畑野智美さん『トワイライライト』読了。
本書と同名の東京に実在する、個人的に行ってみたい独立系書店「twilight」とのコラボ的に出た小説。物語の中に実際に店が出てきて、お客さんの主人公がとある男性と出会って恋に落ち、、というストーリーやったが、正直「んーーーー、、、んーー、、?」という感じで読み終わってしまった。
特徴的なのは、大学進学で上京したタイミングでコロナ禍に突入したという2020年の春が舞台である点。どこに行くにもマスクで、というかそもそもどこにも行くに行けない状況で、友だちや先生との身体的関係を築く機会は失われ、ただ孤独に過ぎてく大事な学生時間、という設定は、コロナ禍社会人だった自分と完全に重ねるにはいかないまでも、追体験できるくらいの感覚はあった。また、主人公は福島出身で東日本大震災を経験しており、東京住まいの最中に起こる地震に過去を想起されるシーンとかもリアルだった。
そのあたりの社会性の描き方はうまいなと思ったが、中核を成す恋愛シーンがあまりにピンとこないというか、「自由な男性を待つ女性」的構図を良しとする感覚が全く理解できないまま終わりを迎えてしまったので実に残念やった。これは読み手であるこちらの価値観アップデートの問題なのか、、?書きながら、恋愛小説ってここ何年読んでないんだ?というレベルで読んでないことに気づいたので、理解できない自分の責任な気もしてきた。