『孤独か、それに等しいもの』という小説を数年前に読んでいました(内容は全く覚えていませんが、、)。
本作は『世界の中心で愛をさけぶ』が思い起こされるド直球恋愛小説、個人的にはあまり刺さらず、、
内容は前述の通り、恋人である葉子が病死した主人公・山崎の現在と回想を織り交ぜた小説。
前半は葉子については多く語られず、どちらかというと山崎が万引きしたエピソードや、初めて性器を見せてくれた女性が自殺したエピソードなど、山崎の人格を形作るための話が中心です。
そして後半がほぼほぼ葉子と話。出会い、付き合い、病気が発覚してからニースで死を迎えるまでの一部始終が描かれています。
私が少し残念だったのが、まあ単に私の読み取り方が素人なんでしょうが、前半に出てくる山崎の変わったエピソードが、後半に特に活かされることなく、単なる紹介で終わった(ように感じた)点。
教室で性器を見せてくれた女性が自殺するシーンなんて、まるでAVみたいで意味不明で、一体この体験が山崎のその後にどう影響するのか!?と期待して読んだのに、特に発展が見られることはありませんでした。
こうなると、まるで性描写で読者を刺激しただけのように見えて、その後のSM女王の描写や、デパートの屋上でセックスアピールしてくる女性とかも全部そういう風に受け取ってしまいました。
エロ(やグロ)は人間の本質を描くために必要、という話は聞いたことがありますが、本作のエロは客寄せパンダに見えなくもないと思ってしまいました。。
すいません批判だらけになってしまいました。
ここ最近恋愛小説で良いと思ったものになかなか出会えず。それは単に私が年老いただけなのかという悲しい事実、、
いい恋愛小説があればどなたか教えてください。