あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ (日経WOMANの本)
- 作者: 村木厚子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 単行本
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『あきらめない』 / 村木厚子
★ × 90
内容(「BOOK」データベースより)
「働く女性の希望の星」から一転、逮捕・164日間の勾留―。極限状態でも決して屈しなかったのはなぜか。その秘密が半生とともに今明かされる。
郵便不正事件で虚偽文書作成容疑で逮捕されるも、半年後に冤罪が認められ無罪となった著者、
役所の悪事っぷりが明るみに出たことで話題となったこの事件で、普段ほとんどニュースを知らない私でも著者の顔は分かります。
が、、恥ずかしながら事件の詳細はほとんど知らなかったので本作で学びました。
タイトルは何ともいただけないですが、、ただの自己啓発では終わらない、特に逮捕されてからの著者と家族の在り方にはいろいろ考えさせられました。
中盤までは、村木さんが「普通の人のロールモデル」となれるよう如何に働いてきたかが描かれています。
当時は働くことが美徳とされたオラオラニッポンで、労働省(厚生労働省)というお役所立場から働き方について正面から向き合っていて、
セクハラや残業規制など、今ある多くの制度を第一人者として関わっているのには驚きでした。
しかも好感が持てるのは、随所に見られる「普通の人のロールモデル」を目指したという著者の人柄。
いつも自信がなくて、分からないことは「分からない」と言う。
これまで読んだ勝間和代さんや南場智子さんや小島慶子さんなどが書かれた「働く女性の〜〜」系読書で見られたのは、とにかく対男性で奮闘する、ダイバーシティとか言いながら結局は男と同じ量働けと見えてしまうような女性像が多かったのですが(というか俺がそういう本しか読んでなかったのかもしれませんが)、村木さんはちょっと違った角度でワークライフバランスを語っていて面白かったです。
で、後半の逮捕されてからの半年間の描写、ここからガラッと毛色が変わります。
簡単に言うと、大きな力により騙されて逮捕されたのですが、中盤まで同様、村木さんの優しい口調で淡々と一部始終を語っているので逆に怖さが際立ってるという、、笑
国の人間が国の人間を陥れるという構図であり、自分が見ている世界が正しいことばかりでないということをまざまざと突きつけられます。
興味深いのは、騙した検事側、騒ぎ立てたメディア側に対し、村木さんからは終始憤りを感じられなかったことです。
ひどい仕打ちを受けたにもかかわらず、村木さんは一貫して「私は悪いことをやっていないから堂々としている」ことを心がけている。
読書して、たくさん寝て、掃除もして、拘留されていても村木さんだし、村木さんの家族も同様、旦那さんは出張へ、娘は修学旅行へ行くという、
圧倒的な信頼感で成り立っている。これはなかなかできないことだと思います。
時間の裏側には本書には出てこない、 苦しいドラマはたくさんあったでしょうが、それを感じさせない強さには感動しました。タイトルはやっぱりアレですが、中身は万人にオススメです!